新作が出たらとりあえず買ってしまうミュージシャンの一人である。一般的な知名度はいまいちかもしれないし、長いキャリアの割には大きなセールスをあげているアルバムも無いはずである。

リチャード・トンプソンの名前が最初に知られたのは60年代にさかのぼり、フェアポート・コンベンション(Fairport Convention)というイギリスのバンドのギタリストとしてだった。フェアポート・コンベンションはもともとボブ・ディランに影響を受けたバンドだったが、ひょんなことから英国の民謡をエレクトリックな楽器で演奏し、ディランとは違った意味での「フォーク・ロック」を作り上げたバンドであった。

そんな出自のトンプソンなのだから、地味な音楽と言われても仕方ない。しかも今作はほとんどアコースティックな楽器ばかりの編成というアルバムなのだから、その地味さにさらに拍車がかかっている。私も最初に聴いた時の印象は、1曲目は軽快な曲でいい感じと思っていたものの進めば進むほど地味さばかりが目立って、途中で寝てしまうほどだった。

しかし、ちゃんと聴けばやはり彼の魅力は伝わってくる。またアルバムのジャケットはトンプソンの周囲に様々な国のミュージシャンが取り囲んでいるという一見奇妙なものだが、中近東あたりの音楽まで垣間みられる彼の無国籍な音楽性を見事に表しているといえる。

来年の初めには日本にも来るという噂がある。01年の時に心斎橋クラブクアトロで彼一人がエレアコを持って演奏する姿を観たことがある。一人で5人くらいの音を出すのに驚いたことがいまでも忘れられない。うまく都合をつけてまたライブを観たいものである。

コメント

お気に入り日記の更新

最新のコメント

日記内を検索