ネットでニュースを見ていたら、目を疑ってしまうような研究結果に出会った。それは京都大学や同志社大学がインターネットでおこなった調査で、100を超える国公私立大学を卒業した人たち(文系988人、理系644人の計1632人)の年収を調べるというものだった。

その結果、平均年収を文系・理系で比較すると、

文系:583万円
理系:681万円

と理系が約100万円も文系を上回っていたというのである。この研究チームの一人である西村和雄・京都大学特任教授は、

「文系の方が高収入という”通説”が覆された」(「毎日新聞」8月24日19時5分配信)

と述べている。しかしこれを見て

「そんな通説があったんですか?」

と冗談抜きに驚いてしまった。私の中では、理系の方が就職に有利で待遇も良い、というのが「通説」だったからだ。

基本的に、文系よりも理系の学生の方が企業から高く評価されているのは間違いない。その最も端的な例が大学院生に対する待遇の違いだろう。理系の採用については学部卒と大学院卒に分かれていて、当然のごとく大学院卒の方が待遇は良い。これに対して文系の院卒など大半は「既卒者」としか扱われないだろう。ここに、就職に役立つ学部に人気が出ている「実学志向」という世の流れが加わるから、ほとんど企業で役に立つと思われていない文学系の学部はどんどん立場が悪くなっていいる。

また西村教授は、

「理系は技術を身につけることで、より広い範囲の職業を選べることが理由の一つでは」(「読売新聞」8月24日20時49分配信)

とも言っているけれど、

「そんなことわざわざネットで調べなくてもわかるんじゃないんですか?」

とこの見解にも疑問を抱いてしまう。今から14年ほど昔の話になるが、私がアルバイトをしていた時に同じ大学で工学部の人間が一緒だった。そいつは何かあるたびに、

「理系は授業ばっかりで忙しい。いいよなあ、文系は」

と文学部の私に言ってきて気分が悪かったことを、今でも思い出す。また室蘭工業大学に在籍していた人間も「授業で忙しい」と電話口で嘆いていたこともあり、

「理系はけっこう授業が詰まっていてキツいんだな」

という「通説」が自分の中に今でも残っている。

とはいいながらも、新聞で大々的に報道されているからには今回の研究結果は学術的には「新発見」だったのだろう。しかし私としては、何がどうなって「文系の方が高所得」という説ができあがったのか。そもそもそんな話がささやかれた時代が存在していたのか。そちらの方を知りたい。

コメント

お気に入り日記の更新

最新のコメント

日記内を検索