この物語は、朔太郎という男の子が主人公である。話の序盤から朔太郎の恋人であったアキがすでに死んでいることがわかる。そこから二人が愛しあっていた頃の話が展開するわけだが、こうした序盤の仕掛けが小説に見事な効果を与えている。読む人は、結局はこの二人に永遠の別れがおとずれるのだな、という認識を抱きつづけながら本をめくっていくことになるからである。

愛する人に先立たれるのは悲しい。しかし、それが底なしの絶望をもたらすものというわけでもない。この本を読み進めていくうちにそう思えてくる。作品の中に付きまとうこの死生観が、信じられないほどのベストセラーになった要因ではないだろうか。

ともかく、この本を読んだのは収穫だった。映画もぜひ観てみたい。

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