自転車のカギ

2013年2月28日 日常
多くの人も同じだと思うが、出勤で外へ出る時間はギリギリにしている。部屋から勤務地までの時間はわかっているので、そこから出発する時間を導き出す、というのは誰でもやっていることだろう。

私の場合は自転車で35分くらいかかるので、そこに10分ほど余裕を入れて45分前に部屋を出るようにしている。コンビニに寄ったりしても、始業時間の5分から10分前には到着できるように設定しているのだ。そんな生活をして2ヶ月ほどになる。

この日も6時10分くらいに、そろそろ出かけようかなあ、といつもの調子で部屋を出ようとしたら思いがけない異変に気づいた。自転車のカギを置いてあるいつもの場所に、カギがないのである。どこか別の場所にまぎれてしまったようだ。もう出発時間のギリギリで、探している時間はもう無い。

しかしこの非常事態にあって、けっこう私は冷静であった。

「ええと、6時28分のバスに乗って、タクシーで行けばいつも通りに間に合うだろう」

と計算ができていたからだ。以前に最寄りのバス停の時刻表を確認していたのが功を奏した。

そして6時28分発のバスに乗りこんだ。そのバスは少し様子がおかしかった。運転手のほかにもう一人、制服を着た初老の職員が出口の近くに立っている。そして出て行くお客に、ありがとうございました、と言って挨拶をしているのだ。

どうも運転しているのは入りたてで、年配の職員はその指導に当たっているようだ。

バスに乗ってからは、ひたすら勤務地まで行く経路を頭で考えていた。

「最寄りのバス停から職場まで歩いて15分だから、タクシーをつかまえないと間に合わないなあ。パッと乗れるかなあ」

とその辺りが不安で焦っていた。だが、私よりもっとイライラしていた乗客がいた。バスの前方に立っていた男性が、吊り輪を持つ手を震わせながら年配職員に文句を言っている。どうもバスが送れていることに苛立ってるようだ。

「なにぶん運転手が現在研修中でして・・・」

と年配職員が頭を下げても、

「だったら(年配職員が)横についてる意味ないやろが」

「電車だって1分遅れても、申し訳ありませんでした、と謝罪するで」

「この、公務員が」

と攻撃し続けて、バス停に着くやいなや足早に駅へと走っていった。

正直いえば、京都市の借金を膨らませ続けている市バスや地下鉄に対して私も良い印象を持っていない。ただ彼らは彼らなりの苦労があるのだなとこの時は思った。

ただ、

「たくさん給料もらってるんだからそれくらいの仕打ちを受けても当然でしょ?」

と大半の京都市民からは、そう言われておしまいだろうけど。

幸い車の通りが多い場所だったので、タクシーはすぐ乗ることができた。結果として、始業5分前に勤務先へ到着する。そこからはいつも通りの1日であった。

ちなみに自転車のカギは、部屋に戻ってから探すと、5分ほどで出てきた。朝もう少し早く気がついていれば無駄な出費をしなくても良かったのにと、今更ながらに後悔をした。

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