午前6時、またもや深夜バスで新宿駅西口にやってきた。本当は朝から仕事だったけれど、3ヶ月前から会社の同僚に頼んで自分と代わってもらう用意周到ぶりである。そこまでしてライブに行く私の気持ちは誰も理解不能だろう。なぜならば、当の私が理解できないのだから。
新たなる夏のライブもついに3回目、今回は東京で行われる。美里自身はインタビューで、野外ライブを東京でするのは初めてであることを強調している。しかし私としては特に何も感慨はない。
ただ、東京にまつわる曲が披露されるかもしれない。彼女の曲で「東京」というフレーズが出てくるのは、90年のアルバム「tokyo」に入っている“バースデイ”と“Tokyo”、そして96年の「Spirits」に入っている“東京生活”くらいだろうか。パッと思いつくのはこの3曲である。だからどうした、と言われたら返答に窮するけれど、“Tokyo”は生で聴いたことがないから歌われたら嬉しいな、などと考えたりする。期待というほどでもないけれど、私がライブ前に思っていたのはその程度のことだ。
新宿に着いてからカプセルホテルで汗を流し、駅前でうどんを食べてネットカフェで2時間ほど過ごす。このいつものパターンを経てライブ会場へ向かう途中、JR大崎駅でいったん降りる。せっかく上京したから、つけ麺がいま最も有名と言われるラーメン店「六厘舎」に立ち寄るためだ。
公式サイトはこちら。
http://rokurinsha.com/
開店1時間前の10時半に到着したのに、すでに10人ちかくが炎天下で待っている。開店までに列は40人ちかくまで伸びた。お茶も買わずに暑い中を並んでしまって体がキツかったけれど、おかげで最初に店内へ入ることができた。
私は「あつもり、大盛り、えび玉トッピング」(しめて1100円)を頼む。注文は並んでいる間に確認し、席に座ったら3分くらいで料理が出てくる手際は良い。そして、味も良かった。麺は太すぎる気もするけれど、つけ汁に油が上手に使われていてよく絡んでいた。「えび玉」はエビの味のする味玉で、これも気に入った。味については文句はない。
しかし料理が美味しいことと、このために1時間待つのはまた別の問題である。味は気に入ったので私の中で明確な結論はでていない。しかし炎天下の日はやめたほうが良いかもしれない。
「六厘舎」を出てローソンで飲み物を買ってから、大崎駅に戻りりんかい線で最寄り駅の「国際展示場」へ向かう。駅を下りて係員の案内に沿って歩いているうちに1時前にはビッグサイトに着いてしまった。会場からはリハーサルの音が聴こえてくる。
午後1時になるとファンクラブ会員を優先に展示場内が開放される。チケットを提示して中に入り、物販でプログラムを買った。そのまま建物の隅っこに座って1時間ほど眠る。深夜バスで移動した疲れがここにきて出てきたようだ。果たしてライブ本番まで体がもつだろうか。
そうして午後3時、展示場のシャッターが上がり本格的に開場である。そこの客席を観た瞬間、
「なんだか去年に似た会場だなあ」
と思ってしまった。会場が海の近くで、大きな空き地にパイプ椅子が並べられていて、遠くには観覧車が見えるのも去年の横浜と同じである。さらにいえば、私の座席は端っこに位置しているのも一緒だ。これがデ・ジャヴというものだろうか。
客席の横に食べ物を売っているテントがいくつかある。まだ開演まで2時間もあるし、「築地銀だこ」のたこ焼きを1箱(6個入りで500円)買った。なぜかここは開演前まで長蛇の列ができる。空を見上げればうっすらと雲がかかっていた。このままいけば涼しくライブには格好の状態ではある。しかし天気予報は夕立の可能性も伝えている。果たして最後までもつだろうか。そんな不安を抱きながら午後5時を少し過ぎてついに開演である。
1曲目はいきなり“東京生活”だった。しかしよく考えてみると、この曲を聴くのは96年の「Free Spirits TOUR」以来、実に12年ぶりだ。
今回の選曲は下に載せているけれど、「tokyo」、「BIG WAVE」(93年)、「Baby Faith」(94年)の曲が目立つような気がする。感想を先に言ってしまうと、神懸かりと言いたくなるほどの出来だった昨年の横浜公演に比べると勢いという点ではそれほどでもなかったかもしれない。しかし印象的な場面もけっこうあった。
まず、往年のファンにとっては「tokyo」収録の“Boys kiss Girls”と“バースデイ”の2曲が感慨深かったのではないだろうか。“Boys kiss Girls”は最後の西武ライブの中でおこなったメドレーでも披露したけれど、私がまるまる1曲を聴いたのは、92年の「スタジアム伝説」以来のはずである。隠れた名曲“バースデイ”にしても02年の西武ライブ「Miss Seventeen Stadium」で披露したきりだ。通常のツアーではなかなか聴けない曲が出てくるのも夏のライブならではだろう。
“CHANGE”から“BABY”という流れも良い。単純に「Baby Faith」の曲順と同じわけだが、それがこの2曲の印象を強くしている。また、「Baby Faith」の曲はまったく予想していなかったので、不意打ちをくらう格好であった。
それから、これは意外に思う人もいるかもしれないけれど、“素顔”と“ONE MORE KISS”にも唸らされた。正直いってこの2曲の思い入れは全くないし、CDを引っぱり出して聴きたいと思うような代物でもない。しかし、勢いで押すという感じとは対照的に、落ち着いていながらも説得力のある歌いっぷりには、いまさらながら彼女の歌唱力の底力を感じさせた。特にアコースティック・ギターとキーボードのみをバックに歌われる“素顔”は、この曲の良さが引き出てくるアレンジだったと思う。
全体的に地味な選曲だったかもしれない。しかし個人的には見どころがけっこうあったこともあり満足度の高いライブであった。
午後8時の少し手前でライブが終了する。ついに終わりまで全く雨が降らなかった。美里が最後のMCで、このライブを成功するようにと2ヶ月の禁酒、3ヶ月の“禁「じゃがりこ」”をしたと最後に打ち明けたのが可笑しかった。そういう願掛けが幸いしてるかどうかはわからない。しかし一昨年の山中湖ライブは前日で大雨が止まり、昨年の横浜も演奏終了まで雨が降らずと、ここ3年はつくづく天気に恵まれているとはいえよう。
ライブが終了してからスクリーンにさきほどまでのライブの場面が映し出され、スタッフロールが流れた。画像はその時の模様である(ライブ中の画像じゃないからね、念のため)。そして、
「See You Next Summer」
というメッセージが映し出される。果たして来年の夏はどこでおこなわれるのだろうか。どこでおこなわれようとも、都合がつく限りは私も自然と足を運ぶのだろう。深夜バスで帰えるという落ち着かない日程なので足早に会場を後にした。最後に曲目を記す。
【演奏曲目】
(1)東京生活
(2)ブランニューヘブン
(3)夏が来た!
(4)yes
(5)Boys kiss Girls
(6)バースデイ
(7)私のカルテ
(8)素顔
(9)Nude
(10)ONE MORE KISS
(11)ココロ銀河
(12)CHANGE
(13)BABY
(14)SHOUT [ココロの花びら]
(15)夏灼きたまご
(16)すき
〈アンコール1〉
(17)ジャングル チャイルド
(18)東京ブギウギ/銀座カンカン娘
(19)恋したっていいじゃない
(20)10 years
(21)My Revolution
〈アンコール2〉
(22)My Love Your Love(たったひとりしかいないあなたへ)
(23)サマータイム ブルース
新たなる夏のライブもついに3回目、今回は東京で行われる。美里自身はインタビューで、野外ライブを東京でするのは初めてであることを強調している。しかし私としては特に何も感慨はない。
ただ、東京にまつわる曲が披露されるかもしれない。彼女の曲で「東京」というフレーズが出てくるのは、90年のアルバム「tokyo」に入っている“バースデイ”と“Tokyo”、そして96年の「Spirits」に入っている“東京生活”くらいだろうか。パッと思いつくのはこの3曲である。だからどうした、と言われたら返答に窮するけれど、“Tokyo”は生で聴いたことがないから歌われたら嬉しいな、などと考えたりする。期待というほどでもないけれど、私がライブ前に思っていたのはその程度のことだ。
新宿に着いてからカプセルホテルで汗を流し、駅前でうどんを食べてネットカフェで2時間ほど過ごす。このいつものパターンを経てライブ会場へ向かう途中、JR大崎駅でいったん降りる。せっかく上京したから、つけ麺がいま最も有名と言われるラーメン店「六厘舎」に立ち寄るためだ。
公式サイトはこちら。
http://rokurinsha.com/
開店1時間前の10時半に到着したのに、すでに10人ちかくが炎天下で待っている。開店までに列は40人ちかくまで伸びた。お茶も買わずに暑い中を並んでしまって体がキツかったけれど、おかげで最初に店内へ入ることができた。
私は「あつもり、大盛り、えび玉トッピング」(しめて1100円)を頼む。注文は並んでいる間に確認し、席に座ったら3分くらいで料理が出てくる手際は良い。そして、味も良かった。麺は太すぎる気もするけれど、つけ汁に油が上手に使われていてよく絡んでいた。「えび玉」はエビの味のする味玉で、これも気に入った。味については文句はない。
しかし料理が美味しいことと、このために1時間待つのはまた別の問題である。味は気に入ったので私の中で明確な結論はでていない。しかし炎天下の日はやめたほうが良いかもしれない。
「六厘舎」を出てローソンで飲み物を買ってから、大崎駅に戻りりんかい線で最寄り駅の「国際展示場」へ向かう。駅を下りて係員の案内に沿って歩いているうちに1時前にはビッグサイトに着いてしまった。会場からはリハーサルの音が聴こえてくる。
午後1時になるとファンクラブ会員を優先に展示場内が開放される。チケットを提示して中に入り、物販でプログラムを買った。そのまま建物の隅っこに座って1時間ほど眠る。深夜バスで移動した疲れがここにきて出てきたようだ。果たしてライブ本番まで体がもつだろうか。
そうして午後3時、展示場のシャッターが上がり本格的に開場である。そこの客席を観た瞬間、
「なんだか去年に似た会場だなあ」
と思ってしまった。会場が海の近くで、大きな空き地にパイプ椅子が並べられていて、遠くには観覧車が見えるのも去年の横浜と同じである。さらにいえば、私の座席は端っこに位置しているのも一緒だ。これがデ・ジャヴというものだろうか。
客席の横に食べ物を売っているテントがいくつかある。まだ開演まで2時間もあるし、「築地銀だこ」のたこ焼きを1箱(6個入りで500円)買った。なぜかここは開演前まで長蛇の列ができる。空を見上げればうっすらと雲がかかっていた。このままいけば涼しくライブには格好の状態ではある。しかし天気予報は夕立の可能性も伝えている。果たして最後までもつだろうか。そんな不安を抱きながら午後5時を少し過ぎてついに開演である。
1曲目はいきなり“東京生活”だった。しかしよく考えてみると、この曲を聴くのは96年の「Free Spirits TOUR」以来、実に12年ぶりだ。
今回の選曲は下に載せているけれど、「tokyo」、「BIG WAVE」(93年)、「Baby Faith」(94年)の曲が目立つような気がする。感想を先に言ってしまうと、神懸かりと言いたくなるほどの出来だった昨年の横浜公演に比べると勢いという点ではそれほどでもなかったかもしれない。しかし印象的な場面もけっこうあった。
まず、往年のファンにとっては「tokyo」収録の“Boys kiss Girls”と“バースデイ”の2曲が感慨深かったのではないだろうか。“Boys kiss Girls”は最後の西武ライブの中でおこなったメドレーでも披露したけれど、私がまるまる1曲を聴いたのは、92年の「スタジアム伝説」以来のはずである。隠れた名曲“バースデイ”にしても02年の西武ライブ「Miss Seventeen Stadium」で披露したきりだ。通常のツアーではなかなか聴けない曲が出てくるのも夏のライブならではだろう。
“CHANGE”から“BABY”という流れも良い。単純に「Baby Faith」の曲順と同じわけだが、それがこの2曲の印象を強くしている。また、「Baby Faith」の曲はまったく予想していなかったので、不意打ちをくらう格好であった。
それから、これは意外に思う人もいるかもしれないけれど、“素顔”と“ONE MORE KISS”にも唸らされた。正直いってこの2曲の思い入れは全くないし、CDを引っぱり出して聴きたいと思うような代物でもない。しかし、勢いで押すという感じとは対照的に、落ち着いていながらも説得力のある歌いっぷりには、いまさらながら彼女の歌唱力の底力を感じさせた。特にアコースティック・ギターとキーボードのみをバックに歌われる“素顔”は、この曲の良さが引き出てくるアレンジだったと思う。
全体的に地味な選曲だったかもしれない。しかし個人的には見どころがけっこうあったこともあり満足度の高いライブであった。
午後8時の少し手前でライブが終了する。ついに終わりまで全く雨が降らなかった。美里が最後のMCで、このライブを成功するようにと2ヶ月の禁酒、3ヶ月の“禁「じゃがりこ」”をしたと最後に打ち明けたのが可笑しかった。そういう願掛けが幸いしてるかどうかはわからない。しかし一昨年の山中湖ライブは前日で大雨が止まり、昨年の横浜も演奏終了まで雨が降らずと、ここ3年はつくづく天気に恵まれているとはいえよう。
ライブが終了してからスクリーンにさきほどまでのライブの場面が映し出され、スタッフロールが流れた。画像はその時の模様である(ライブ中の画像じゃないからね、念のため)。そして、
「See You Next Summer」
というメッセージが映し出される。果たして来年の夏はどこでおこなわれるのだろうか。どこでおこなわれようとも、都合がつく限りは私も自然と足を運ぶのだろう。深夜バスで帰えるという落ち着かない日程なので足早に会場を後にした。最後に曲目を記す。
【演奏曲目】
(1)東京生活
(2)ブランニューヘブン
(3)夏が来た!
(4)yes
(5)Boys kiss Girls
(6)バースデイ
(7)私のカルテ
(8)素顔
(9)Nude
(10)ONE MORE KISS
(11)ココロ銀河
(12)CHANGE
(13)BABY
(14)SHOUT [ココロの花びら]
(15)夏灼きたまご
(16)すき
〈アンコール1〉
(17)ジャングル チャイルド
(18)東京ブギウギ/銀座カンカン娘
(19)恋したっていいじゃない
(20)10 years
(21)My Revolution
〈アンコール2〉
(22)My Love Your Love(たったひとりしかいないあなたへ)
(23)サマータイム ブルース
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