午前10時30分を少し過ぎた頃、なぜか私は地下鉄「松ヶ崎」近くにある自動車教習所の近くにいた。その理由を説明するためには先日の午後までさかのぼらなければならない。

昨日(3月2日)は自分にとって貴重な、何の用事も入っていない純粋な休日だった。かといって何か予定を入れているわけでもないし、どこかに遠出をする経済的な余裕もない。そして何よりも、雪がちらつく寒い日だった。なんでも1月の気温に逆戻りしたとかなんとか。そして次の金曜日には最高気温が20度になるという予報だから訳が分からない。

しかし部屋にいても、寒くて動けず何もしないまま1日が終わってしまうに決まっている。そこで何冊かの本と弁当(行く途中で購入)と水筒を持って同志社大学まで自転車で向かった。そしてラウンジや図書館でしばらく本を読んで過ごした。3時間ほど経っただろうか。日も暮れてきたので部屋に帰ろうとして、自転車の置いていた場所へ戻る。

しかし、そこに私の自転車はなかった。一瞬、目を疑った。周囲を見渡しても明らかに自転車はない。

「またしても盗まれたか?」

かつて烏丸今出川の交差点付近に置いて2回も紛失した経験(そのうち1件は、カギを壊された状態で戻ってきた)のある私としては、まず盗難の線を疑った。これで自転車の紛失は3回目だ。しかも、同じ烏丸今出川付近で。

しかし、たぶん盗難ではない、とすぐ思い直した。

近くに、

「自転車撤去強化区域」

の看板が目に入ったからだ。そしてこの看板の右下に最新の撤去日が記されており、

「3月2日」

と本日の日付になっているではないか。

「ああ、これか・・・」

と全てを納得した。保管場所は松ヶ崎、引き取りの受付時間は10時30分から午後6時である。その時はもう午後5時30分を回っていたので、この日は諦めることにする。そのまま寒空の下をトボトボと歩いて帰った。大学から部屋までは徒歩18分の距離である。

歩きながらも考えることは自転車のことばかりである。

「まあ、保管場所にあったらあったで終わりだけど、そこになかったらどうしよう?」

「仕事に行くのも不便になる。毎日、始発バスに乗らなければならない」

「いま新しい自転車を買う余裕なんてないぞ」

自転車が無くなると、自分の生活に壊滅的打撃を受けることを身に沁みて感じた。

そうして翌日、地下鉄に乗って松ヶ崎まで足を運んだ。窓口の人に、

「同志社大学のあたりに昨日の午後、自転車を置いたんですが・・・」

と恐る恐る言うと、

「あー、午後2時くらいに撤去をしましたねえ」

という返事だ。まさに私が置いていた時間ピッタリである。

そして何やら書類に記入をし身分証明書を渡して、保管料2300円を払った。

「まだ、撤去されたかどうかわからないですが・・・」

と言うと、

「なかったら、お金はお返しします」

とのことである。とりあえず、保管料は支払わねばならないという。

係の人が置き場に案内してくれた。自転車は撤去日ごとにまとめて並べられている。そして「3月2日」のところに行くと・・・あった、見覚えのある黒い自転車が。これでようやく日常生活に戻れる、と安堵した。そのまま自転車で部屋まで戻った。

撤去強化区域にわざわざ自転車を置いていたのは迂闊だったが、大学周辺に駐輪場が皆無なのが一番問題だと思う(かつては大学内に置いていたが、いまは大学の発行するステッカーがなければ不可)。しかし、それもまたしばらくしたら少し改善されるだろう。京都市内で増えている有料の駐輪場(ガチャッと差し込むタイプ)が烏丸今出川の交差点で設置工事をしているからだ。

別に150円とかそこらの駐輪料金のケチるつもりは私にはない。盗難防止も含めて駐輪場に置いておいた方が良いに決まっている。保管料2300円と取られるよりはずっと経済的なのだから。

早く駐輪場ができないかな。

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