オレンジ・ジュース CD ポリドール 1998/03/25 ¥1,750フォーリング・アンド・ラフィング
アンタイトルド・メロディ
ワン・ライト
テンダー・オブジェクト
ダイイング・デイ
L.O.V.E.(ラヴ)
インテュエイション・トールド・ミー(パート1)
アップワーズ・アンド・オンワーズ
サテライト・シティ
スリー・チアーズ・フォー・アワ・サイド
コンソレーション・プライズ
フェリシティ
イン・ア・ナットシェル
ユー・オールド・エキセントリック
インテュエイション・トールド・ミー(パート2)

フランツ・フェルディナンドのCDを初めて聴いた時のことを思い出している。彼らのポップなところが単純に惹かれたのだが、具体的にどの辺りが魅力なのかを説明するのはなかなか難しい。しかし、オレンジ・ジュースの影響を彼らが受けているという話を聞けば、自分がフランツを好きになった一因がそれのような気がしてくる。大好きなジョイ・ディヴィジョンの精神が死に絶えることなくモグワイやペイヴメントの中で生きている(生きていた)ように、フランツもまたオレンジ・ジュースの持っていた何かを受け継いでいるのかもしれない。

私が持っているオレンジ・ジュース(Orange Juice)のこの「キャント・ハイド・ユア・ラヴ・フォーエヴァー」は何年か前に中古CD屋で買ったものである。それはいつの頃かははっきり思い出せなけれど97〜99年の間くらいに違いない。その頃の私は「パンク」や「ニュー・ウェーブ」などと言われたミュージシャンのCDを収集していた時期なので、そんな時にこれも手に入れたのだろう。中に入っている解説の日付が91年であり、さらにオレンジ・ジュースの作品が初CD化となり喜んでいるフリッパーズ・ギターの二人(小沢健ニと小山田圭吾)の対談も入っているからつくづく時代を感じてしまう。

活動していた時期に出た4枚のアルバムのうち日本盤は1枚しか発売されなかったという通り、我が国では長らく評価を受けてこなかったバンドだ。しかし英国での彼ら、および彼らの在籍していたレコード・レーベル「ポストカード・レーベル」は、ポスト・パンクとかインディーズといった当時の音楽シーンを象徴する存在の1つのようだ。大手のレコード会社を押しのけてチャートの上位に入った彼らやアズテック・カメラはインディー・レーベルの星だったのだろう。

オレンジ・ジュースが最初に出したこの「キャント・ハイド・ユア・ラヴ・フォーエヴァー」は彼らの代表作であると同時に「ネオ・アコースティック」(略してネオ・アコ)と呼ばれた音楽の代名詞となっている作品だ。私はネオ・アコには特に思い入れはないけれど、このアルバムは確かに傑作だと思う。エドウィン・コリンズのあまり若々しくない歌い方とポップな演奏が絶妙なバランスを取っており、しかも古びていない。現在の感覚では骨董品としか思えない当時の作品が多い中にあってこのアルバムは実に貴重である。

しかし、このアルバムはどうも98年に再発されたきりのようだ。実のところ、現在もそれほど彼らの評価は高くないのかもしれない。紙ジャケットやリマスターでの再発など、パンク誕生30年記念に便乗してどこかが企画しないだろうか。ただ、リマスター云々などしなくても十分に楽しめる水準の作品なので中古でもなんでも手に入れてほしいと言いたい。

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