買った日にすぐ観たのだが感想はまだ書いていなかったのでこの場所で書きたい。

このDVDは、アメリカはロサンゼルス出身のウォーレン・ジヴォンが、ガンで余命3ヶ月を告げられてから最後のアルバムを完成させるまでを追ったドキュメントである。

観て驚いたのは、その内容の緻密さである。ジヴォンの日記を中心に、家族・恋人・友人のアーティストなど様々な人とのやり取りが克明に綴られているのである。これはドラマなのではないかと見間違えるほどに、レコーディングなどに向うジヴォンの姿を逐一追っている。

一番印象的だったのは、体の調子が悪くて録音がはかどらない場面だった。スタッフがもう明日にしようと薦めたら、それに反論して、ジヴォンがこう切り返したのである。俺はもう死ぬんだぞ、と。

奇しくも、ジヴォンが録音していた時、娘が妊娠中だった。子どもを抱くまで生き続けると言っていたジヴォンは医者の診断以上に長生きし、アルバム「ザ・ウインド」を完成させる。そして、生まれた子どもを抱くことができたのである。

思えば、ウォーレン・ジヴォンというのは、その表現する世界にはいつも「死」というテーマが身近にあった。1枚目のアルバムから「死んでから、ゆっくり寝よう」などと歌っていた。そうしたジヴォンが最後の最期にこうした映像作品を出したのはいかにも彼らしい気がしてならないのである。

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