副業をしている芸能人は数多いが、成功例はそれほど多くはないだろう。かつて「タレントショップ」なるものが流行した時代もあったが、現在はその面影もない。しかし島田紳助も25歳からビジネスを始めたが、それから25年以上にわたり様々な商売をするも「一度も負けたことがない」(本書P.16)という。本書はそんな島田がビジネスについての持論を書いたものである。
2004年の暴力事件のみならず傍若無人なイメージがつきまとって大嫌いな人ではあるものの、本書の内容には本当に唸らされた。ともかく商売に対する分析があまりも鋭いからだ。
例えば島田は、成功する店は「特殊な店、常識はずれの店」(P.23)であると書いている。しかしその後の文章で、ただ常識はずれのことをしても失敗する、と付け加える。
<ビジネスとして成立させるためには、どんなに常識はずれであっても、合理的でなければならない。常識はずれというのは、世間や業界の常識に反しているということを意味しているだけであって、理にかなっていないという意味ではない。
(中略)
常識はずれのビジネスをやろうとするなら、まず第一に、モノゴトを徹底的に合理的に考えなければいけない。>(P.24-26)
単に変わったことをするだけでは成功しない。いままで世間や常識が気づいていないもので、しかも合理的で優れたアイデアを出して始めて成功を手にできるというわけだ。
こうした観察眼は彼が漫才を目指していた頃、売れている先輩芸人の漫才を徹底的に分析することによって磨かれたものだが、それを見事にビジネスへも応用している。
<これはどんな商売でも一緒だと思うのだけれど、結局のところ、人に何か買ってもらうということは、人の心を動かすということだ。
そして僕は、この「人の心を動かす」ということが大好きなのだ。誰かが喜んだり笑ったりする顔を思い描けば、アイデアはいくらでも湧いてくる。
「こういうモノを作ったら売れるんとちゃうか」
「こういう店はやったら流行(はや)るやろ」
>(P.9)
このなかなかカッコいいセリフの中に、ビジネスで成功するためには必ず押さえなければならない要素がたくさん含まれていると思う。
さきほど私は島田に対して「傍若無人なイメージ」と書いていて、現在もそれは変わらないけれど、本書を読むと実に人情の機微に通じている面もある人だと理解できた。
<1つだけ言えるのは、根本のところで、みんなが幸せになれなきゃ意味がないということを、経営者がいつも真っ先に考えているかどうかだ。どうすればみんなが幸せになれるのかは、業種やその店の性格によって、違う部分もあるだろう。けれどその根本の目標が揺るがない限り、きっと上手くいく。>(P.35)
<その会社で働くことが、社員それぞれの幸福につながるようにするのが、経営者の役割なのだ。なぜなら、そうなれば社員は本気で働いてくれるからだ。みんなが本気で働けば会社の業績は必ず伸びる。業績を伸ばすのが経営者の重要な役目であれば、社員の幸せを考えることも、経営者の役割ということになる。自分の役割をちゃんと知っている経営者の下で働きたいというのは、当たり前のことだ。>(P.38)
いま私は線を引きながらこの本を読んでいるが、このままいけば線だらけになりそうだ。ビジネスを始めようとしている人以外にも参考になるアイデアが本書にはたくさん詰まっている。
2004年の暴力事件のみならず傍若無人なイメージがつきまとって大嫌いな人ではあるものの、本書の内容には本当に唸らされた。ともかく商売に対する分析があまりも鋭いからだ。
例えば島田は、成功する店は「特殊な店、常識はずれの店」(P.23)であると書いている。しかしその後の文章で、ただ常識はずれのことをしても失敗する、と付け加える。
<ビジネスとして成立させるためには、どんなに常識はずれであっても、合理的でなければならない。常識はずれというのは、世間や業界の常識に反しているということを意味しているだけであって、理にかなっていないという意味ではない。
(中略)
常識はずれのビジネスをやろうとするなら、まず第一に、モノゴトを徹底的に合理的に考えなければいけない。>(P.24-26)
単に変わったことをするだけでは成功しない。いままで世間や常識が気づいていないもので、しかも合理的で優れたアイデアを出して始めて成功を手にできるというわけだ。
こうした観察眼は彼が漫才を目指していた頃、売れている先輩芸人の漫才を徹底的に分析することによって磨かれたものだが、それを見事にビジネスへも応用している。
<これはどんな商売でも一緒だと思うのだけれど、結局のところ、人に何か買ってもらうということは、人の心を動かすということだ。
そして僕は、この「人の心を動かす」ということが大好きなのだ。誰かが喜んだり笑ったりする顔を思い描けば、アイデアはいくらでも湧いてくる。
「こういうモノを作ったら売れるんとちゃうか」
「こういう店はやったら流行(はや)るやろ」
>(P.9)
このなかなかカッコいいセリフの中に、ビジネスで成功するためには必ず押さえなければならない要素がたくさん含まれていると思う。
さきほど私は島田に対して「傍若無人なイメージ」と書いていて、現在もそれは変わらないけれど、本書を読むと実に人情の機微に通じている面もある人だと理解できた。
<1つだけ言えるのは、根本のところで、みんなが幸せになれなきゃ意味がないということを、経営者がいつも真っ先に考えているかどうかだ。どうすればみんなが幸せになれるのかは、業種やその店の性格によって、違う部分もあるだろう。けれどその根本の目標が揺るがない限り、きっと上手くいく。>(P.35)
<その会社で働くことが、社員それぞれの幸福につながるようにするのが、経営者の役割なのだ。なぜなら、そうなれば社員は本気で働いてくれるからだ。みんなが本気で働けば会社の業績は必ず伸びる。業績を伸ばすのが経営者の重要な役目であれば、社員の幸せを考えることも、経営者の役割ということになる。自分の役割をちゃんと知っている経営者の下で働きたいというのは、当たり前のことだ。>(P.38)
いま私は線を引きながらこの本を読んでいるが、このままいけば線だらけになりそうだ。ビジネスを始めようとしている人以外にも参考になるアイデアが本書にはたくさん詰まっている。
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