このコンサートの案内が届いた時(1月)は行くつもりはなかった。仕事で疲弊してライブに行く余裕がなかったし、コンサートの内容自体にも興味がなかったからである。それから紆余曲折があって、10年ほどいた職場を4月で去ることになった。実は会社を辞める日についても、当初は4月に決めていたわけではない。個人的には6月いっぱいにしたかったのだが、会社とのやり取りの過程で4月までということに落ち着いたのである。今日のチケットを取ったのはそれからのことだった。
図らずもこのような日に渡辺美里が大阪でコンサートをするというのは、自分と何か因縁があるのかなと思ってしまう。私は信心深い人間でないし、日頃も運だの縁だのといったものを意識しているわけではない。しかし、これは俺を送別するために開催してくれるのかなと、勝手に解釈して大阪へ向かう。
会場のザ・シンフォニーホールはJR福島駅から北へ徒歩7分ほどにある。
http://www.asahi.co.jp/symphony/
周囲の飲食店では、シンフォニーホールのチケット提示でサービス、うんぬんの張り紙がしてある。餃子の「みんみん」(漢字が出ない)は杏仁豆腐を無料で食べられるという。杏仁豆腐かあ。月餅か芝麻球(チーマーカオ)だったら入ったかもしれないが。
私の席は2階の右側だったが客席からステージがものすごく近く感じる。席数が1704と後からサイトで知って少し驚いた。実際に観た限りではかなりこじんまりとした会場だったからだ。お客の入りが7割くらいとしても、1000人以上は入ったことになる。思いのほか集まったな、というのが正直な感想だ。
ところで、純粋なオーケストラをバックに彼女が歌うツアーはこれが初めてのことである。最初の「misato ’99 うたの木 春」(99年)の時も、それ以後の「うたの木」シリーズでも、通常のバンドが混ざっているという奇妙な編成だった。そもそも「うたの木」シリーズは、「アコースティック」と冠したライブでエレキギターや打ち込みが出てくるなど理解不能な内容が多い。先日アルバム「BIG WAVE」(93年)に書いた時にも触れたけれど、彼女が新しいチャレンジをしてみてもほとんど成果を挙げていない。「うたの木」と題したライブを私はたぶん全て観たけれど、全体的に中途半端な内容で終始している。ネットで感想を調べても散々なことが書かれていると思う。
当然ながら、この日のチケットも売り切れてはいなかった。8500円という通常より高い設定でしかも内容も中途半端なものとわかっている賢明なファンならば買わないだろう。当の私も、もう「うたの木」でオーケストラは行かなくてもいいかな、と思っていたのだし。
コンサートはほぼ時間通りに始まった。冒頭はいきなり”My Revolution~第2章~”だったが、イントロだけで終わり童謡の”ふるさと”、そして大江千里のバージョンに近い”10 years”という、いかにも「うたの木」シリーズらしい、ガックリくるような始まり方だった。今回も厳しい内容になりそうだな、という思いが頭をよぎる。
演奏曲目は下に記すけれど、「行かなければ損をしていた!」という瞬間はやはりなかった。今回のツアーでしか聴けないような珍しい曲もいっさいない。敢えていてば、ルイ・アームストロングの”What A Wonderful World”は初めて披露したかもしれない。
個人的には”PAJAMA TIME”が歌われたのが唯一嬉しかったことか。しかし”PAJAMA TIME”にしても12年前に「うたの木」で披露しているから、想定内といえば想定内だが、大好きな曲なので私の餞(はなむけ)だと勝手に思ってみた。
身もふたもないことを言わせてもらえば、あえてオーケストラでする必要があるのか?という疑問は拭えない。どの曲も通常のバンド演奏の方がずっと良いのは間違いないだろう。もちろんファンもオーケストラとの共演などを望んでいる人はいないと確信している。いくら熱心なヲタでも信者でも、この一連の「うたの木」シリーズに付き合うのは苦痛だったのでないかと、自分を照らし合わせてつくづく感じる。
かと思いきゃ、アンコール時に、
「みさとぉ、”Life”を歌ってくださぁい」
と言って会場からヒンシュクを買う逞しいヲタがいるのには恐れ入った。確かコイツは去年も大阪で同じようなことを言った気がする。その時もこの日も当の美里は冷たくあしらっていたが。それにしても”Life”(96年のアルバム「Spirits」に入っている曲)なんて、本人に直接リクエストするほど聴きたい曲なのだろうか。実に不思議だ。
そんなこともありながら、2時間半ほどでコンサートは終了した。何か感慨深い気持ちになり涙でも出るかなと間抜けた思いもよぎったが、「うたの木」の内容ではそれは無理だろうとつくづく感じる。ただ、俺のためにこの日に大阪に来てくれてありがとう、と心の中で一方的にお礼を言って会場を去った。
次に彼女と会うのは8月6日の大阪城野外音楽堂だろうか。これも行く気が起きてなかったものの、全てから解放された今となっては「やっぱり行こうかな」という気持ちになりつつある。
【演奏曲目】
(1)My Revolution~第2章~(イントロのみ)/ふるさと(童謡)
(2)10 years
(3)あしたの空
(4)さくらの花の咲くころに
(5)ココロ銀河
(6)シンシアリー
(7)PAJAMA TIME
(8)My Love Your Love(たったひとりしかいない あなたへ)
<15分の休憩>
(9)What A Wonderful World(ルイ・アームストロングのカバー)
(10)My Revolution
(11)すき
(12)パイナップル ロマンス
(13)ジャングルチャイルド
(14)いつかきっと
(15)始まりの詩、あなたへ
<アンコール>
(16)Lovin’ you
(17)サンキュ
図らずもこのような日に渡辺美里が大阪でコンサートをするというのは、自分と何か因縁があるのかなと思ってしまう。私は信心深い人間でないし、日頃も運だの縁だのといったものを意識しているわけではない。しかし、これは俺を送別するために開催してくれるのかなと、勝手に解釈して大阪へ向かう。
会場のザ・シンフォニーホールはJR福島駅から北へ徒歩7分ほどにある。
http://www.asahi.co.jp/symphony/
周囲の飲食店では、シンフォニーホールのチケット提示でサービス、うんぬんの張り紙がしてある。餃子の「みんみん」(漢字が出ない)は杏仁豆腐を無料で食べられるという。杏仁豆腐かあ。月餅か芝麻球(チーマーカオ)だったら入ったかもしれないが。
私の席は2階の右側だったが客席からステージがものすごく近く感じる。席数が1704と後からサイトで知って少し驚いた。実際に観た限りではかなりこじんまりとした会場だったからだ。お客の入りが7割くらいとしても、1000人以上は入ったことになる。思いのほか集まったな、というのが正直な感想だ。
ところで、純粋なオーケストラをバックに彼女が歌うツアーはこれが初めてのことである。最初の「misato ’99 うたの木 春」(99年)の時も、それ以後の「うたの木」シリーズでも、通常のバンドが混ざっているという奇妙な編成だった。そもそも「うたの木」シリーズは、「アコースティック」と冠したライブでエレキギターや打ち込みが出てくるなど理解不能な内容が多い。先日アルバム「BIG WAVE」(93年)に書いた時にも触れたけれど、彼女が新しいチャレンジをしてみてもほとんど成果を挙げていない。「うたの木」と題したライブを私はたぶん全て観たけれど、全体的に中途半端な内容で終始している。ネットで感想を調べても散々なことが書かれていると思う。
当然ながら、この日のチケットも売り切れてはいなかった。8500円という通常より高い設定でしかも内容も中途半端なものとわかっている賢明なファンならば買わないだろう。当の私も、もう「うたの木」でオーケストラは行かなくてもいいかな、と思っていたのだし。
コンサートはほぼ時間通りに始まった。冒頭はいきなり”My Revolution~第2章~”だったが、イントロだけで終わり童謡の”ふるさと”、そして大江千里のバージョンに近い”10 years”という、いかにも「うたの木」シリーズらしい、ガックリくるような始まり方だった。今回も厳しい内容になりそうだな、という思いが頭をよぎる。
演奏曲目は下に記すけれど、「行かなければ損をしていた!」という瞬間はやはりなかった。今回のツアーでしか聴けないような珍しい曲もいっさいない。敢えていてば、ルイ・アームストロングの”What A Wonderful World”は初めて披露したかもしれない。
個人的には”PAJAMA TIME”が歌われたのが唯一嬉しかったことか。しかし”PAJAMA TIME”にしても12年前に「うたの木」で披露しているから、想定内といえば想定内だが、大好きな曲なので私の餞(はなむけ)だと勝手に思ってみた。
身もふたもないことを言わせてもらえば、あえてオーケストラでする必要があるのか?という疑問は拭えない。どの曲も通常のバンド演奏の方がずっと良いのは間違いないだろう。もちろんファンもオーケストラとの共演などを望んでいる人はいないと確信している。いくら熱心なヲタでも信者でも、この一連の「うたの木」シリーズに付き合うのは苦痛だったのでないかと、自分を照らし合わせてつくづく感じる。
かと思いきゃ、アンコール時に、
「みさとぉ、”Life”を歌ってくださぁい」
と言って会場からヒンシュクを買う逞しいヲタがいるのには恐れ入った。確かコイツは去年も大阪で同じようなことを言った気がする。その時もこの日も当の美里は冷たくあしらっていたが。それにしても”Life”(96年のアルバム「Spirits」に入っている曲)なんて、本人に直接リクエストするほど聴きたい曲なのだろうか。実に不思議だ。
そんなこともありながら、2時間半ほどでコンサートは終了した。何か感慨深い気持ちになり涙でも出るかなと間抜けた思いもよぎったが、「うたの木」の内容ではそれは無理だろうとつくづく感じる。ただ、俺のためにこの日に大阪に来てくれてありがとう、と心の中で一方的にお礼を言って会場を去った。
次に彼女と会うのは8月6日の大阪城野外音楽堂だろうか。これも行く気が起きてなかったものの、全てから解放された今となっては「やっぱり行こうかな」という気持ちになりつつある。
【演奏曲目】
(1)My Revolution~第2章~(イントロのみ)/ふるさと(童謡)
(2)10 years
(3)あしたの空
(4)さくらの花の咲くころに
(5)ココロ銀河
(6)シンシアリー
(7)PAJAMA TIME
(8)My Love Your Love(たったひとりしかいない あなたへ)
<15分の休憩>
(9)What A Wonderful World(ルイ・アームストロングのカバー)
(10)My Revolution
(11)すき
(12)パイナップル ロマンス
(13)ジャングルチャイルド
(14)いつかきっと
(15)始まりの詩、あなたへ
<アンコール>
(16)Lovin’ you
(17)サンキュ
コメント