「卒業3年以内の既卒者も新卒者」は救いの手になるか
2011年1月25日今春卒業予定の大学生の就職内定率は68.8%だったという。これは厚生労働省と文部科学省が調査して以来で過去最低の数字である。2010年のGDP(国内総生産)が日本を中国が上回るという先日のニュースも話題になっていたが、この国の経済状態はどんどん悪くなっているようだ。
政府もこのような状況に何か対策をしようと考えていて、大学など卒業3年以内の既卒者も新卒者と同じ扱いをするよう産業界に働きかけている。それを受けて、みずほフィナンシャルグループ、東京電力、清水建設といった企業は賛同の意を表明している。
例えば清水建設は、
「新卒枠の拡大で、優秀な人材の応募が増えればいい」
と言っている。
パッと聞いた感じでは、卒業したものの行き先の無い若者に門戸が広がって良かったように思えるかもしれない。しかし上の清水建設の言葉をもう一度読んでみていただきたい。企業はあくまで「優秀な人材」を採用するのが目的であって、別に就職できずにあぶれた学生を救うとかいうような意志は全くないのである。卒業3年以内までは新卒扱いになれば、学校を出てからもまだ3回は目当ての会社に入るチャンスが与えられるには違いない、だがそれ以上の積極的な意義を見いだせない。1度落ちた人間が2回3回と受けて内定をもらえる可能性は高くなるのだろうか。採用者にTOEICで730点以上の取得を義務づけると武田薬品が先日表明したが、社員採用における企業の姿勢はますます厳しくなっているといえよう。
日本の雇用に関していま必要なことは若者に門戸を開放することではなく、既に会社に入っている人たちが自由に動けるような流れを作ることだろう。要するに解雇規制の緩和だ。まさか自分がこんなことを言う人間になるとは思わなかったが、今は本気でそう思っている。終身雇用や年功序列といった制度が優れていたのは確かに私も認める。そして、そういうものを求めて多くの学生が会社に入ろうと今も頑張っているのだろう。だが、これらの制度は会社の業績がずっと右肩上がりであるという前提がなければ成り立たない。そして我が国の経済はそのような動きになっていない。
就職活動で頑張っている人たちに冷水をかけるような仕打ちかもしれないが、サラリーマンという制度の「旨味」はどんどん無くなっているのが現状だ。今日より明日の方が給料をもらえるのだから、と思いながら好きでもない仕事を頑張ることももはやできない。そして多くのサラリーマンは過労死などの窮地に陥っている。橘玲(作家)さんが指摘しているように、いまやサラリーマンというのは「ハイ・リスク、ロー・リターン」なものとなってしまったのだ。そのことを気づく人が少しでも増えて、サラリーマン以外の道を模索する人が一人二人と出てきてくれたらどんなに勇気づけられることか。そんなことを思っている今日このごろである。
政府もこのような状況に何か対策をしようと考えていて、大学など卒業3年以内の既卒者も新卒者と同じ扱いをするよう産業界に働きかけている。それを受けて、みずほフィナンシャルグループ、東京電力、清水建設といった企業は賛同の意を表明している。
例えば清水建設は、
「新卒枠の拡大で、優秀な人材の応募が増えればいい」
と言っている。
パッと聞いた感じでは、卒業したものの行き先の無い若者に門戸が広がって良かったように思えるかもしれない。しかし上の清水建設の言葉をもう一度読んでみていただきたい。企業はあくまで「優秀な人材」を採用するのが目的であって、別に就職できずにあぶれた学生を救うとかいうような意志は全くないのである。卒業3年以内までは新卒扱いになれば、学校を出てからもまだ3回は目当ての会社に入るチャンスが与えられるには違いない、だがそれ以上の積極的な意義を見いだせない。1度落ちた人間が2回3回と受けて内定をもらえる可能性は高くなるのだろうか。採用者にTOEICで730点以上の取得を義務づけると武田薬品が先日表明したが、社員採用における企業の姿勢はますます厳しくなっているといえよう。
日本の雇用に関していま必要なことは若者に門戸を開放することではなく、既に会社に入っている人たちが自由に動けるような流れを作ることだろう。要するに解雇規制の緩和だ。まさか自分がこんなことを言う人間になるとは思わなかったが、今は本気でそう思っている。終身雇用や年功序列といった制度が優れていたのは確かに私も認める。そして、そういうものを求めて多くの学生が会社に入ろうと今も頑張っているのだろう。だが、これらの制度は会社の業績がずっと右肩上がりであるという前提がなければ成り立たない。そして我が国の経済はそのような動きになっていない。
就職活動で頑張っている人たちに冷水をかけるような仕打ちかもしれないが、サラリーマンという制度の「旨味」はどんどん無くなっているのが現状だ。今日より明日の方が給料をもらえるのだから、と思いながら好きでもない仕事を頑張ることももはやできない。そして多くのサラリーマンは過労死などの窮地に陥っている。橘玲(作家)さんが指摘しているように、いまやサラリーマンというのは「ハイ・リスク、ロー・リターン」なものとなってしまったのだ。そのことを気づく人が少しでも増えて、サラリーマン以外の道を模索する人が一人二人と出てきてくれたらどんなに勇気づけられることか。そんなことを思っている今日このごろである。
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