「100円マック」成功の裏に
2009年4月3日 お仕事いつ終わりがくるのかわからない不況だが、そんな状況でも利益を出している会社はある。日本マクドナルドもその一つだ。2008年12月期の連結決算は売上高・最終利益ともに過去最高だったという(09年2月4日、日本マクドナルドホールディングスの発表より)
4月3日12時22分配信の「プレジデント」の記事に、「なぜ『100円マック』でも儲かるのか:マック式ファイナンス論」というのがあった。マクドナルドはいまから15年前の1994年、これまで210円だったハンバーガーを100円という低価格に値下げする。これによって販売数は20倍にも増えたのである。
100円に値下げしても儲かる仕組みをハンバーガー1個の「固定費」と「変動費」の内訳からこの記事は分析している。固定費を簡単に言うと、売上の増減に関係なく発生する決まった額の費用のことである。マクドナルドに即して考えると社員人件費(社員の給料など)や店舗賃借料(店の家賃)が代表的なものである。これらは、たとえ売上が0円になろうとも、必ず出てくる費用だ。
一方、売上に比例するのが「変動費」で、原材料費(パンや肉などの代金)が筆頭にあげられる。ハンバーガーの生産量、また原材料の価格変動によってこのあたりの金額は変わっていく。
そしてハンバーガーは固定費の割合が多くを占める商品である。これまでの210円バーガー1個にあてまめると、
人件費が40.7円(19.4%)
店舗賃借料が21円(10%)
となる。ここに他の経費を引くと営業利益は12.9円しか残らない。比率にすればわずか「6.1%」だ。商品の価格から考えるとかなり効率の悪い商品といえる。
そこで原田泳幸CEO(最高経営責任者)は固定費の削減を試みる。売り上げが増大すれば、1個あたりの固定費が下がり、結果として利益が拡大する。原田CEOが100円マックに踏み切ったのはその点だった。
結果として、100円バーガーになってからは1個あたり、
人件費が2.3円(2.3%)
店舗賃借料が1.2円(1.2%)
と固定費は大幅に圧縮される。それにともない、1個あたりの営業利益も34.7円と跳ね上がる。利益率にすれば「34.7%」だからとんでもない話だ。今回の急躍進も納得できる話である。
しかしながら、このマクドナルドのビジネス手法は手放しで絶賛できるものなのだろうか。100円マックに切り替えて売上が20倍になったということは、とりもなおさず現場作業も20倍にキツくなったことを意味する。値段を下げても利益を出すためには、従来の何倍も商品を売らなければならない。薄利多売とはそういうことだ。
翻って、過去最高益を出すような状態になって社員の待遇も大幅に良くなったかといえば、おそらくそんなことはないだろう。固定費の削減に目をつけた経営者がやすやすと人件費を増やすような真似はしまい。
消費者も経営者も得をしているように見える100円マックであるが、そのしわ寄せをくらっている人たちも確実に存在しているということか。
4月3日12時22分配信の「プレジデント」の記事に、「なぜ『100円マック』でも儲かるのか:マック式ファイナンス論」というのがあった。マクドナルドはいまから15年前の1994年、これまで210円だったハンバーガーを100円という低価格に値下げする。これによって販売数は20倍にも増えたのである。
100円に値下げしても儲かる仕組みをハンバーガー1個の「固定費」と「変動費」の内訳からこの記事は分析している。固定費を簡単に言うと、売上の増減に関係なく発生する決まった額の費用のことである。マクドナルドに即して考えると社員人件費(社員の給料など)や店舗賃借料(店の家賃)が代表的なものである。これらは、たとえ売上が0円になろうとも、必ず出てくる費用だ。
一方、売上に比例するのが「変動費」で、原材料費(パンや肉などの代金)が筆頭にあげられる。ハンバーガーの生産量、また原材料の価格変動によってこのあたりの金額は変わっていく。
そしてハンバーガーは固定費の割合が多くを占める商品である。これまでの210円バーガー1個にあてまめると、
人件費が40.7円(19.4%)
店舗賃借料が21円(10%)
となる。ここに他の経費を引くと営業利益は12.9円しか残らない。比率にすればわずか「6.1%」だ。商品の価格から考えるとかなり効率の悪い商品といえる。
そこで原田泳幸CEO(最高経営責任者)は固定費の削減を試みる。売り上げが増大すれば、1個あたりの固定費が下がり、結果として利益が拡大する。原田CEOが100円マックに踏み切ったのはその点だった。
結果として、100円バーガーになってからは1個あたり、
人件費が2.3円(2.3%)
店舗賃借料が1.2円(1.2%)
と固定費は大幅に圧縮される。それにともない、1個あたりの営業利益も34.7円と跳ね上がる。利益率にすれば「34.7%」だからとんでもない話だ。今回の急躍進も納得できる話である。
しかしながら、このマクドナルドのビジネス手法は手放しで絶賛できるものなのだろうか。100円マックに切り替えて売上が20倍になったということは、とりもなおさず現場作業も20倍にキツくなったことを意味する。値段を下げても利益を出すためには、従来の何倍も商品を売らなければならない。薄利多売とはそういうことだ。
翻って、過去最高益を出すような状態になって社員の待遇も大幅に良くなったかといえば、おそらくそんなことはないだろう。固定費の削減に目をつけた経営者がやすやすと人件費を増やすような真似はしまい。
消費者も経営者も得をしているように見える100円マックであるが、そのしわ寄せをくらっている人たちも確実に存在しているということか。
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