そういえば今の仕事に就いた頃。

「身辺が順調に回るまでは無駄な経費を使わないぞ」

と心の中で思っていた時があったような気がする。しかしこうしてライブに行ってしまうのだから人間の心はつくづく脆いものだ。いや、もともと私は我慢などできない体質だったか。もう完全に本能のままに生きているという具合である。

今年の渡辺美里は、今後のライブ日程を見る限り、けっこう活発に動くようだ。来月は大阪城ホールでおこなわれる飲酒運転撲滅キャンペーンのイベントライブに出演し、3月は小学校の同級生の塩谷哲(愛称「ソルト」)と大阪でライブを2回、4月から7月にかけてはライブハウスでのツアーもおこない、夏の恒例ライブは日本武道館で公演をするという。

しかし現在の私といえばそんな活動を逐一追いかける余裕はない。ライブハウスのツアーは大阪2公演、京都でも2公演あるけれど今のところ駆けつけられそうにない。その頃の私は一体どうなっているか、自分でもわからないからだ。

今日のライブだって本当は行くつもりなどなかった。ただ「ぴあ」からのメールで大阪でもライブがあることを知り、いちおう申し込んでみたら当選したので「買ったら行くしかねえな」と足を運んだまでである(最初から「行かない!」と決断できないところが私の弱さであるが)。実際のところライブに行ったり外食したり酒を飲むほどの経済的余裕はないのだけれど、正月に好きなミュージシャンに行くくらいの息抜きは大目に見てほしい(しかし、私は誰に許しを得ようとしているのか)

今日の席は2階席の前から2列目右側というところである。これまではファンクラブ予約で取っていたので1階の真ん中くらいだったけれど、これはもう仕方がない。スピーカーからは、レッド・ツェッペリン”ロックン・ロール”、デヴィッド・ボウイ”スターマン”、Tレックス”メタル・グルー”、スタイル・カウンシル”シャウト・トゥ・ザ・トップ”と、もうベタベタな有名曲ばかりが流れていた。

そして午後5時5分ごろ、誰が歌っているのかよくわからないジャーニーの”ドント・ストップ・ビリーヴィン”のカバーが流れ終わると会場の照明が落ちて開演である。1曲目は元日の渋谷と同じく、私の大嫌いな”ジャングルチャイルド”で幕を開けた。最悪なスタートですなあ、と内心思いながらも、いやむしろ嫌な曲が冒頭にもってこられた方が良かったかもしれないと考え直す。そして”恋したっていいじゃない”、”サマータイムブルース”と続き、私の気持ちも徐々に落ち着いてきた。しかし、ステージに立つ美里は金髪のおかしなカツラをつけているのもなんだか気になった。これも5曲目の”世界で一番遠い場所”から外したのでそれほど気にはならなかったが。冒頭は、今日はちょっとイマイチだなあ、というのが正直な印象であった。

ところで、2階席にいるのはけっこうメリットがあった。1階のお客は総立ちという雰囲気だが、こちらはそういうわけでもなく座って観ている人も多い。それに合わせてというわけでもないが、アンコールまではずっと座ってライブを観ることができた。もうお客の平均年齢もグッと上がっているのだし、みんなあまり無理をしない方がいいのではと思うだが、いかがだろう。

本日の曲目は最後に記すけれど、特に驚いたり貴重だと思った曲は個人的には皆無であった。あえていえば”グリーン・グリーン”はおそらく99年の「うたの木 オーケストラ」以来ライブで聴いてなかったと記憶する。元日ライブと照らし合わせるとアルバム「Spirits」(96年)からの選曲が目立つかな、というのが今回の特徴だろうか。

期待値ゼロでライブに臨んでいる自分としては1曲でも、

「お!これも歌ったか。意外だな」

と思える瞬間があればもう十分である。そしてここ数年の元日ライブではそんな場面がちょこちょこあったから今回はその辺りが少し残念ではあった。

面白い瞬間といえば、最後の最後で歌った”サンキュ”でキーボードの光田健一が何小節かすっ飛ばしていきなりサビの部分を演奏したことである。私ですら気付く大きなミスだったけれど、美里はとっさにサビを歌うなどフォローをして演奏は表面上なにごとも無かったかのごとく進んでいた(歌詞はガタガタになっていたけれど、全体の流れはとりあえず滞らずに済んだ)。演奏が終わって最後の挨拶をした時もそのことには何も触れてなかった。この辺りにバンドの結束力というか手腕に感心する。

そんなこともあって、興味深い光景も見れたし今日は満足しておこう。そういう感想で日記を締めたかったけれど、最後にどうしても言いたいことがある。

ライブに行ったことのある方なら説明不要だが、今日のライブでもアンコール前にまたしていも

「美里!チャチャチャ!」

が発生したのである。そしてライブ終了後は三本締めまで起こり、しかも会場の多くの人が参加してしまったのだ。なんかライブの間から無駄に大声を出している人間が目立つので嫌な雰囲気だなあと感じたが、その予想が当たってしまった。

暴言を承知で言うけれど、今夜の客層は最低最悪である。

そして、大人しい良心的なファンに代わって、空気の読めないクズどもに告ぐ。

そんなことは冷たい風の吹き荒む会場外でやれ!周囲の人まで巻き込むんじゃない!以上。

こんなこと言ってもわからない輩だけどねえ。いちおうブログという形で記録を残しておきます。

そういう後味の悪さもあり、2012年の彼女の船出はなんとなく雲行きが怪しい気がする。さて、私が今度彼女に会えるのはいつになるやら。いや、そもそも彼女のことなど思いやる余裕は今の自分には無いんだな、と寒い外を出た時にその厳しい現実に気付いてしまった。最後に今夜の曲目を記す。

【演奏曲目】
(1)ジャングルチャイルド
(2)恋したっていいじゃない
(3)サマータイムブルース
(4)セレンディピティー
(5)世界で一番遠い場所
(6)BELIEVE
(7)悲しいね
(8)悲しいボーイフレンド
(9)始まりの詩、あなたへ
(10)グリーン・グリーン
(11)ムーンライトダンス
(12)人生はステージだ!
(13)パイナップルロマンス
(14)グッときれいになりましょう

(アンコール)
(15)10 years
(16)My Revolution
(17)スピリッツ
(18)Growin’ Up/Can’t Take My Eyes Off You/Growin’ Up
(19)Lovin’ You
(20)サンキュ

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