今日は出荷日ということで、京都駅地下街のJEIGIAでCDを買った。「うたの木 seasons"春"」は5曲入りのミニ・アルバムであり、昨年の11月に発表された「うたの木 seasons"冬"」の続編の性格を持つ。彼女のこれまでの楽曲の再録、また童謡や唱歌などのカバーなどで構成されており、これから「夏」「秋」と4部作が発表されることになっている。

せっかくの機会なので、この場で作品や楽曲の紹介をしたいと思う。

(1)さくらの花のさくころに
冒頭は彼女のオリジナルで、もともとは88年のアルバム「ribbon」に収録されている。92年に出たセルフ・カバー・アルバム「Hello Lovers」でも再録しているので、今回は「再々録音」ということになる。さくらの花の咲く日には、風の強い春の日の時は自分を思い出してほしい、と歌いかける内容でファンからも人気が高い曲の一つである。ここではアコースティックギターと歌を前面に出したアレンジであくまで原曲の雰囲気に沿った作りとなっている。

(2)早春賦
「春は名のみの 風の寒さや〜」イントロを聴いて、ああこの曲が”早春賦”だったのかと初めて知った。大正2年に「新作唱歌第三集」で発表された唱歌で、長野県の安曇野で春の訪れを待ちわびる山国の人達の心が描かれた作品と言われている。ドラムやフルートなどの演奏はマーチような雰囲気であるけれど、美里の声がかぶさることによって不思議に古くさい印象は与えない。この作品の中で一番良い出来の曲かもしれない。

(3)メドレー(さくら〜花)
前作に続き、今回も童謡のメドレーが入っている。”さくら”は「さくらさくら 弥生の空は」で始まる、よく知られた曲であるけれど、作者不詳で歌詞カードには「日本古謡」という表記がされている。明治21年に東京音楽学校から発行された「筝曲集」で初めて記載されたようである。大仰なイントロから始まり、途中からフリー・ジャズのような演奏から穏やかな演奏に変わり「春のうららの隅田川」の”花”に移行する。”花”は滝廉太郎が1900年に出版した歌曲集「四季」に入っている曲で、西洋の模倣を脱して日本の独自色を出した楽曲ということで近代音楽史でも屈指の名曲と位置づけられている。歌詞は”美しき天然”なども残している武島羽衣である。

(続く)

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