【ディスク1】
(1)I’m Free
(2)GROWIN’ UP
(3) 死んでるみたいに生きたくない
(4) My Revolution
(5)Teenage Walk
(6) Long Night
(7)BELIEVE
(8) IT’S TOUGH
(9) 悲しいね
(10)恋したっていいじゃない
(11)センチメンタル カンガルー
(12)君の弱さ
(13)ムーンライト ダンス
(14)すき (Apricot Mix)

【ディスク2】
(1)虹をみたかい
(2)サマータイム ブルース
(3)恋するパンクス
(4)Power -明日の子供-
(5)卒業
(6)夏が来た!
(7)クリスマスまで待てない (雪だるま Version)
(8)My Revolution -第2章-
(9)泣いちゃいそうだよ
(10)メリーゴーランド
(11)いつか きっと
(12)BIG WAVE やってきた
(13)真夏のサンタクロース


【ディスク3】
(1)チェリーが3つ並ばない
(2)シンシアリー [Sincerely]
(3)世界で一番 遠い場所
(4)My Love Your Love ~たったひとりしかいない あなたへ~
(5)一緒だね
(6)夏の歌
(7)素顔
(8)太陽は知っている
(9)新しい日々
(10)もっと 遠くへ…
(11)荒ぶる胸のシンバル鳴らせ
(12)夏灼きたまご
(13)やさしく歌って -Killing me softly with his song-

【ディスク4】
(1)YOU ~新しい場所~
(2)12月の神様
(3)ドラえもんのうた
(4)小指
(5)十の秘密
(6)トマト
(7)おねがい太陽 ~夏のキセキ~
(8)青い鳥
(9)その手をつないで
(10)yes
(11)あしたの空
(12)始まりの詩、あなたへ
(13)Home Planet -地球こそ私の家 ※ボーナス・トラック


渡辺美里が「レコード・デビュー」したのは1985年5月2日のことである。デビュー曲がケニー・ロギンスの”I’m free”のカバーだったことを知っているのは熱心なファンくらいだろう。原曲は映画「フットルース」(84年)の挿入曲で、映画のサウンド・トラックにも収録されている。それにしてもMP3プレーヤー全盛の昨今からすれば、まだCDすら一般に流通してなかったレコードの時代は隔世の感がある。

今年は2010年で、彼女がデビューしてから25年を迎える。そんな節目ということもあり、これまでの全シングルを時系列に収めた4枚組アルバム「Song is Beautiful」がこのたび発売された。

振り返ってみれば、彼女がブランクらしきものもなく今まで25年間活動してきている。同世代のミュージシャンたちはレコード契約を打ち切られたり、また逮捕された人までいることを思えば、それはそれで一つの業績といえるかもしれない。いままで出した52枚のシングル曲はそれを物語っている。

これまでも何枚かベスト・アルバムを出しているけれど、全シングル収録という形のものは初めてのことだ。数はそれほどではないけれどアルバム未収録曲もあり(”君の弱さ”、”メリーゴーランド”、”12月の神様”、佐野元春とのデュエット曲”Home Planet-地球こそ私の家”、そして最近出たシングル3曲)、それらが復活したのは歓迎すべきことだろう。

しかしながら、それならばシングルのカップリング曲も全て収録する徹底ぶりを見せてほしかった。それでたとえ倍の値段になったとしても、買う人は買う。どうせ今の彼女のCDを買う人など限られているのだから、なるべく利益率が高いほうが良い。実際、私は最初JEUGIA三条本店に入ったがアルバムは置いてなく、その近くのジュンク堂のCDコーナーでこれを見つけた。JEUGIAに置いてあったのは買われてしまったのか、それとも最初から置いてなかったのかはわからない。いずれにせよこのCDの出荷枚数などたかがしれているのだ。もはやファンの増加は見込めず、またCDそのものが売れない現代においては、ファンの囲い込みのような方策が最も効果的だと思うのだが。(ちなみにいま公式サイトを確認したら、初回限定盤は完売していた)

愚痴が過ぎてしまったようだ。改めて内容について触れることにしたい。

今回特筆するのは、全曲を新たにロンドンでマスタリングし直したことだろう。試しに”夏が来た!”を以前の音源と比べて聴いてみたけれど、やはり今回のほうが音のメリハリとかクリアさは明らかに向上している。サウンドの古くささも薄まったように感じた。数えきれないほど聴いているはずの”サマータイム ブルース”など楽曲や彼女の声が妙に新鮮に感じてしまう場面もあった。そうだ。そもそも彼女の声が好きで私はファンになったんだ、などとそんなことまで思い出しながら。

また買って聴く前までは、シングル曲の集合なんて新鮮な発見はないだろう、と思っていた。しかしそれは少し違っていた。いちおう4枚のディスクをひと通り聴いたけれど、いまはもっぱらディスク2ばかり流している。ディスク2は私が最もこの人に熱心だった時期(91年後半から93年半ばごろ)と重なるからだ。”サマータイムブルース”、”卒業”、”夏が来た!”あたりの曲がやはり自分にとって最も求心力のあるものだと改めて気づかされる。

「なんだ、俺の根本は中学生の頃から同じということか」

そんなことを思った。そしてそれは死ぬまで変わらないような気がする。

私が初めて彼女のCD「lucky」を買ったのは91年の冬だった。まだ中学3年生の時である。それからでも18年の月日が流れたことになる。

「ずっとこの人を追いかけていこう」

と心に決めたのは初めて彼女のライブを観た高校1年の夏だっただろうか。さすがにそんな「信者」だった時期はあまり長く続かなかったけれど、結果として今も彼女の歌やライブと付き合い続けている。彼女と自分を比較することが不毛なのは百も承知だが、現在まで彼女も私も平坦な道のりを歩いていなかったと思う。そして、この間がどれほど実りのあった時期かといえば、それもお互いあまり自信がない。

たとえば今の10代や20代の人たちがこれらの曲を聴いて何か感じるものがあるのだろうか、と考えてしまう時もある。それに意識的な音楽ファンから見れば、渡辺美里を中心とする80年代のEPIC SONY周辺から出ていたミュージシャンといえば、音楽性に乏しい人たちと位置づけられていることが多い。その評価に対して特に異議を唱えるつもりもないけれど、人間や芸術というものはそんなに単純に割り切れるものではないだろう。いつも思うのだが、芸術は創っている送り手と、私のような受け手の双方があって成立する。

世間の評価など、もはやどうでもいい。渡辺美里と自分が歩んだ道は何だったのか。それはこれからも続く人生の中で、自分自身で見つけるしかないのだろう。ある時期からそう考えるようになった。そしてその道はまだ継続中である。

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