恵方巻きサンドに願いをこめて
もう2012年も1ヶ月が過ぎてしまった。

2月を迎えた時にまず頭に浮かんだのがそれだった。今月はマンションの更新料を支払うなどうっとうしいことも多いけれど、それよりも数ヶ月先の自分の姿が全く見えていないのが深刻な問題である。

新しい職場に入って早4ヶ月が過ぎた。以前の職場を離れるも5ヶ月間なにも働き口を見つけられず、やむなく「つなぎ」という形で入った会社である。今もその気持ちは変わらない。

いやむしろ、

「4ヶ月も在籍してしまった。もっと早く去るつもりだったのだが・・・」

と自己嫌悪感が高まるばかりだ。周囲の知り合いに自分の現状を伝えれば、悲惨ですねえ、という反応が一様に返ってくる。毎日毎日、早く辞めたいなあ、ということばかり考えてしまう。今日もそんなことを思いながら仕事を終え、勤務地を出ると入口で画像の商品が売っていた。「恵方巻きサンド」といって、恵方巻きの体裁をとったカツサンド(1本280円。3個買えば800円)である。

関西の方で恵方巻きという変わった習慣がある、というのを北海道出身の私が知ったのは比較的最近のことだ。ウィキペディアで調べてみたら、どうも大阪中心の風習らしく別に関西のものというわけでもないようだ。

またウィキペディアには、

<これは近年に作られた文化で元からある文化や風習ではない。関西で恵方巻きを食べる文化、まして特定の方向を向かって食べるなどという文化は存在しない。>

とも書いてあった。20世紀後半に商売熱心な人たちが普及させたキャンペーンというのが実際のところらしい。日本におけるバレンタインチョコみたいなものか。実に胡散臭い。

最初にこのあたりの実状を知っていたら買わなかったかもしれないが、今年はいつもと違うことをしてみよう、という思いが常にあったのでこの恵方巻きサンドを買ってしまった。

部屋に戻り早速食べてみる。とりあえず、

・特定の方角を向く(今年の場合は北北西)
・目をつぶって食べる
・食べている間は喋らない
・食べながら願い事をする

という4項目は実践してみた。方角については大宮通で南北をまず定めて(道路が碁盤の目になっている京都は東西南北が実にわかりやすい)、そこから少し西を向いて、この辺りが北北西だろう、と見当をつけた。あとの3項目は別に難しいことでもないのでその通りにする。目をつぶって食べるとあまり美味しくないのだが、とは思ったけれど。

そして、

「今年はどうか良い働き口が見つかりますように」

とひたすらそれだけを念じながら恵方巻きサンドを食べ切った。

しかし今になってみれば、どこまでが恵方巻きのオリジナルな食べ方なのかも怪しいのだからもうご利益もクソもないだろう、と情けなくなってくる。こんなバカバカしい真似は今年が最初で最後としたい。

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