(1)Nightingale ナイチンゲール
(2)Change in Mind, Change of Heart チェンジ・イン・マインド・チェンジ・オブ・ハート
(3)Jazzman ジャズマン
(4)You Go Your Way, I’ll Go Mine アイル・ゴー・マイン
(5)You’re Something New ユア・サムシング・ニュー
(6)We Are All in This Together 世界はひとつに
(7)Wrap Around Joy ラップ・アラウンド・ジョイ
(8)You Gentle Me ユー・ジェントル・ミー
(9)My Lovin’ Eyes マイ・ラヴィン・アイズ
(10)Sweet Adonis スウィート・アドニス
(11)Night This Side of Dying ア・ナイト・ジス・サイド・オブ・ダイング
(12)Best Is Yet to Come いつか良き日々が
(13)Oh No,Not My Baby ノット・マイ・ベイビー ※ボーナス・トラック

来月ジェイムス・テイラーと一緒にキャロル・キングが2年ぶりの来日をする。それが頭に入っていたためだろうか、先日ふと彼女の代表作「つづれおり」(71年)を取り出して繰り返し聴いていた。

そうしているうちに、

「そういえば、彼女のアルバムは2枚しか持っていなかったな」

ということに気づく。確かに部屋にあるのは「つづれおり」と、いまのところ最新のオリジナル・アルバムである「ラヴ・メイクス・ザ・ワールド」(01年)だけである。彼女の作品をもっと聴きたいと思うことがこれまでも何度かあった。しかし、実際に何か他の作品を買うというまでには至らなかった。

理由は簡単な話である。どの作品を買えば良いのか判断がつかなかったからだ。キャロル・キングの代表作といえば間違いなく「つづれおり」であり、ガイドブック等でもこれ以外の作品が出てくることはまずない。実際のところ世界中で2200万枚を売り上げているわけで、内容以外の面でも突出したものであることは否定できない。彼女のアルバムでまず手にするべきものは「つづれおり」で異論は無いだろう。しかし、「じゃあ2枚目に何を手にするの?」と訊かれたら返答に窮してしまう。そして、いままでの私はそのような場所にいたわけであった。

ともかく何か試してみようと思い、市内のCDショップを回って3枚のアルバムを買ってみた。いずれも彼女が07年に来日した記念に出た紙ジャケット仕様のものである。そのうちの一つがこの「喜びにつつまれて」(Wrap Around Joy)だった。「つづれおり」から3枚のアルバムを置いて発表された74年の作品で、この中に入っている”ジャズマン”という曲がヒットしている。といっても、買った時点でこの曲がどんな曲か知らなかったが。つまり、この作品についての予備知識はほとんど皆無であった。

しかしながら、このアルバムの内容には本当に唸らされた。1曲目の”ナイチンゲール”から最後の”いつか良き日々が”に至るまで、出てくる曲がどれもこれも素晴らしいのである。それこそ「つづれおり」とも遜色が無いとまで感じたほどだ。この2枚のアルバムはどちらが優れているかと訊かれたら、私のレベルでは「どちらも最高です」としか言えない。

せっかくの機会なので、キャロル・キングの魅力についての見解を述べてみたい。私は「つづれおり」を初めて買ったのは高校2年か3年の頃だと記憶している。当時もこのアルバムは素晴らしい楽曲ばかりのアルバムと思っていたし、また彼女がリトル・エヴァの”ロコ・モーション”などのヒット曲を多数輩出した作曲家としての実績や、「シンガー・ソングライター」の代名詞であるということも後にガイドブックなどで知ることとなる。そうしているうちに、優れた作曲能力と巧みな自己表現力を兼ね備えた人という彼女のイメージが出来上がっていった。ガイドブックやネットにおける評価もおおむねそんなものではないかと思う。

しかしながら、彼女の本当の魅力を実感したのは、やはり実際にライブで演奏する姿を観た時である。たどたどしい日本語のMCを交えながら歌い演奏する彼女のパフォーマンスは、楽曲と同様に実に優しく暖かかなものであった。キャロルの音楽の魅力は彼女自身の人柄からにじみ出てくるものだと、ライブ会場で確信した。

「シンガー・ソングライター」(自作自演歌手)という言葉には、ミュージシャン個人の表現を追求するという意味で、ともすれば独善的な印象もつきまとう(私の最も敬愛するヴァン・モリソンなどその典型だろうな)。しかしながら、キャロルに関していえばそのような部分は微塵も感じられない。むしろそうしたエゴイスティックな姿勢とは対極の位置にいる人である。多くの人に愛される楽曲やパフォーマンスを生み出すためにはどうすれば良いのか。ひたすらそのために努力し試行錯誤をしているうちに、彼女の音楽も人間性もあのような魅力的なものになっていったのではないだろうか。私はそんな仮説を立てている。

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