友人のライブを久しぶりに観ながら思ったこと
今日の夜、大阪の十三にあるライブハウス「CLUB WATER」まで足を運ぶ。大学の同級生であるTOSHI君が久しぶりにバンドでライブ、しかも単独でライブをおこなうということで参加したのである。私は数えてなかったけれど、結成したからもう10年経つという。そして、初のワンマンライブだ(よね?)

彼のバンド「teentrash」の音源はMy Spaceで聴くことができるので、よかったら聴いていただきたい。
http://www.myspace.com/teentrashjapan

10周年と聞いたときは単純に、よくここまで続けられたなあ、と素直に感心した。私はteentrashの立ち上げから観ているけれど、端から見てもその道は決して平板なものではなかった。バンドのメンバーは流動的で、ドラムス不在のため打ち込みでライブをしていた時もある。そもそも、TOSHI君が当初ベース担当だったことなど、知っている人がどれほどいるか。しかしそれでもTOSHI君はteentrashの屋号を捨てることなく今日まで至っている。彼自身もMCでこれまでの歩みを語っていたけれど、本当に色々あったんだなあ、と個人的にはなかなか感慨深いものがあった。

私は大学生時代からTOSHI君のステージを観ているけれど、別に彼の音楽性に深く共鳴したというような類ではない。実際、彼のルーツとなっている音楽やミュージシャンと自分にはほぼ接点はないだろう(笑)。そんな人間がどうしてTOSHI君およびteentrashを観てきたかといえば、実際のところよくわからないのだが、敢えて言えば自分の身近で表現活動をしている人に強い関心を覚えていた、というところではないだろうか。しかし私の定点観測も10年になるということでもある。なかなかこれも凄いことかもしれない。

昔の話をさせてもらえば、活動してしばらくの間はあまり楽しんでライブを聴けていなかったと思う。それは彼らの音楽性がどうとか以前に、ライブでのサウンドがかなりグシャグシャしていて聞き苦しかったからだ。この辺りは彼らと同じステージに立っていたバンドも同じであったので、音質のコントロールというのはなかなか難しいものなのかもしれない。

しかしそれが少し変わってきたかなと感じた瞬間がある。それは彼らが初めて公式レコーディングしたミニ・アルバム「This is life style」(07年)を作ったあたりだった。この辺りからライブでの音も少しくっきりしたような、そんな印象を抱く。そして今回会場で渡された「MOTIV」という8曲入りの音源はそこからさらに進化しているteentrashがいる。本人はどう思っているかわからないけれど、明らかに成長している部分は確かにあると言いたい。

一方、では自分がずっと続いているのは何だろうと自問してしまう。せいぜいこのブログくらいなのか、と思うとこれから先の人生に対して暗澹とした気持ちになってくる。

この日のライブで本編最後に演奏したのは”アネモネ”という曲だった。アネモネとは花の名前で、この曲名はパッと思い浮かんでつけたけれど後で意味を調べたら「はかない希望」だった、というようなことがTOSHI君がMCで語る。しかし私もネットで意味を探してみたけれど、「はかない希望」というのは「意味」でなく「花言葉」のことであろう(MCの聞き違いだったらすいません)。

「語源辞典」というサイトによれば、
http://gogen-allguide.com/a/anemone.html

アネモネの意味自体は「風の子」、「風の娘」という意味らしい。花言葉についてはウィキペディアで「はかない夢」、「薄れゆく希望」と載っていた。

それはともかく、いまのToshi君の心境からこの曲を選んだのであろう。彼の立場とはまた違うけれど、自分の中にも「はかない希望」のようなものが残っているのだろうか、などという想いがなんとなく胸に去来する。

teentrashがこれからどのような道のりを歩んでいくのか全くわからない。ただ、続けていくという行為はなかなか重たいものを含んでいるのだなと勝手に思いながら、翌日も朝早くから仕事のある私はそそくさと会場をあとにした。

最後に「希望」と聞いて私がパッと思いつく文章をTOSHI君に送りたい。それは暗黒時代の中国を生きた思想家、魯迅が1921年に発表した小説「故郷」の最後に書かれている一文である。いまはすっかり読まなくなったけれど、評論家の佐高信さんが著書でよく引用した箇所だ。

<思うに、希望とは本来「ある」ものとも言えなければ、「ない」とも言えないものだ。それは、地上の道のようなものなのだ、見よ、地上にはもともと道などなかった、そこを行く者が多ければ、それがやがて道になるだけではないのか。>

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