かつて10年ちかく在籍していた会社(某地方紙の子会社)が来年度入社の社員を募集しているという情報が入ってきた。サイトを調べてみると、それにともなう会社説明会も2回おこなわれると書かれている。釈然としないことが頭にいろいろと浮かんできたのでそれを述べてみたい。

まず、そもそもの話であるが、なぜ会社説明会を開催しようとしたのかという疑問がある。この3年ほどの情報は曖昧だが、かつては秋頃に社員募集を告知していた。募集を遅らせる理由は内定辞退をして逃げられるのを避けるためだったのだろうが、優れた人材を取ろうという強い意志も弱かった気がする(優秀な人は早い段階で内定しているだろう)。しかし今回は応募期間が5月下旬から6月初旬であり、それほど遅くはない。さらに会社説明会まで開くというのだから、少しでも良い人材を引っ張ろうという熱意が感じられるというものだ。そしてそれが私には違和感を抱くというか、なんかズレてるなあ、と思えてならないのだ。

まともに考えれば、良い人材が入って仕事をしてもらわなければ組織を存続させることができない。優れた社員を求めるのは会社の危機感の表れだろうし健全なんじゃないですか、と関係の無い方は思われるかもしれない。だが、果たして優れた人(厳密にいえば優れた原石)が1人や2人増えたところで組織が良くなるのだろうか。

もはや世間も関心を持っていないと思うけれど、新聞業界が厳しい状況におちいっていると言われてから久しい。それはインターネットの普及におけるメディアの構造変化、またそれに伴い「19世紀モデル」と言われるほど昔から続いてきた日本の新聞産業が悪い方向にダーッと進んでしまったことが原因である。もしも「良い社員が入らないと会社が駄目になる!」と吠えている人がいたとしたら、その人はもはや現実が見えていないと断定してよい。環境とか構造の変化という問題を、社員の良し悪しに転嫁しても何も解決しないのは明らかではないか。

穿った見方をすれば、こんなことをしても会社の業績など上がらないと分かっていて、それでも「敢えて」会社説明会を開催したという仮説も成り立つ。社会的に果たす役割もなくなった会社は、もはやするべき仕事がそこには無い。私のいた会社はまさにそれであった。そうなると「仕事をしない人」があふれてくる一方で、「こんな状況では会社が危ない!」と無駄にワーワーわめいている人間もたまに出てくる。しかしよくよくこういう人を観察してみると、実は何も仕事をしてなかったりする。組織の中ですべき仕事もないのに、できることなど無いに決まっている。こういう人を私は「仕事のふりをしている人」と呼んでいる。こういう輩が会社説明会のような無駄な仕事(?)を増やして「俺は、周囲の奴らと違って、仕事をしているんだ!」と自己満足に浸っているから救いようがない。

もう一つ疑問なのが、会社説明会をすることが誰にとって利益があるのか、ということがある。会社説明会とは、つまりその会社に関する情報を提供する機会である。そして、それは会社にとっては墓穴を掘ることと同義ではないかと思えてならないのだ。

さきほど少し触れたけれど、新聞業界はWindow95の登場以降は業績が右肩下がりで、それに対して何一つ改善点も見出せずにここまできてしまった。新聞の販売収入、新聞広告の収入、新聞というメディアの影響力、どれも著しく下がってしまった今、これから生きる若い人たちに伝えられることなどあるのだろうか。

説明会の内容には、

・営業幹部の話
・社員への質問コーナー ほか
※終了後、若手社員との交流会があります。

となっているけれど、営業幹部だの若手社員だのがいったい何を話すのだろうかと想像すると、薄ら寒いものを感じる。

将来有望な社員に入ってほしい、というのはまともな会社なら考えることには違いない。しかし将来の無い業界、先行きの無い会社に前途ある若者が入るというのは大間違いだろう。まあ、業界分析などをそれなりにしている優秀な人が新聞業界など目指さないだろうから、そういう心配をする必要もないが。

もし説明会に行く方がいるならば、

「御社は今年度より持ち株会社を設立されましたが、どのような意図があるのでしょうか?」

と訊ねていただればと思う。おそらく説明する側は目を白黒するだろうから。

コメント

nophoto
YUI
2014年5月28日0:06

大変興味深く拝読しました。

相当な事情があって、その会社をお辞めになったとお察ししますが、

書き連ねられた文章の背景を想像すると、薄ら寒いものを感じました。

なぜ辞めた会社のことを固執し続けるのでしょうか。

未練でもあるのでしょうか。

会社名を明らかにしない一方で、

「もし説明会に行く方がいるならば……」と訴えかけているのも不思議でなりません。

潰れる会社はほっといても潰れます。

文章を読んでいて、あまりに居た堪れない気持ちになったのでコメントしました。

ゆっくり静養なさってください。

かずあき@寺之内
2014年5月28日8:21

>YUI さん

>書き連ねられた文章の背景を想像すると、薄ら寒いものを感じました。
>なぜ辞めた会社のことを固執し続けるのでしょうか。
>未練でもあるのでしょうか。

日記を書く「動機」だの「背景」だのを詮索する必要は無いでしょう。そういう行為を「論点をずらす」といいます。肯定にせよ否定にせよ、コメントをするなら書いてある事実に即してもらいたいですね。

>ゆっくり静養なさってください。

余計なお世話ですね。匿名で馬鹿なコメントをありがとうございました。

nophoto
YUI
2014年5月29日1:15

>余計なお世話ですね。匿名で馬鹿なコメントをありがとうございました。

「論点をずらす」。大変勉強になりました。
コメントを書くにあたって「匿名」だの「実名」だのを指摘する必要はないでしょう。

>>会社名を明らかにしない一方で、
>>「もし説明会に行く方がいるならば……」と訴えかけているのも不思議でなりません。

書いている事実に対するコメントについては一切触れられていませんでした。
まさに「論点をずらす」なのですね。

「動機」や「背景」があって文章というものは書かれるものだと私は思います。
たまたまたどり着いたウェブサイトで、非常に興味深い日記が公開されていたので、
ただの好奇心でコメントをした次第です。
「かずあき@寺之内」という珍しい氏名が、
私の知っている日本で存在するのか詮索する気もまったくありません。

また論点をずらしたでしょうか。失礼しました。

かずあき@寺之内
2014年5月29日7:42

>また論点をずらしたでしょうか。

そうだね。うんこ食ってろ。

>失礼しました。

こういうのを「慇懃無礼」というんだろうな。

nophoto
YUI
2014年5月30日0:32

>>また論点をずらしたでしょうか。

>そうだね。うんこ食ってろ。

コメントに対する返信がまったくと云っていいほどなく、
最後は「うんこ食ってろ」ですか。

何か勘違いされているようですが、
別にあなたのことを貶す気も責める気もありません。
(慇懃無礼のつっこみは面倒なのでもういいです)

ただ、文章を拝読して、
あなたの真意を知りたくなっただけです。

私の初めのコメントが気に障ったのなら、
そのコメントを削除するか、「詮索しないでくれ」とだけ返信くだされば、
あなたの気持ちを汲み取ってそれ以上コメントする気もありませんでした。

それなのに返信された内容には「論点をずらす」や、
まったく関係のない「匿名」が問題にされていて、
挙句の果てには「うんこ食ってろ」ですから、
こちらも何かコメントしないわけにはいきません。

これ以上の対応が迷惑でしたら、
「うんこ食ってろ」じゃなくて、「もう書くな」とでも返信ください。

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