佐野元春CD Sony Music Direct 2005/12/21 ¥2,520

(1)夜のスインガー
(2)ビートでジャンプ
(3)情けない週末
(4)Please don’t tell me a lie
(5)グッドタイムズ&バッドタイムズ
(6)アンジェリーナ
(7)さよならベイブ
(8)バッドガール
(9)Back to the street
(10)Do what you like

昨年末に紙ジャケットで佐野元春の旧作アルバムが再発された。せっかくの機会なのでアルバムについていくつか書いてみたい。

佐野元春がレコード・デビューしたのは80年3月21日、シングル”アンジェリーナ”においてである。今でこそ日本のロッカーの見本のように語られているけれど、彼のようなスタイルのミュージシャンは当時の日本にいなかった。よって、どんなレコード会社や事務所に所属させればよいか、周囲の人たちも悩んだという。

また、デビュー時の佐野自身も確固とした方向性を見出していなかった。プロデュースやアレンジといった作業の仕方もわからないまま、大村雅朗や伊藤銀次などとの共同作業によってなんとか作り上げたのがこの「BACK TO THE STREET」である。

高校生の時にホーン・セクション入りの10人編成バンドを組むほどの才人だけあってジャズとかブルースとかいった様々な音楽が入っているものの、それが雑多な印象を与えることも否定できない。それでもスタイルを大きく分ければ、バンド形態と一人でのピアノ弾き語りの2つになるだろうか。ご存知のように、彼はバンドというスタイルを現在まで続けていくわけだが、この時点ではまだ模索中という感じが見てとれる。

92年から彼の音楽を聴いた自分の立場からみれば、あまりこのアルバムに親しみがあるわけではない。理由は簡単で、現在も演奏している曲といえば”アンジェリーナ”くらいしかないからである。そういうこともあり、10年以上前からこのアルバムは持っていたけれど、まともに聴いたのはこの再発CDによってである。

個人的にこの作品の重要点を挙げるとすれば、「日本語のロック」というものに対する彼の強いこだわりだろうか。ビートルズやボブ・ディランなどの英米のミュージシャンに強い影響を受けながらも英語詞を作るわけでもなく、また「はっぴいえんど」など今までの日本のバンドとも違う、新しい日本語のロックを歌おうという彼の信念をこの作品から強く感じるのだ。

ちなみにシングルもアルバムはセールス的には惨敗で、メディアの評価も、一部をのぞいて、思わしいものではなかった。また、佐野元春の一応のスタイルが完成を遂げるまではまだしばらく時間がかかる。

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