ニコンのフィルムカメラ事業縮小と、コニカミノルタホールディングスのカメラ・フィルム事業からの完全撤退などの話が今月は相次いだ。理由は言うまでもなくデジタル・カメラの普及と、それにともなうフィルム・カメラの衰退である。日本のカメラ業界もデジタル化の流れは止まらない。

「時代の流れ」といったらそれまでだが、それが進歩とか進化となるのかといえば疑問だ。なぜならば、フィルム・カメラが無くなるということは、つまりフィルムの歴史が終わることを意味するからである。いままで築きあげてきたフィルム・カメラの実績は立派だ。それを断つということは、それまでの「進歩」や「進化」を止めることになる。

同じような流れを辿ったものに、レコードとCDがある。CDの開発にともない、その普及のためにアナログ・レコードは日本から一気に消えていった。しかし、アナログの出す音質にはデジタルはまだ及ばない部分があることは周知の事実である。フィルムについても、引き延ばしなどをしたらデジタル・カメラの質など遠く及ばないというのが専門家の見解だ。現在の写真コンテストの募集作品の8割以上がフィルムでの出品だという。

別にアナログが一番だといっているのではない。アナログとデジタルはまるっきり質が違うので優劣をつけることができないということを強調したいだけだ。デジタルはデジタルで素晴らしい。現に自分もデジタルの恩恵を受けている一人だ。iPodなどデジタルなくしては成り立たない商品だろう。

デジタルとアナログの共存、と一言でいえば簡単だが、この難しい課題に取り組まなければ、21世紀においても人類は進歩ができないまま一進一退を繰り返すだけではないだろうか。

「やっぱりフィルムやレコードが良かったな」などと30年後に語られるような世界にはなってほしくないのだが。

コメント

nophoto
benzy
2006年1月29日20:27

うーむ。当たっている面もありますが、アナログ・レコードよりCDが勝っている点も多いですよ。
それにピュア・オーディオの世界は依然としてアナログの技術が音質を左右する重量なファクターなので、デジタルとアナログは既に共存しているといえばしてるのです。
デジカメも一眼レフ・クラスならば、プロのカメラマンも使ってるぐらいなので、銀塩フィルムの画質と遜色ないレベルなんだと思います。

個人的にはデジタル化による最大のメリットは使い易さとコストパフォーマンスだと思ってます。
聴くのが面倒なアナログ・レコードのままだったら、レコードを買う人は一部の音楽マニアに限定されていたはずです。まあ、当時から置き場所に困るでかいアナログ・レコードやレコード・プレーヤーが嫌いで、カセットテープで聴く人も多かったですけどね。

ところで、ブロードバンドの普及により、今後は流通コストがかからないダウンロード配信が主流になって行くでしょう。
例えば、ロバート・フリップのDGM Live!は、FLACによる可逆音声圧縮方式でCDクオリティでの音質でファイルのダウンロードも可能で、CDとして聴きたければ、CD-Rに焼けばCDプレーヤーで聴けるし、ジャケットもPDF形式で用意されており、ダウンロードして、プリントアウトし、CDケースにセットすれば、それはそれでちゃんとしたCDとなります。
もうビジネスのことばかり考えて、アルバムのリリースを急がせたり、遅れさせたり、CCCDなんて平気で出すような邪魔臭いレコード会社やJASRACなんて不要です(価格が高いわりにはアーティストへの著作権というか印税率も低いし)。
そうはいっても、当分パッケージソフトとしてのCDはなくならないと思いますが・・・。

かずあき@寺之内
かずあき@寺之内
2006年1月29日21:42

確かにオンラインは流通コストがかかりませんし在庫を抱える必要もないし、それはそれで便利ですよね。

しかし、その「便利」というのが厄介な代物で・・・。私は仕事の都合でしぶしぶ携帯を持った人間ですが(みずから持ちたいと思ったことは一度もありません)、私用で使うことはほとんどなく、仕事でかけることもそれほど多くはないと思います。反対に、「いまどこにいるんだ!」というような電話がかかってくることが多いです。要するに便利に「使われている」という状態ですね、携帯を持つことによって。

いずれにしても、携帯やパソコンの無い人が疎外されていくような社会が進んでいくような気がして不安ですね。

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