本日は珍しく何も予定のない日となった。そうなると、何もしないのはもったいない、という思いが出てくる。
「そういえば、山下達郎のシアターライブっていつだったっけ?」
そんなことが頭をよぎりネットで調べたら今日が公開日ではないか。京都ではイオンモールKYOTOの中にある「T・ジョイ京都」で上映される。これは観るしかないと決め、ネットで座席を予約する。そしてこの暑い中を自転車で40分ほどかけて京都駅の八条口まで向かった。イオンモールへ行くのも実に久しぶりだ。土曜日だったためか、施設内に人の数もけっこう多い。私が映画を観た時間は午後3時45分の上映で、観客は多く見積もっても3分の1くらいだった。わざわざ座席を事前に確保しなくても大丈夫だったけれど、用心するに超したことはないだろう。
あの大ヒット曲”クリスマスイブ”によってその名前は多くの人に知られているものの、動く姿を実際に観ているのは熱心な音楽ファンに限定されているのが山下達郎である。ネットで彼の動画を探しても、おそらくライブ映像は出てこないはずだ。なぜなら、いままで映像作品を一般に出したことがないからである。
「Quick Japan vol.62」で彼の特集をした時に、
<僕は武道館やらない、TVに出ない、本を書かないの”三ない主義”でやってきたから。>(P.42)
と山口隆(サンボマスター)との対談で公言している通り、その主義をデビューから現在までずっと貫いている。
この「三ない主義」は彼が意固地なこだわりを持っていることを差し引いても、それなりに合理的な理由が存在する。なぜ武道館でライブをしないかといえば、あれだけ大きな会場だと後方の座席からではステージにいるミュージシャンは米粒大くらいにしか見えない。その対策として舞台横にスクリーンを設置することもあるけれど果たしてそれが「ライブを観る」という行為なのだろうか。これはネットか何かで見つけた話なので出典はわからないけれど、彼が武道館や大阪城ホールでライブをしないのはそうした疑問がある。
こうした考えを踏まえれば、なぜ彼がライブ映像を出してこなかった理解しやすいだろう。ライブを観ることと「ライブの映像を観ること」は同じことなのか。そういう思いがあってこれまでライブ映像を作品として発売するようなことはしてこなかったのである。
しかし、ここ数年のタツロー氏は以前のような意固地さが無くなってきたというか、いままでにはないような試みをしてくることが多い。いままで歌ってこなかったタイプの曲を出したり、2010年の夏に音楽フェスティバル「ライジング・サン・フェスティバル」に出演したこともそうだ。それは、自分はあとどれだけ音楽活動が続けられるのか、という思いが彼の頭によぎっているのではないだろうか。ラジオやライブのMCでもそんなことを言っていたし。今回のシアターライブに踏み切ったのも、彼の思いと関係しているような気がしてならないのだ。
私の推測はともかくとして、日本の音楽界で独自の活動を続けてきたタツロー氏の約30年にわたるライブ映像がドッと見られるのだから貴重だ。しかも京都での上映は9月2日(日)までである。たったの8日間だ。これを逃すという手はないだろう。
まだ公開したばかりなので内容を具体的に言うのは避けるけれど、まず冒頭のライブが始まるまでの映像が良かった。ライブの舞台を作るのにこれだけの人が関わりこうした形でできあがっていくのか、ということを見せつけるもので、そのあたりを持ってくるあたりにタツロー氏の視点や思いがまず伝わってくる。
肝心のライブ映像であるが、もともと公開などするつもりもなかったためか、資料のために撮ったという印象を受ける。80年代の映像の中では、映画で公開するような質じゃないだろう、というものもあった。しかしながら大きな映像で見る迫力というのは格別のものがある。タツロー氏や彼をサポートするミュージシャンの表情なども興味深い。しかし個人的にはタツロー氏のギターのカッティングが最も印象が残った。CDしか聴いたことの人は、ライブにおけるファンク色の強さに驚くのではないだろうか。
それから、私も現場にいた映像(2008年12月28日、大阪フェスティバルホール)が出てきたのも嬉しかった。この日はフェスティバルホールにおける最後のライブで(現在は取り壊され別の場所で再建中)、ここから2曲が取り上げられたのは彼がこの会場に特別な思い入れがあったことが伝わる。
約90分にわたる映像の中で、MCの場面とか彼がいつもステージでしている独自のパフォーマンスも取り上げており、
「へー、山下達郎ってライブでこんなことをしているんだ」
と感じてもらえるようにもなっている。そして70年代から活動をしていても一貫している、ブレないというか変わっていないミュージシャンとしての彼の部分も感じ取れるだろう。
京都ではなかったが、他の上映会場では拍手も起きたという情報をネットで見かけた。しかし、私の1曲終わるたびに拍手をしたくなる心境であったから何も不思議ではない。
また機会があればライブ会場に足を運びたいと思える素晴らしい内容だった。また、現場でしか観られない山下達郎を疑似体験できる貴重な機会なので、興味のある方はぜひこの1週間を逃さずにしてもらいたいと願う。
「そういえば、山下達郎のシアターライブっていつだったっけ?」
そんなことが頭をよぎりネットで調べたら今日が公開日ではないか。京都ではイオンモールKYOTOの中にある「T・ジョイ京都」で上映される。これは観るしかないと決め、ネットで座席を予約する。そしてこの暑い中を自転車で40分ほどかけて京都駅の八条口まで向かった。イオンモールへ行くのも実に久しぶりだ。土曜日だったためか、施設内に人の数もけっこう多い。私が映画を観た時間は午後3時45分の上映で、観客は多く見積もっても3分の1くらいだった。わざわざ座席を事前に確保しなくても大丈夫だったけれど、用心するに超したことはないだろう。
あの大ヒット曲”クリスマスイブ”によってその名前は多くの人に知られているものの、動く姿を実際に観ているのは熱心な音楽ファンに限定されているのが山下達郎である。ネットで彼の動画を探しても、おそらくライブ映像は出てこないはずだ。なぜなら、いままで映像作品を一般に出したことがないからである。
「Quick Japan vol.62」で彼の特集をした時に、
<僕は武道館やらない、TVに出ない、本を書かないの”三ない主義”でやってきたから。>(P.42)
と山口隆(サンボマスター)との対談で公言している通り、その主義をデビューから現在までずっと貫いている。
この「三ない主義」は彼が意固地なこだわりを持っていることを差し引いても、それなりに合理的な理由が存在する。なぜ武道館でライブをしないかといえば、あれだけ大きな会場だと後方の座席からではステージにいるミュージシャンは米粒大くらいにしか見えない。その対策として舞台横にスクリーンを設置することもあるけれど果たしてそれが「ライブを観る」という行為なのだろうか。これはネットか何かで見つけた話なので出典はわからないけれど、彼が武道館や大阪城ホールでライブをしないのはそうした疑問がある。
こうした考えを踏まえれば、なぜ彼がライブ映像を出してこなかった理解しやすいだろう。ライブを観ることと「ライブの映像を観ること」は同じことなのか。そういう思いがあってこれまでライブ映像を作品として発売するようなことはしてこなかったのである。
しかし、ここ数年のタツロー氏は以前のような意固地さが無くなってきたというか、いままでにはないような試みをしてくることが多い。いままで歌ってこなかったタイプの曲を出したり、2010年の夏に音楽フェスティバル「ライジング・サン・フェスティバル」に出演したこともそうだ。それは、自分はあとどれだけ音楽活動が続けられるのか、という思いが彼の頭によぎっているのではないだろうか。ラジオやライブのMCでもそんなことを言っていたし。今回のシアターライブに踏み切ったのも、彼の思いと関係しているような気がしてならないのだ。
私の推測はともかくとして、日本の音楽界で独自の活動を続けてきたタツロー氏の約30年にわたるライブ映像がドッと見られるのだから貴重だ。しかも京都での上映は9月2日(日)までである。たったの8日間だ。これを逃すという手はないだろう。
まだ公開したばかりなので内容を具体的に言うのは避けるけれど、まず冒頭のライブが始まるまでの映像が良かった。ライブの舞台を作るのにこれだけの人が関わりこうした形でできあがっていくのか、ということを見せつけるもので、そのあたりを持ってくるあたりにタツロー氏の視点や思いがまず伝わってくる。
肝心のライブ映像であるが、もともと公開などするつもりもなかったためか、資料のために撮ったという印象を受ける。80年代の映像の中では、映画で公開するような質じゃないだろう、というものもあった。しかしながら大きな映像で見る迫力というのは格別のものがある。タツロー氏や彼をサポートするミュージシャンの表情なども興味深い。しかし個人的にはタツロー氏のギターのカッティングが最も印象が残った。CDしか聴いたことの人は、ライブにおけるファンク色の強さに驚くのではないだろうか。
それから、私も現場にいた映像(2008年12月28日、大阪フェスティバルホール)が出てきたのも嬉しかった。この日はフェスティバルホールにおける最後のライブで(現在は取り壊され別の場所で再建中)、ここから2曲が取り上げられたのは彼がこの会場に特別な思い入れがあったことが伝わる。
約90分にわたる映像の中で、MCの場面とか彼がいつもステージでしている独自のパフォーマンスも取り上げており、
「へー、山下達郎ってライブでこんなことをしているんだ」
と感じてもらえるようにもなっている。そして70年代から活動をしていても一貫している、ブレないというか変わっていないミュージシャンとしての彼の部分も感じ取れるだろう。
京都ではなかったが、他の上映会場では拍手も起きたという情報をネットで見かけた。しかし、私の1曲終わるたびに拍手をしたくなる心境であったから何も不思議ではない。
また機会があればライブ会場に足を運びたいと思える素晴らしい内容だった。また、現場でしか観られない山下達郎を疑似体験できる貴重な機会なので、興味のある方はぜひこの1週間を逃さずにしてもらいたいと願う。
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