先日のノラ・ジョーンズのライブからすでに1ヶ月が過ぎてしまった。今日はフェスティバルホールでブラジルの巨匠ミュージシャンであるカエターノ・ヴェローゾを観に大阪に出かけた。私の聴く音楽の範囲はかなり限定されているので、ラテンやボサノヴァなどにはまるっきり素養がない。最近出た彼のベスト・アルバムをざっと聴いただけであり、ついに1曲も覚えぬまま会場に来てしまった。しかも、何の間違いか最前列の席である。嬉しいけれど居心地の悪い感じはぬぐえない。

ステージには幕が下がっている。開演時間を5分ほど過ぎてそれが上がると、バンドはすでに陣取っており、カエターノも中央で椅子にこしかけていた。1曲目は”我が歌 我が人生”という私が買ったベスト・アルバムの最初の曲である。これで自分の知っている曲がなくなってしまった。続く2曲目は、曲が始まった時点ではわからなかった。しばらく聴いていて、気づいた。それはなんとポール・アンカの”ダイアナ”のカバーである。その時に、さらに大事なことに気づいた。カエターノはつい最近、アメリカのミュージシャンの曲のカバー集を発表しているのである。”ダイアナ”もそのレパートリーの一つなのだろう。ベストよりもこのカバー集を聴いた方が良かったかもしれない。そして、4曲目はギターが鳴ると客席から拍手が起きる。ニルヴァーナの”カム・アズ・ユー・アー ”である。ポール・アンカからニルヴァーナまで時代の開きが40年くらいあるだろう。

オリジナル曲はどんなものがあったのか記せないけれど、曲が起こるたびに客席から拍手が起こった。それも、ほとんど全ての曲においてある。そこから察するに、代表曲ばかり演奏したのだろうか。カエターノの曲についてほとんど知らないので何とも言えないのは情けない。しかし、そんなお客の態度を観るにつれ、日本にもずいぶん熱心な彼のファンがいるのだなと感じた。アンコールではエルヴィス・プレスリーの”ラヴ・ミー・テンダー”などを演奏し、あわせて2時間ほどのステージだった。

ライブ全編を通して一番印象的だったのは、柔らかいけれど激しい演奏にも負けない彼の歌声だった。60年代からブラジル音楽の第一線で活躍してきたのはダテではない。ほとんど予備知識がなかったので眠るのではないかと心配だったが、予想以上に楽しめるステージだった。

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