1週間ほど前の話題で申し訳ないが、どうしても書きたい話なので遅ればせながら述べさせてもらう。

3月12日21時14分配信の「BARKS」の記事によれば、自分たちの曲をオンラインで個別販売していたEMIをピンク・フロイドが訴え勝訴したという。

MPプレーヤーで音楽を聴くのが当然と感じている若い人たちは、曲を個別に売られて訴えるなんてこいつら何を考えてるんだ?と思う方ももしかしたらいるかもしれない。

しかしレコードやCDで育った人にとっては、この判決は至極当然と受け止められるし、このような態度を取ったピンク・フロイドのメンバーに対して私は敬意すら抱いてしまう。これは、パクったパクられたとか、曲を無断でネットに流されたとかいったようなケチ臭い話とはレベルが違う。

ピンク・フロイドはシングル・カットというものには消極的なアーティストだ。それは「アルバム」という総体を一つの作品として考えていたからである。「原子心母(70年)」も「おせっかい」(71年)も「狂気」(73年)もそのようなアーティストの信念が込められたものであり、また聴き手もこうした人たちの姿勢を理解していたからこそ、これらの作品を「コンセプト・アルバム」と称したのだと思う。

それでも最近の人たちには理解できない話かもしれないが、「アルバムの芸術性を保護する」という契約をEMIが違反したという判決の指摘はまさにその通りといえる。

それにしても、かつては「CCCD」のような欠陥商品を推進しようとして失敗したEMIは、またしてもアーティストや音楽ファンの意向を無視するような態度を相変わらず続けているようだ。

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