ライブでは立つ/座るをめぐって
2010年7月21日少し前になるが、mixiのニュースで気になる話題が載っていた。題名は、
「スタンディングのイメージはあるけど……ライブは『座って見たい』73.4%」
というものである。元は「Business Media 誠」というサイトの記事であり、「アイシェア」という会社の調査結果について書かれている。
それは20〜40代男女481人(男性54.3%、女性45.7%)からインターネットで音楽について質問したものであった。その中に、
「もしライブやコンサートに行くとしたら、どのように見たいと思いますか?」
という項目があり、「できれば座って見たい」と「とっても座って見たい」という人が合わせて73.4%に対し、「とても立って見たい」と「できれば立って見たい」は26.6%という結果を示した。ライブは座って見たい、というのが大半の人の本音らしい。
基本的にロック系で若い世代のライブは、会場の照明が消えたとたんに観客が総立ちとなりキャーキャーと歓声が起こるのは相場となっている。しかしながら、もう年配のお客が大半のコンサート(私が観た中でパッと思いつくのはルー・リード、ジャクソン・ブラウン、キャロル・キング、キング・クリムゾンなど)は基本的に本編終了まで着席してライブを鑑賞し、終盤でスタンディング・オベーションを贈るという流れになっている。
そういえば、ニール・ヤング&ザ・クレイジーホースのライブを初めて観た時は、最初お客は立ち上がったものの、ニールが「座ってろ」と手でジェスチャーをして皆が再び着席したこともある。ちなみに中島美嘉のライブはお客によって反応がバラバラだ。ずっと立ってる人もいれば座ったままの人もいる。こんな感じで、ミュージシャンやそのファンによってライブのあり方は変わってくるのだ。
この調査結果で興味深いのは、立ってライブを観たいというお客は全体の4分の1に過ぎないという点である。多くの人は座りたいと思っているものの、4分の1の連中に引っ張られて思わず立ってしまうというのが実際の姿なのである。オールスタンディングのライブの場合はこういうところがより顕著になって出てくる。モッシュやダイブをしたり、腕を振り上げて暴れている連中の割合は、せいぜい前方の数分の1に過ぎない。
調査は「立って見たい」派の具体的な理由も尋ねているが、
「曲に合わせて踊りたいから」
「曲にノリたいから」
「盛り上がりたい」
など、いずれも社会的視点が欠けた自己中心的なものばかりだ。モッシュやダイブばかりしているクズの人たちと同じ頭の構造にちがいない。
それにしても、むやみやたらに観客が立って騒ぐようになったのは一体いつからだろう。かつてNHKの衛星放送でキッスの大昔のライブの模様を観た時にはお客がみんな座って観ていたのだから。おそらくは海の向こうのライブ行為が映像で伝わってきて日本人も真似するようになっていったのだろうが、その辺の歴史的推移がよくわからない。いずれにせよ観客のマナーとしては、ジャクソン・ブラウンやキャロル・キングなどのお客の方が理にかなっているといえる。
ライブで立つ/座るについて思い出すのは山下達郎の話だ。彼のラジオ番組にリスナーから、達郎さんのコンサートは最初から総立ち状態なんですか?というような質問が出てきた。それに対して、私のコンサートではそういうことはありません、何もしないのにどうして立つんだと思ってしまう、というような返答を山下がしていてたことを今でも頭に残っている。確かにその通りの指摘だと思った。お客が立って盛り上がっている姿を観て、必ずしもミュージシャンが喜ぶわけでもないということか。
基本的には私は、周囲の人たちに迷惑さえかけなければ、立とうが座ろうが別に構わない。それで本人が楽しめれば結構なことだ。そうはいっても、ライブの状況や空気にはそれなりに合わせなければならないとは思っている。ホール会場で周りが全員立ってしまえばステージも見えなくなるので、その時は立ち上がって観る。モッシュやダイブが起こりそうなライブでは、前方や真ん中の危険な位置は避けて観る。そうやって自分がライブを楽しめるような環境を作っていくのが現実的な対処法ではないだろうか。誰がなんと言おうと立ちたい/座りたいなどと自分のやり方を貫くのは、ライブを楽しむためにはあまり賢明なことではないだろう。
「スタンディングのイメージはあるけど……ライブは『座って見たい』73.4%」
というものである。元は「Business Media 誠」というサイトの記事であり、「アイシェア」という会社の調査結果について書かれている。
それは20〜40代男女481人(男性54.3%、女性45.7%)からインターネットで音楽について質問したものであった。その中に、
「もしライブやコンサートに行くとしたら、どのように見たいと思いますか?」
という項目があり、「できれば座って見たい」と「とっても座って見たい」という人が合わせて73.4%に対し、「とても立って見たい」と「できれば立って見たい」は26.6%という結果を示した。ライブは座って見たい、というのが大半の人の本音らしい。
基本的にロック系で若い世代のライブは、会場の照明が消えたとたんに観客が総立ちとなりキャーキャーと歓声が起こるのは相場となっている。しかしながら、もう年配のお客が大半のコンサート(私が観た中でパッと思いつくのはルー・リード、ジャクソン・ブラウン、キャロル・キング、キング・クリムゾンなど)は基本的に本編終了まで着席してライブを鑑賞し、終盤でスタンディング・オベーションを贈るという流れになっている。
そういえば、ニール・ヤング&ザ・クレイジーホースのライブを初めて観た時は、最初お客は立ち上がったものの、ニールが「座ってろ」と手でジェスチャーをして皆が再び着席したこともある。ちなみに中島美嘉のライブはお客によって反応がバラバラだ。ずっと立ってる人もいれば座ったままの人もいる。こんな感じで、ミュージシャンやそのファンによってライブのあり方は変わってくるのだ。
この調査結果で興味深いのは、立ってライブを観たいというお客は全体の4分の1に過ぎないという点である。多くの人は座りたいと思っているものの、4分の1の連中に引っ張られて思わず立ってしまうというのが実際の姿なのである。オールスタンディングのライブの場合はこういうところがより顕著になって出てくる。モッシュやダイブをしたり、腕を振り上げて暴れている連中の割合は、せいぜい前方の数分の1に過ぎない。
調査は「立って見たい」派の具体的な理由も尋ねているが、
「曲に合わせて踊りたいから」
「曲にノリたいから」
「盛り上がりたい」
など、いずれも社会的視点が欠けた自己中心的なものばかりだ。モッシュやダイブばかりしているクズの人たちと同じ頭の構造にちがいない。
それにしても、むやみやたらに観客が立って騒ぐようになったのは一体いつからだろう。かつてNHKの衛星放送でキッスの大昔のライブの模様を観た時にはお客がみんな座って観ていたのだから。おそらくは海の向こうのライブ行為が映像で伝わってきて日本人も真似するようになっていったのだろうが、その辺の歴史的推移がよくわからない。いずれにせよ観客のマナーとしては、ジャクソン・ブラウンやキャロル・キングなどのお客の方が理にかなっているといえる。
ライブで立つ/座るについて思い出すのは山下達郎の話だ。彼のラジオ番組にリスナーから、達郎さんのコンサートは最初から総立ち状態なんですか?というような質問が出てきた。それに対して、私のコンサートではそういうことはありません、何もしないのにどうして立つんだと思ってしまう、というような返答を山下がしていてたことを今でも頭に残っている。確かにその通りの指摘だと思った。お客が立って盛り上がっている姿を観て、必ずしもミュージシャンが喜ぶわけでもないということか。
基本的には私は、周囲の人たちに迷惑さえかけなければ、立とうが座ろうが別に構わない。それで本人が楽しめれば結構なことだ。そうはいっても、ライブの状況や空気にはそれなりに合わせなければならないとは思っている。ホール会場で周りが全員立ってしまえばステージも見えなくなるので、その時は立ち上がって観る。モッシュやダイブが起こりそうなライブでは、前方や真ん中の危険な位置は避けて観る。そうやって自分がライブを楽しめるような環境を作っていくのが現実的な対処法ではないだろうか。誰がなんと言おうと立ちたい/座りたいなどと自分のやり方を貫くのは、ライブを楽しむためにはあまり賢明なことではないだろう。
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