渡辺美里 東京公演(08年1月1日、渋谷C.Cレモンホール)
午前8時半、元日でこの厳しい寒さの中、なぜか私は京都駅のホームにいた。これから新幹線で東京へ向かう。キオスクで買った「天むす」を車中で食べ、ニール・ヤングやサム・クックを iPodで聴きながらずっと本を読んでいた。

今日は渋谷で渡辺美里のライブがおこなわれる。元日にわざわざ京都から上京するなんて、と思う人もいるだろう。しかし、こんな日にすることがあるだろうか。年の始めに好きなミュージシャンを観られるというのはこのうえない喜びである。

チケットはすぐに完売した。しかも大半はファンクラブの先行予約でさばけてしまったらしい。それを逃した人は一般販売でも取れなくてチケットを入手できなかった、という話も聞いた。

11時少し前に東京駅に到着する。ニュースでは寒波だと騒がれていたけれど、どちらかといえば暖かいくらいだ。新宿周辺で昼食を済ませ、ブラブラしながら午後2時にはすでに渋谷のC.Cレモンホール前に着いてしまった。すでに人はいっぱいいて物販も始まっている。周囲を見ると、赤い福袋を手に提げている人が多い。どうやらこれも売っているようだ。これには興味がでてきて、列に並んで買うことにする。価格は1万円とけっこうな額だった。画像がそれである。ちなみに150個あった福袋は見事に完売した。

しかし、中身を開けてガックリする。これ1個あたり7000円くらい利益が出るのでは、というような内容だったからだ。具体的にいえば、

スタンダードフリース ブランケット:「膝掛け・肩掛けとしてお使いください」
と書いてある。コモモのイラストが貼っていた。
トランプ:「kokoro ginga」という字が入っている。
風呂敷:ペットボトルをリサイクルした、再生ポリエステル100%の風呂敷。
ポチ袋:5枚1組の、お年玉を入れるような袋。「misato」と小さな字が入っている。
サトウの福餅入り鏡餅 宝船:小さな鏡餅で、てっぺんには「美」と書かれた帆掛け船が乗っかっている。
美里おみくじ:運勢は「中吉」だった。そして,

二〇〇八年のアナタ「美容&健康に気をつかうと吉!?」
ラッキースポット「夏の東京&大阪」
ラッキーSONG「Believe」

となっていて、

「今日は二〇〇八年 美里新春ライブにようこそ。おみくじの結果はどうでしたか?お守り代わりにいつも近くに置いてくださいね。今日から初(原文ママ)まる366日、あなたにとってハッピーがたくさん起こりますように。」

この福袋を買ったおかげでもうすでにハッピーでないような・・・などと気落ちしながら近く「NHKスタジオパーク」に入る。

http://www.nhk.or.jp/studiopark/

普段は有料だが3が日はタダだったのは幸運だ。お客がニュースを読んだり天気図を指したりなどいろいろ体験できてなかなか面白い。ここで時間をしばらくつぶして、午後3時いよいよ会場に入る。

座席は「1階27列7番」だった。ピンとこないだろうが、最後尾から3列目の左端の方である。先行予約の際は、

「FC会員の方にどこよりも良い席をご用意いたします。」

という案内だったので多少は期待していた。そしてこの席だったので結構ガッカリする。いや、やはり彼女について妙な期待をしてはいけない、と気持ちを新たにする良い機会と思った。しかし、ステージを見るには十分だが表情はとても確認できそうにない。あと、入口では桝が配られていた。正月らしいけれど、使うことはないだろうな。

舞台は年末の「ココロ銀河ツアー」と同じ形だった。ただ、両端には門松が置いてあり正月の雰囲気を出している。選曲はツアーと変えてくるだろうか。私の興味はそれくらいでしかない。

午後3時35分ごろ照明が落ちる。そして「ココロ銀河ツアー」のごとく星空のような明かりが出てくる、かと思ったら真っ赤な光が出てきてドアーズ(The Doors)の“Break On Through”が流れ出し会場が沸く。この曲は93年の西武ライブから始まりの合図に使われたことでファンには記憶に残っている。最も新しいのは04年の西武ライブ以来だから懐かしいかな。

1曲目は、ツアーの時にアンコールで歌った“Long Night”、そして“サマータイム ブルース”、“恋したっていいじゃない”と盛り上がる曲が一気に演奏される。“恋したっていいじゃない”の演奏が始まると「謹賀新年」と書かれた幕がバッと下りてきた。ちょっと飛ばしすぎでは?というほど勢いのある序盤だった。

しかしそんな心配も杞憂に終わり、中盤はかなり大人しめの選曲となる。基本的にはツアーで演奏したものが中心で、しかし新たな曲もけっこう追加されていた。

まず、ツアーで大盛り上がりとなったカードで曲を選ぶコーナーでは、

・風待草 〜かぜまちぐさ〜
・悲しいね
・小指
・truth
・Gift
・また、明日

とカードも少し新しくなっている。ちなみに今回は、曲名を全て明らかにしたうえで選ばせていた。ただこのカードは・・・個人的にはどれでも良いです、という感想しかもてない。ただ年始といえば、歌詞に「年賀状」と出てくる“Gift”が浮いている。選んだニューハーフらしき人も謀ったように“Gift”に決めていた。

よく考えれば、この曲を聴くのはけっこう久しぶりな気がしないでもない。でも、一時期はことあるたびに歌われていたし、あんまり貴重だとも思えないというのが本音である。それから、“Oh! Hardest Night”も披露された。これは歌詞に「渋谷」が出てくるからだろう。実はこの曲が好きで、個人的にはこの日のハイライトと思っている、少数派かもしれないけれど。

“熱情”のあと「菊正宗」の樽が2つ出て来て鏡割りの儀式だ。さっきの桝はこのために使うものだったのか。一緒にする人を会場の中から美里が指名した。すると、中央で怪しい動きをしていた男性がステージに向かう。誰かと思ったら、それは槙原敬之だった。樽を割って、彼女に提供した“トマト”をデュエットしてあっさりと引っ込む。それにしても妙なテンションの人だった。その後はツアーと同じ流れで本編が終了する。

白眉はアンコールだろう。“My Revolution”の後で、懐かしいキーボードの音が鳴り出す。なんと“JUMP”だった。最後の西武ライブ(05年)以来でスタジアムでしか歌ってない印象の曲なので、嬉しい不意打ちだった。“すき”を挟んで、これまた3年ぶりの“Lovin’ You”も歌われて、これで上京した甲斐はあったかなという気持ちになる。

ここでバンド全員が前に出て来て終了と思いきゃ、この場所ではこれを歌わないと、とか言って“eyes”を披露する。それから2月に出るという“yes”を触りだけ歌った。終わったのは6時半、約3時間と予想を上回る長さだった。夏のライブ並みである。

最後の方のMCで、今年の夏は東京でライブをおこなうと発表していた。まだ未定なものの大阪も検討しているらしい。しかし、東京は8月9日(土)、いつも仕事の入る時期にあたる。果たしてどうなるか、いまはまだわからない。

会場を出ると、

「やっぱり福袋を買ったのは失敗だったな」

という後悔の念がまた出てくる。しかし、買わなかったら買わなかったで悔いが残ったかもしれないが。美里の状態は無難な感じだったが、アンコールの2曲(“JUMP”、“Lovin’ You”)が聴けたので個人的には良しとしよう。さて、今年は何本のライブを観るのだろう。

ライブが終わったのはまだ早い時間だったので京都に戻る予定だったが、知り合いから連絡があったため一緒に食事をして、新宿のカプセルホテルで一夜を過ごした。最後に演奏曲目を記す。

【演奏曲目】
(1)Long Night
(2)サマータイムブルース
(3)恋したっていいじゃない
(4)青い鳥
(5)Believe
(6)私のカルテ
(7)I wish
(8)Gift※6枚のカードから選ぶ
(9)Oh! Hardest Night
(10)熱情
(11)トマト※槙原敬之とデュエット
(12)Cosmic Girl
(13)パイナップルロマンス
(14)ムーンライトダンス
(15)ココロ銀河
(16)10 years

〈アンコール〉
(17)My Revolution
(18)JUMP
(19)すき
(20)Lovin’ You
(21)eyes
(22)yes※触りだけを歌う

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