経済的尺度だけを考えれば、私たちはもう豊かになれない
2012年11月11日 時事ニュースもう古くなった話だが、先日のアメリカ大統領選では接戦の末に現職のオバマ氏が再選を果たした。もはや「アメリカ初の黒人大統領」という言葉も09年の当選からはずいぶん新鮮味を失っているし、個人的にも選挙についてあまり関心がなかった。
経済界の見る目も厳しい。この選挙結果を受けて株価は大きく値を下げた。オバマ氏の勝利に対して「NO」という反応を示したわけである。実際のところ、オバマ政権になってからもアメリカ経済は目に見えて改善されたわけではない。そういう不満は確かに大きいに違いない。だが、別の側面から見ると彼の功績は意外なところで出てきている。
音楽サイト「RO69」で「中村明美のニューヨーク通信」というのをTwitterで偶然見つけて読んだら興味深いことが書かれていた。
ボブ・ディラン「俺の言った通り!」にオバマ無事再選。同性結婚合法化、マリファナ合法化、アメリカに変化の兆し
http://ro69.jp/blog/nakamura/74789
この記事で中村さんはアメリカ社会に起きている変化を述べている。
<今回の選挙では、メリーランド州、メイン州、ワシントン州において、市民の投票によって同性結婚が合法化されたことも非常に大きなニュースで、ウィスコンシン州では、初めてゲイを公言する女性上院議員が誕生しました。またコロラド州、ワシントン州では、娯楽目的のマリファナがアメリカで初めて合法化されるなど、市民の意識の変化も表れています。>
同性婚もマリファナもたぶん私には縁のない話だし、同性愛や薬物を大っぴらにできるほど世間は大らかではないにしても、法的には認められる自治体ができたわけである。アメリカでこうしたインフラが整備されてきているのはオバマ政権から変わったことなのだろうなと感じる。それは彼自身がマイノリティ(少数派)の立場だから実現できたわけだ。マイノリティの居場所ができるということについては、当事者にとっては非常に有り難いことである。
ただ、こうした流れはアメリカだけでなく世界的な現象という気がする。我が国でも、国の借金が983兆円に達した、というニュースがこないだ報じられた。政権の経済政策に対する不満が大きいこともアメリカとあまり変わらない。
人口が減少を続けていけば税収も減るのは必然だ。となると、経済的に豊かになる方向へ日本社会は向かわない。社会保障も縮小されていくだろう。これはもはや政治だけでどうこうできる問題ではない。景気が悪い良くならないとブーブー文句を言っている人たちはまずその事実認識から始めないといけないのではないか。
経済的尺度だけを考えれば、私たちはもう豊かになれない。
上の世代も下の世代も、どうにもこの真実を見つめようとしていない気がする。「もっと他に価値観がないんですか?」と訊いても、芳しい返事はこない。
中村さんの記事を読んで、アメリカ社会は必ずしも悪くなっていないのではないか、と思った。ある部分では以前より確実に豊かになってはいる。そして、それは日本社会だって同じような流れにあるはずだ。
過去の価値観を引きずってばかりいては生きるのが非常に辛い時代である。私たちは色々な意味で「豊かになる」人生を目指していくべきではないか。今のアメリカを見てそんなことを考えた次第である。
経済界の見る目も厳しい。この選挙結果を受けて株価は大きく値を下げた。オバマ氏の勝利に対して「NO」という反応を示したわけである。実際のところ、オバマ政権になってからもアメリカ経済は目に見えて改善されたわけではない。そういう不満は確かに大きいに違いない。だが、別の側面から見ると彼の功績は意外なところで出てきている。
音楽サイト「RO69」で「中村明美のニューヨーク通信」というのをTwitterで偶然見つけて読んだら興味深いことが書かれていた。
ボブ・ディラン「俺の言った通り!」にオバマ無事再選。同性結婚合法化、マリファナ合法化、アメリカに変化の兆し
http://ro69.jp/blog/nakamura/74789
この記事で中村さんはアメリカ社会に起きている変化を述べている。
<今回の選挙では、メリーランド州、メイン州、ワシントン州において、市民の投票によって同性結婚が合法化されたことも非常に大きなニュースで、ウィスコンシン州では、初めてゲイを公言する女性上院議員が誕生しました。またコロラド州、ワシントン州では、娯楽目的のマリファナがアメリカで初めて合法化されるなど、市民の意識の変化も表れています。>
同性婚もマリファナもたぶん私には縁のない話だし、同性愛や薬物を大っぴらにできるほど世間は大らかではないにしても、法的には認められる自治体ができたわけである。アメリカでこうしたインフラが整備されてきているのはオバマ政権から変わったことなのだろうなと感じる。それは彼自身がマイノリティ(少数派)の立場だから実現できたわけだ。マイノリティの居場所ができるということについては、当事者にとっては非常に有り難いことである。
ただ、こうした流れはアメリカだけでなく世界的な現象という気がする。我が国でも、国の借金が983兆円に達した、というニュースがこないだ報じられた。政権の経済政策に対する不満が大きいこともアメリカとあまり変わらない。
人口が減少を続けていけば税収も減るのは必然だ。となると、経済的に豊かになる方向へ日本社会は向かわない。社会保障も縮小されていくだろう。これはもはや政治だけでどうこうできる問題ではない。景気が悪い良くならないとブーブー文句を言っている人たちはまずその事実認識から始めないといけないのではないか。
経済的尺度だけを考えれば、私たちはもう豊かになれない。
上の世代も下の世代も、どうにもこの真実を見つめようとしていない気がする。「もっと他に価値観がないんですか?」と訊いても、芳しい返事はこない。
中村さんの記事を読んで、アメリカ社会は必ずしも悪くなっていないのではないか、と思った。ある部分では以前より確実に豊かになってはいる。そして、それは日本社会だって同じような流れにあるはずだ。
過去の価値観を引きずってばかりいては生きるのが非常に辛い時代である。私たちは色々な意味で「豊かになる」人生を目指していくべきではないか。今のアメリカを見てそんなことを考えた次第である。
コメント