この日記でよく日垣さんの文章を引用させてもらっていたけれど、その著書を紹介するのはおそらく初めてかと思う。ご存じない方もいるだろうし、本書に載っているプロフィールを紹介しよう。
<作家、ジャーナリスト。1958年長野県生まれ。東北大学法学部卒業。書店員、トラック配送員、TVレポーター、編集者など数々の職を経て、87年から執筆活動に入る。>
「情報の『目利き』になる!-メディア・リテラシーを高めるQ&A」(02年。ちくま新書)という本では、「3度の瀕死体験と失業3回」を経験していると書いている。このような経験をしているためか、日垣さんは一貫して国家や共同体といったものには過大な期待はしていないように思える。よって、いわゆる「格差社会」にまつわる議論に対しても以下のような立場をとる。
<格差がないことほど、恐ろしい支配現象はありません。格差は、あって当然です。
一国や大企業のリーダーと、何もしないプー太郎君が、同じ月収であるのは不自然なことでしょう。>(P.14)
<格差是正と言えば聞こえがいいが、「格差ゼロ」の行き着く先はキューバか北朝鮮である。>(P.100)
<ある一家が貧しいことと、社会の仕組みが間違っていることは元来、関係がない。
笑った方も、おられるかもしれぬ。しかし、冗談ではない。この発想は、個人の努力や創意を否定するものだ。のみならずこの発想は、今も「格差」論争の占めてさえいる。>(P.146)
<弱者救済は美徳であり必要なことだが、働けるのに働かないほうがラクをできるシステムは、国を不幸にする。>(P.151)
かなり手厳しい調子の文章が特徴の日垣さんではあるが、冷静に考えてみれば、まさにその通り、という指摘ばかりである。
ではこうした状況を打破するために日垣さんはどのような提言しているのか。本のカバーには、
「鬱と不況の現代に、個人のスキルと努力で打ち勝て!」
と書いている。個人の地道な行動によって現状を変えていこうというわけだ。
<全体が元気をなくしている時だからこそ、行動力のある個人は突出しやすい、という事実を胆に銘じましょう。そうして、新たな事業や雇用を作り出す個人(企業内の個人も含めて、です)が増えることこそ、不況脱出への近道だと知りましょう。>(P.15)
<目の前の不都合や理不尽は、「社会問題」として「人のせい」に棚上げするのではなく、我が身に降りかかった「今すぐ取り払うべき」問題として一つずつ解決していこうではありませんか。>(P.16)
こうした視点の日垣さんがする提言にはハッとさせられることがあまりに多い。
<日本では格差が開いているというよりも、下層の厚みがぐんぐん増している、というのが憂うべき実態なのです。そこを勘違いしてはなりません。>(P.14)
<問題点は、バブル経済とは無関係に86年以降一貫して「廃業率」が「開業率」を上回っている事実だ。つまり、日本の資本主義は死滅に向かっている。(中略)中国やロシアやインドやブラジルや韓国や台湾は言うに及ばず、先進諸国でも「廃業率が開業率を上回っている」のは日本だけだ。>(P.107)
この国で本当に深刻なことは、このような問題が全く顧みられずに刻一刻と時間だけが過ぎていっていることではないだろうか。
これらの指摘も間違いなく貴重だが、私がこの本を日記で取り上げたかった本当の動機はもっと別のところにある。それは本書の最後に「激変時代に読みたい十〇冊の新書」が紹介されていることだ。以下がそれである。
・長嶋修「住宅購入学入門 いま何を買わないか」(講談社+α新書)
・岩間夏樹「新卒ゼロ社会」(角川oneテーマ21)
・香山リカ「老後がこわい」(講談社現代新書)
・橘玲「マネーロンダリング入門」(幻冬舎新書)
・渡辺千賀「ヒューマン2.0」(朝日新書)
・矢部正秋「プロ弁護士の思考術」(PHP新書)
・岩瀬彰『「月給百円」サラリーマン」(講談社現代新書)
・大前研一「ビジネス力の磨き方」(PHPビジネス新書)
・島田紳助「ご飯を大盛りにするオバチャンの店は必ず繁盛する」(幻冬舎新書)
・小松秀樹「医療の限界」(新潮新書)
・中山治『「格差突破力」をつける方法」(新書y 洋泉社)
手始めに私は(暴力沙汰の事件以来、大嫌いだった)島田紳助の本を読んでみたけれど、これから生きるためのヒントが満載で本当にビックリした。その勢いで古本屋やアマゾンで上の全ての本を買ってしまったほどである。これらを読んだ後は、何か行動しなくては!という気持ちになること請け合いだ。そして、これから私なりの感想も日記で記してみたいと思っている。
ところで、これらの本を集めてから気づいたことが1点ある。これらの新書は合わせて「11冊」だったのだ。私からすれば全く隙らしいものが見当たらない日垣さんのような人でもこうした間違いをするんだなあと知って、なんだかホッとした心境になっている。
<作家、ジャーナリスト。1958年長野県生まれ。東北大学法学部卒業。書店員、トラック配送員、TVレポーター、編集者など数々の職を経て、87年から執筆活動に入る。>
「情報の『目利き』になる!-メディア・リテラシーを高めるQ&A」(02年。ちくま新書)という本では、「3度の瀕死体験と失業3回」を経験していると書いている。このような経験をしているためか、日垣さんは一貫して国家や共同体といったものには過大な期待はしていないように思える。よって、いわゆる「格差社会」にまつわる議論に対しても以下のような立場をとる。
<格差がないことほど、恐ろしい支配現象はありません。格差は、あって当然です。
一国や大企業のリーダーと、何もしないプー太郎君が、同じ月収であるのは不自然なことでしょう。>(P.14)
<格差是正と言えば聞こえがいいが、「格差ゼロ」の行き着く先はキューバか北朝鮮である。>(P.100)
<ある一家が貧しいことと、社会の仕組みが間違っていることは元来、関係がない。
笑った方も、おられるかもしれぬ。しかし、冗談ではない。この発想は、個人の努力や創意を否定するものだ。のみならずこの発想は、今も「格差」論争の占めてさえいる。>(P.146)
<弱者救済は美徳であり必要なことだが、働けるのに働かないほうがラクをできるシステムは、国を不幸にする。>(P.151)
かなり手厳しい調子の文章が特徴の日垣さんではあるが、冷静に考えてみれば、まさにその通り、という指摘ばかりである。
ではこうした状況を打破するために日垣さんはどのような提言しているのか。本のカバーには、
「鬱と不況の現代に、個人のスキルと努力で打ち勝て!」
と書いている。個人の地道な行動によって現状を変えていこうというわけだ。
<全体が元気をなくしている時だからこそ、行動力のある個人は突出しやすい、という事実を胆に銘じましょう。そうして、新たな事業や雇用を作り出す個人(企業内の個人も含めて、です)が増えることこそ、不況脱出への近道だと知りましょう。>(P.15)
<目の前の不都合や理不尽は、「社会問題」として「人のせい」に棚上げするのではなく、我が身に降りかかった「今すぐ取り払うべき」問題として一つずつ解決していこうではありませんか。>(P.16)
こうした視点の日垣さんがする提言にはハッとさせられることがあまりに多い。
<日本では格差が開いているというよりも、下層の厚みがぐんぐん増している、というのが憂うべき実態なのです。そこを勘違いしてはなりません。>(P.14)
<問題点は、バブル経済とは無関係に86年以降一貫して「廃業率」が「開業率」を上回っている事実だ。つまり、日本の資本主義は死滅に向かっている。(中略)中国やロシアやインドやブラジルや韓国や台湾は言うに及ばず、先進諸国でも「廃業率が開業率を上回っている」のは日本だけだ。>(P.107)
この国で本当に深刻なことは、このような問題が全く顧みられずに刻一刻と時間だけが過ぎていっていることではないだろうか。
これらの指摘も間違いなく貴重だが、私がこの本を日記で取り上げたかった本当の動機はもっと別のところにある。それは本書の最後に「激変時代に読みたい十〇冊の新書」が紹介されていることだ。以下がそれである。
・長嶋修「住宅購入学入門 いま何を買わないか」(講談社+α新書)
・岩間夏樹「新卒ゼロ社会」(角川oneテーマ21)
・香山リカ「老後がこわい」(講談社現代新書)
・橘玲「マネーロンダリング入門」(幻冬舎新書)
・渡辺千賀「ヒューマン2.0」(朝日新書)
・矢部正秋「プロ弁護士の思考術」(PHP新書)
・岩瀬彰『「月給百円」サラリーマン」(講談社現代新書)
・大前研一「ビジネス力の磨き方」(PHPビジネス新書)
・島田紳助「ご飯を大盛りにするオバチャンの店は必ず繁盛する」(幻冬舎新書)
・小松秀樹「医療の限界」(新潮新書)
・中山治『「格差突破力」をつける方法」(新書y 洋泉社)
手始めに私は(暴力沙汰の事件以来、大嫌いだった)島田紳助の本を読んでみたけれど、これから生きるためのヒントが満載で本当にビックリした。その勢いで古本屋やアマゾンで上の全ての本を買ってしまったほどである。これらを読んだ後は、何か行動しなくては!という気持ちになること請け合いだ。そして、これから私なりの感想も日記で記してみたいと思っている。
ところで、これらの本を集めてから気づいたことが1点ある。これらの新書は合わせて「11冊」だったのだ。私からすれば全く隙らしいものが見当たらない日垣さんのような人でもこうした間違いをするんだなあと知って、なんだかホッとした心境になっている。
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