振り返ってみれば今年も渡辺美里のライブはけっこう観た。列挙すると、

1月27日、東京・天王洲銀河劇場:詩の朗読会「言の葉コンサート」
3月11日、東京国際フォーラムCホール:谷村新司の「ココロの学校」のゲスト出演
5月19日、奈良・薬師寺:Present Tree Live
7月29日、横浜みなとみらい・新港埠頭特設ステージ横浜ライブ:恒例の野外ライブ
8月18日、熊本城・奉行丸特設ステージ:これも野外ライブ
11月24日、神戸国際会館こくさいホール:「ココロ銀河ツアー」

そして本日のNHK大阪ライブを入れると7本になった。BONNIE PINKでも3本だから数では突出している。1月の詩の朗読会や「ココロの学校」など意味不明な内容もあったものの、7月のライブは奇跡的なほど良かったし、こないだの神戸公演もそれに次ぐ素晴らしいものだった。突出した内容を2度観られたのだから、今年の美里は良かった方だと言いたい。

そして今回のNHK大阪ホールは私にとって今年最後のライブである。果たして有終の美を飾れるかどうか。そんなことを思いながらの開演だ。

内容は基本的にこないだの神戸と変更はない。唯一変わってくる5曲目は“BELIEVE”になった。冬のこの時期だからということだろうが、無難な選曲になってしまった感がある。神戸のみで披露された“Boys Cried ”は貴重であったというしかない。

そして今回のツアー恒例の、カードをお客が引いて曲を選ぶコーナーでは、なんと曲名をあらかじめ見せる方法になった。今日のカードは、

小指
Blue Butterfly
Heart Of Gold
風待草〜かぜまちぐさ〜
truth
I wish

この曲名を見た時にはかなり失望する。他の会場ではあった“Kick Off”のカードが入ってなかったからだ。この曲を聴ける可能性がこの瞬間に断たれてしまう。結局、美里が指名した最前列の女性は“I wish”を選ぶ。この6曲の中でとなれば妥当な選択には違いない。

それにしても、このカードで曲を選ぶコーナーだが、わざわざ客席に選ばせるような類の曲だろうか。見れば、“I wish”以外は全て21世紀に出た曲ばかりである。彼女が本当に歌いたければ、わざわざコーナーなど設けずに通常のセット・リストに組み込めば良いと思うのだが。このあたりに表現者と受け手との超え難い断絶を感じてしまう。

全体の選曲についても疑問がある。今回のライブの曲目を見ると「ココロ銀河」の収録曲ばかりで、「ソレイユ」(01年)、「ORANGE」(03年)、「Blue Butterfly」(04年)、「Sing And Roses」(05年)など最近のアルバムの曲がまったく入っていないのだ。振り返ってみると最近のツアーはいつもこんな感じだ。新作の曲は今回限りで、次のツアーには全く演奏されない。なんだか使い捨ての気がしてあまりに悲しい。

この10年ほどで発表された曲では“サンキュ”くらいしかファンに定着していない気がするが、彼女にしても曲を根付かせようとする意識が高いと思えない。ならば新作など出さず80年代から90年代前半の曲ばかり歌ったらどうだろう。長年のファンだったらその方がずっと喜ぶに決まっている。それに新規のファンなどほとんど開拓されてないわけだし。

年内最後のライブでなんだか厳しいことを言った気がする。別に内容が悪かったわけではない。ただ神戸公演があまりに良かったため大阪ではアラが見えてしまったというのが正直なところである。また選曲に関する不満というのは常にくすぶっているため、たまたまここで噴出したと理解してもらえればと思う。

今年はこれで終わりだが、来年はもう元日にC.Cレモンホールでライブがある。08年を占う意味でもけっこう重要な意味をもつのではないだろうか。大きな期待は抱かないように注意しながら、彼女の行く末を追いかけていきたい。最後に演奏曲目を記す。

【演奏曲目】
(1)その手をつないで
(2)KISS& CRY
(3)サマータイム ブルース
(4)青い鳥
(5)BELIEVE
(6)私のカルテ
(7)LOVE IS HERE
(8)I wish
(9)熱情
(10)また、明日
(11)Cosmic Girl
(12)パイナップル ロマンス
(13)ムーンライト ダンス
(14)ココロ銀河
(15)10years

〈アンコール〉
(16)Long Night
(17)とびだせ青春
(18)My Revolution
(19)eyes

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