中島美嘉のお詫び

2010年10月30日
本来ならば今晩、大阪城ホールで中島美嘉のライブを観るはずだった。しかしニュースで伝えられている通り、彼女の耳の病気が原因で中止となる。ただ、会場で中島美嘉本人が会場で直接ファンにお詫びをするということを知る。そういう機会に遭遇する経験も無いだろうと思い、大阪へ向かうことにした。

と思ってはいたものの、仕事がたまっていて今日も会社を出てこなければならない。少しでも整理するため今日も朝早くから出勤した。

「4時には切り上げて、京阪電車で大阪へ向かおう」

それを第一に、昼食休憩以外はフルに体と頭を動かした。不思議なもので、時間や計画を決めて仕事をすると、それなりに目標を果たせるのだ。100点満点とはいかないまでもそれなりに業務をこなし、午後4時30分に出町柳から特急電車に乗ることができた。

言うまでないが、会場はチケットを買った人しか入ることができない。入口でチケットを見せて所定の席に座る。来場したお客は目算で2、3割くらいだった。アリーナにはステージなど舞台はなくガランとしていて、小さな台が1つポツンと立っていて、その上にスタンドマイクがまた1本だけ置いてある。あそこでわざわざお詫びの言葉を話すのかと考えると、他人事ながら「辛いだろうな」と感じてしまう。

午後6時を5分ほど過ぎたくらいだろうか、まもなく中島美嘉本人が皆さんにお話をします、という男性の声でアナウンスが流される。だいたいライブ前後のアナウンスは女性だから、その辺が奇異に感じた。放送を聞いてロビーにいた人たちがドッと入ってくる。それからまた5分くらい経ってから、ついに中島美嘉が登場した。会場から歓声などは出てくるわけでもなく、静かな拍手が起こるという感じだ。

話したことはもちろんライブが出来なかったことへの謝罪だが、私が最も印象に残ったのは、「自己管理不足」でこんなことになって申し訳ありませんでした、と最初に彼女が切り出したことだ。だが、そもそも耳の病気が原因なのだから誰が悪いとかいう話ではないだろう。そんなことまでアーティストの責務にするのはよほど性格の悪い人間に違いない。しかし、そういう人はこの世の中にはいるだろうな。

続いて、こういうことになって自分の周囲のスタッフが一番大変だったと思う、と涙ながらに話していた。これは確かにそうだろう。しかしスタッフは笑顔で「大丈夫!」と彼女に励ましてくれ、今日のお詫びのために来場者へ渡すものを準備してくれたのだ。

それは入場する時にもらった封筒で、その中にはリハーサルのステージ風景を印刷した紙と、なんと今回のライブの進行表が入っていたのである。こういうものを一般の人が目にすることはまずないだろう。このライブを立体化できなかったのは残念だったと言い、今は静養して次は100%の状態の歌とパフォーマンスをします、と宣言して彼女は壇を降りていった。

するとアリーナ席から、

「美嘉ちゃん、頑張って!」

と女性の声を飛び出す。それを聴いて振り返った中島美嘉は再び深々と頭を下げて会場を去っていった。

また男性の声で、以上で終了です、というアナウンスが流れる。なんだかお通夜みたいな空気だな、と感じながら大阪城ホールを早々と出て行った。京都に帰ると、すぐCDショップに向かい最新アルバム「STAR」の初回限定盤を買った。忙しくてまだ買えなかったのだ。だから無事ライブをおこなっていたとしても、知らない曲が多かっただろう。

大阪から帰る電車の中で幻となったセット・リストを何度となく見てみる。その1曲目はなんと”GLAMOROUS SKY”だった。実現してくれたらどんなに良かったのか、という思いは本人の謝罪があったとしても残念ながら拭えない。

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