ニューヨーク・タイムズに続く日本の新聞はどこだ
2012年1月14日facebookを見ているうちにこの記事が目に飛び込んだ。その瞬間、
「ああ、自分が考えていたことが現実になるんだ」
と思った。「現代ビジネス」のサイトに載っていた2012年1月12日配信の、
<「新聞の印刷・宅配をやめ、電子端末を無料配布せよ」が現実に。米書店大手バーンズ&ノーブルがニューヨーク・タイムズ購読者にタダで電子端末「ヌック」を提供>
http://summify.com/story/Tw4IQAIvkE1MLWnw/gendai.ismedia.jp/articles/-/31544?utm_campaign=share&utm_medium=general&utm_source=share
という題名だ(書いているのは牧野洋氏。カリフォルニア在住だという)。
タイトルから内容は見当をつけるだろうが、電子書籍端末「ヌック」を提供しているバーンズ&ノーブル社が、アメリカン・タイムズを1年購読契約した読者に対してヌック本体を無料で提供するというサービスを始めるというのだ。
昨年(2011年)は「電子書籍元年」などと言われていたこともあるので新聞が電子タブレットで読めるようになるというのは世間にとって大したニュースに感じないかもしれない。しかし国内外の新聞業界にこの話はとんでもない衝撃を与えることだろう。
なぜならば、これまで印刷工場(印刷)や販売所(宅配)が担っていた機能をタブレットが奪ってしまうということだからだ。牧野さんはこれを「新聞販売店の電子端末化」と言っている(ここに「印刷工場の電子端末化」という言葉も加わればもっと良かった)
冒頭の話に戻るが、もし新聞に生き残る方法があるとすればこうした電子新聞の普及しかない、と少し前から個人的に思っていた。新聞を購読していない若者に対して、キンドルを無料で渡しますから新聞を購読をしませんか、などといえば飛びつかないわけがない。
しかし、親しい会社の後輩と飲んでそんな話をしても彼は渋い顔をする。彼は新聞販売店を回る担当だった。このあたりに日本の新聞が技術革新を阻む大きな問題が横たわっている。
電子書籍で新聞を配信する、というのはとりもなおさず販売店の仕事をなくしてしまうことに他ならない。また紙で新聞を刷る必要もなくなるから印刷工場もいらなくなる。21世紀になってから100億円もかけて印刷工場を作ったという某地方新聞がこんなことを許すはずはない、と思う。
それでも前に進むしかないと私は思っているけれど、業界や会社はそのような動きをつま先ほども見せなかった(今もそうだろう)。そういう先行きの無いところは去るしかないと思った。居場所のなくなった人間がその場を去っていくのは必然だった。
それはともかく、ニューヨーク・タイムズとバーンズ&ノーブルがこのような大胆な決断をすることができたのは、両社とも経営があまりにも悪くなり先が見えなくなったことがもっとも大きい。捨てるものがなくなったら思い切った行動もとれる。
ただ、それが良いことかどうかはわからない。困ったあげくに有り金をギャンブルにつぎこんで大損するような事例を連想してしまう。ギャンブルというのは余裕資金でおこなう方が勝てるというのも真実なのだ。だから、この戦略が成功するかどうかもいま一つわからない。キンドルと組めばまだマシだったかな、ダメな会社が組んで何をやってもダメな気がするが、と言うのは言い過ぎか。
しかし日本の新聞も困って困って困ったあげく、どこかの新聞が電子書籍端末での配信に必ず踏み切るだろう。果たしてどこが最初に手を挙げるか。そしてそれは興味深い展開につながっていくだろう。
「ああ、自分が考えていたことが現実になるんだ」
と思った。「現代ビジネス」のサイトに載っていた2012年1月12日配信の、
<「新聞の印刷・宅配をやめ、電子端末を無料配布せよ」が現実に。米書店大手バーンズ&ノーブルがニューヨーク・タイムズ購読者にタダで電子端末「ヌック」を提供>
http://summify.com/story/Tw4IQAIvkE1MLWnw/gendai.ismedia.jp/articles/-/31544?utm_campaign=share&utm_medium=general&utm_source=share
という題名だ(書いているのは牧野洋氏。カリフォルニア在住だという)。
タイトルから内容は見当をつけるだろうが、電子書籍端末「ヌック」を提供しているバーンズ&ノーブル社が、アメリカン・タイムズを1年購読契約した読者に対してヌック本体を無料で提供するというサービスを始めるというのだ。
昨年(2011年)は「電子書籍元年」などと言われていたこともあるので新聞が電子タブレットで読めるようになるというのは世間にとって大したニュースに感じないかもしれない。しかし国内外の新聞業界にこの話はとんでもない衝撃を与えることだろう。
なぜならば、これまで印刷工場(印刷)や販売所(宅配)が担っていた機能をタブレットが奪ってしまうということだからだ。牧野さんはこれを「新聞販売店の電子端末化」と言っている(ここに「印刷工場の電子端末化」という言葉も加わればもっと良かった)
冒頭の話に戻るが、もし新聞に生き残る方法があるとすればこうした電子新聞の普及しかない、と少し前から個人的に思っていた。新聞を購読していない若者に対して、キンドルを無料で渡しますから新聞を購読をしませんか、などといえば飛びつかないわけがない。
しかし、親しい会社の後輩と飲んでそんな話をしても彼は渋い顔をする。彼は新聞販売店を回る担当だった。このあたりに日本の新聞が技術革新を阻む大きな問題が横たわっている。
電子書籍で新聞を配信する、というのはとりもなおさず販売店の仕事をなくしてしまうことに他ならない。また紙で新聞を刷る必要もなくなるから印刷工場もいらなくなる。21世紀になってから100億円もかけて印刷工場を作ったという某地方新聞がこんなことを許すはずはない、と思う。
それでも前に進むしかないと私は思っているけれど、業界や会社はそのような動きをつま先ほども見せなかった(今もそうだろう)。そういう先行きの無いところは去るしかないと思った。居場所のなくなった人間がその場を去っていくのは必然だった。
それはともかく、ニューヨーク・タイムズとバーンズ&ノーブルがこのような大胆な決断をすることができたのは、両社とも経営があまりにも悪くなり先が見えなくなったことがもっとも大きい。捨てるものがなくなったら思い切った行動もとれる。
ただ、それが良いことかどうかはわからない。困ったあげくに有り金をギャンブルにつぎこんで大損するような事例を連想してしまう。ギャンブルというのは余裕資金でおこなう方が勝てるというのも真実なのだ。だから、この戦略が成功するかどうかもいま一つわからない。キンドルと組めばまだマシだったかな、ダメな会社が組んで何をやってもダメな気がするが、と言うのは言い過ぎか。
しかし日本の新聞も困って困って困ったあげく、どこかの新聞が電子書籍端末での配信に必ず踏み切るだろう。果たしてどこが最初に手を挙げるか。そしてそれは興味深い展開につながっていくだろう。
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