9月25日(水)の午後8時53分、一人で近所の居酒屋のカウンターに座っていたら携帯が震え出した。発信元は登録している派遣会社である。

「ついに正式な連絡がきたか・・・」

と少し身構えて電話に出た。要件はもうわかっている。11月以降の勤務先との契約についてだ。

「契約ですが、10月いっぱいということになりました。また次の勤務先を探しますが、連絡が10月に入るかもしれませんので・・・」

「わかりました。こちらは当てもないので、よろしくお願いします」

と話を手短かにして電話を切って、再び飲み直した。

契約が終わることは、実はもう予想がついていた。その日の朝に勤務先の現場責任者から、

「残念だけど、終わるらしいで」

と聞かされていたためだ。

そもそもの話として、契約は長くて今年の11月くらいまで、と働き始める時に言われてはいた。だからほぼ予定通りとはいえる。私と同じ派遣会社の女性は9月いっぱいをもって終了となった。11月以降は派遣社員を雇わないという方針なのだろう。

それは会社の立場を考えれば自然な選択ではある。業務内容から考えると時給は高めだった(実際、近くで働いているパートの方よりも高かった)。それは早朝からの勤務という理由もあったかもしれないが、

「そんな時給、絶対払いたくないわ」

と、カウンター越しの居酒屋店長も言っている額である。しかもその上に派遣会社の取り分も乗っかってきて人件費は跳ね上がってしまう。聞けば勤務先は昨年に大規模なリストラをおこなったらしい。そんな状況の下でこの待遇のまま何年もいられるとは到底考えられなかった。

落ち込んでないと言えば、それは嘘になるだろう。いままで先方から切られたという経験はなかったからだ。いずれも自分から切り出して辞めている。バイトしていたコンビニが閉店するためクビになったということはあったけれど。

ただ一方で、ここで勤めて半年経ったあたりから体がキツく感じてきたのも否定できない。最近は慢性的な寝不足という具合で、昼間はいつも仮眠している状態になっていた。

そんな思いが錯綜しているため、10月をもって終わるのは良かったのか悪かったのか、その辺りの判断は微妙なところである。生活ができなくなる恐れが出てるのだから、本当はもっと危機感を抱くべきかもしれない。しかし10年近くいた職場を離れて最初に入った場所が6ヶ月、その次が7ヶ月半、そして今回がおよそ10ヶ月である。そんな状態を繰り返していると、まあこんなものかなあ、という気持ちになってしまうようだ。

とりあえず現状では指をくわえて派遣会社からの連絡を待つことくらいしかできない。歳も歳だし、たいして資格技能もない人間だから紹介された案件をとりあえず受けようという姿勢ではある。

ではあるけれど、

「干物をつくる仕事なんですが・・・」

とか言われたら、たぶん考えてしまうだろうな。そんなことを思いながらしばらく不安定な気持ちで日々を過ごすことになりそうである。

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