マイケル・ジャクソンがまだ50歳という年齢で急逝した。1億枚以上も売れたと言われるアルバム「スリラー」(82年)すら持っていない私は、彼についての思い入れというのは皆無である。だから正直いって、今回の件で特にショックを受けたということはない。

しかしながら、彼について今でもずっと頭に残っている話が一つだけある。それはマイケル自身の発言ではなく、ラッパーのスヌープ・ドッグ(当時はスヌープ・ドギー・ドッグという芸名だった)が何かの雑誌で語っていたことだった。

スヌープはギャングの一員として幼少期を過ごしたラッパーで、デビューアルバム「ドギー・スタイル」(93年)の発売直前には殺人容疑をかけられるなど、衝撃的な登場をした人である。そして「ドギー・スタイル」は大ヒットを記録した。

そんな彼がどこかでインタビューで言っていたことが今でも忘れられない。正確な引用はできないが、こんな感じの発言だった。

「世界は黒人を引きすり下ろすようにできてるんだ。マイケル・ジャクソンを見てみろよ。」

この発言を見たとき、黒人にとってのマイケル・ジャクソンとはこういう存在だったのか、とけっこう衝撃を受けたものである。黒人が社会で成功するとどのような仕打ちを受けるか。急激にスターとなったスヌープは、マイケルの姿を自分と重ね合わせたのだろう。彼の発言からそんなことを感じたのである。

さまざまな奇行やスキャンダルがやたらと取り上げられ、生前はめちゃめちゃに叩かれていた感のあるマイケルだが、もし彼が黒人でなかったとしたらあれほどの目には遭っていなかったのではないか。なんとなく私はそのように思っている。

マイケルが亡くなってから出てくるのは、その死を惜しむ声や美談ばかりである。しかし私としては、黒人の立場から彼の死はどのように受け止められているのか、その辺を知りたい気がする。

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