Yahooを見ていたら「「大学1年生採用」の衝撃」という名前の記事が目に飛び込んできた。週プレNEWS 12月8日(木)13時51分配信のものである。正式な題名は『新卒一括採用の消滅!? ユニクロが検討する「大学1年生採用」の衝撃』だ。

来春卒業予定の大学生の就職内定率が60%を切るという厳しい状況の中、「ユニクロ」を展開しているファーストリテイリング社は新卒一括採用を見直して「採用時期を通年とする」、「選考する学年も問わない」などといった新方式を見当しているというのだ。

会長兼社長の柳井正氏は、

「一括採用だと同じような人ばかりになる。例えば、大学1年生の時点で採用を決め、在学中は店舗でアルバイトをしてもらい、卒業と同時に店長になってもらうこともあり得る」

などと発言している。この案に対する人事コンサルタント会社の声も掲載されており、やる気のある優秀な学生が集まりだの社員教育にかかるコストが削減できるだのと評価する声も多い。

しかし私はこのやり方には疑問がある。なぜ柳井氏は高卒新人を採用するというスッキリした形をとらないのだろうか。働く意志のある人間なら大学で4年もフラフラさせずに働いてもらったほうが良いと思うのだが、大学に通わせるメリットが企業にあるとはどうも考えにくい。

そもそも今の大学に在籍するということの意味はどれほどあるのだろうかと考えてしまう。大学に入るというのは「勉強する」というのが本来の目的である。しかしこれを文字通りに受け止める人は少数派だろう。何年か前にテレビをボーッと観ていたら、次の春に大学へ入る高校生にタレント(確かシャンプーハットだったと記憶している)が道ばたでインタビューしている番組に出くわした。

「大学入ったら何するの?」

とタレントという質問に学生は、

「遊ぶ!」

と元気よく答えてくれたのを今でも覚えている。そして、それが大半の学生の本音に違いない。あまり大きな声で言える話ではないが、私が大学に入りたかった理由は「働きたくない」というのが一番だった。つまりモラトリアムな時間が少しでも欲しかったのである。

多くの学生にとって大学に入る目的は、就職への足がかり以上のものはない。高卒などと比べたら条件が圧倒的に有利になるから大学に入るのである。ならば、大学1年にして就職してしまっては大学に通う理由をどう見出せば良いのだろうか。

日本国内はデフレ状態になって久しい。しかし学費というものはなかなか下がらず家計を圧迫する大きな要因の一つだ。もはや大学に通わせる余裕のある家庭もかつてより随分と減っているのだろう。自分でお金をかせぐことなく4年間も比較的自由な時間を確保できるというのは誰にでもできることではなくなった。

それならいっそのこと高校を出てすぐ働いても良いのではないだろうか。ユニクロのその方が社会貢献という形で評価を受けると思う。

現在の高校生と大学生にそれほど大きな能力差があるとも思えない。ましてや仕事のレベルなど。その方が合理的だと思うのだが、柳井氏の意図というのは私にはどうもよくわからない。

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