残された者は感傷などしている暇はない(2016年4月1日の日記)
2016年4月15日 日常(この日記は1ヶ月までしか遡って書けないので、4月1日の話ですがここに載せます)
4月に入り、今日から新しい年度が始まった。昨日と変わらず同じ派遣先に来ただけなのに、なんだかいつもと気分が違う。
私が働いている部署のボスが、昨日をもって定年退職してしまったからだ。人が1人減っただけの話であるが、それだけで職場の雰囲気もガラっと変わった。
昨日と異なるのは、周囲が思い切り静かになったことである。前のボスはやたらと一人で声を出していた人であった。他の人は基本的にそれほど無駄な喋りはしない。しかし前ボスが消えた瞬間にシーンという具合である。
他の部署から用事があってここを訪れた人は、
「なんか・・・静かになったな」
「雰囲気が変わったなあ」
と口々に漏らしていたから、それが良かったか悪かったかは別として、前ボスの存在感がそれほどあったということである。
当の私も不思議な寂しさのようなものを感じながらいつもの作業をしていた。そういえば今から2年前に、「笑っていいとも」の最終回の翌日のような寂寥感があった。当時は「タモロス」という言葉が流布していたけれど、私も「前ボスロス」というような症状になっているのか。サラリーマン時代は、周囲はどうでもいい人間ばかりだったので、異動しようが定年だろうが何にも感じなかったのに。
しかし、そんな感傷的な状態もそう長くは続かなかった。
毎週月曜日の12時45分は部署内で会議が行われていた。派遣社員の私はいつも出ていなかったけれど、今回は職場の長が変わり(前ボスの下にいた人が格上げとなった)新体制となったこともあり、自分も出るように言われて出席する。
「Kさん(前ボス)が退職となりました。これからは色々変えられるものは変えていきたいので、今までのことにこだわる必要はありません・・・」
などと所信表明があった。
そして、
「職場も手薄になりますので、渡部君にはこれから他の業務なども・・・残業はやむをえないので・・・」
はあ、なんか私の名前が聞こえてきたようですけど、意味がわからないというか、わかりたくないんですけど・・・。
しかし周囲を見渡せば、昨年の夏に倒れて入院した現ボスを筆頭に、ガンにかかった人とか介護の親を抱えている人、または自分も定期的に通院してる人など、健康面で問題のある人しかいないのである。まあ無難に動き回れるのは確かに私だけかもしれない。しかし、当の自分は派遣社員という身分なのだが・・・果たしてそんな職場で大丈夫なのか?
そして会議が終わって午後の作業へと移る。ここから状況が一変していく。
作業がこれまでのようには回らないのだ。
通常、月初の作業量はそれほど多くはない。今日も、少なくはないが特別に多くもない、そんなところだった。しかし前ボスが一人抜けた分、明らかに作業能率が落ちているのである。
おそらく前ボスがいたら今日も定時で帰れていたと思う。だが今日は結果として1時間を超えて残業をしてしまった。奇行が目立つ前ボスがいなくなったら職場が良くなる、という声がちらほらあったが、作業面で言えば私は必ずしもそう思えなかった。そして、残念ながら自分の予測の方が正しかったといえる。
問題はこれだけでは終わらなかった。作業に区切りがついて、さあ帰れるぞと思っていたら、なんだか職場の奥が騒がしい。
社員の人が神妙な顔して、
「とんでもないことが判明した・・・・。Kさん、(現ボスの)Tさんに何の引き継ぎもしなかったみたいだわ・・・。あの二人、仲が悪かったし・・・」
確かに、今回の定年退職はかなり前から既定路線だったけれど、両者が何か話し合うような姿はほどんど見ていない。
そんなこんなでゴタゴタでバタバタした2016年4月1日であった。いつの間にやら、私から感傷らしきものは消え去り、
「これからどうやって生き延びていこう」
という重い課題だけが残った。
4月に入り、今日から新しい年度が始まった。昨日と変わらず同じ派遣先に来ただけなのに、なんだかいつもと気分が違う。
私が働いている部署のボスが、昨日をもって定年退職してしまったからだ。人が1人減っただけの話であるが、それだけで職場の雰囲気もガラっと変わった。
昨日と異なるのは、周囲が思い切り静かになったことである。前のボスはやたらと一人で声を出していた人であった。他の人は基本的にそれほど無駄な喋りはしない。しかし前ボスが消えた瞬間にシーンという具合である。
他の部署から用事があってここを訪れた人は、
「なんか・・・静かになったな」
「雰囲気が変わったなあ」
と口々に漏らしていたから、それが良かったか悪かったかは別として、前ボスの存在感がそれほどあったということである。
当の私も不思議な寂しさのようなものを感じながらいつもの作業をしていた。そういえば今から2年前に、「笑っていいとも」の最終回の翌日のような寂寥感があった。当時は「タモロス」という言葉が流布していたけれど、私も「前ボスロス」というような症状になっているのか。サラリーマン時代は、周囲はどうでもいい人間ばかりだったので、異動しようが定年だろうが何にも感じなかったのに。
しかし、そんな感傷的な状態もそう長くは続かなかった。
毎週月曜日の12時45分は部署内で会議が行われていた。派遣社員の私はいつも出ていなかったけれど、今回は職場の長が変わり(前ボスの下にいた人が格上げとなった)新体制となったこともあり、自分も出るように言われて出席する。
「Kさん(前ボス)が退職となりました。これからは色々変えられるものは変えていきたいので、今までのことにこだわる必要はありません・・・」
などと所信表明があった。
そして、
「職場も手薄になりますので、渡部君にはこれから他の業務なども・・・残業はやむをえないので・・・」
はあ、なんか私の名前が聞こえてきたようですけど、意味がわからないというか、わかりたくないんですけど・・・。
しかし周囲を見渡せば、昨年の夏に倒れて入院した現ボスを筆頭に、ガンにかかった人とか介護の親を抱えている人、または自分も定期的に通院してる人など、健康面で問題のある人しかいないのである。まあ無難に動き回れるのは確かに私だけかもしれない。しかし、当の自分は派遣社員という身分なのだが・・・果たしてそんな職場で大丈夫なのか?
そして会議が終わって午後の作業へと移る。ここから状況が一変していく。
作業がこれまでのようには回らないのだ。
通常、月初の作業量はそれほど多くはない。今日も、少なくはないが特別に多くもない、そんなところだった。しかし前ボスが一人抜けた分、明らかに作業能率が落ちているのである。
おそらく前ボスがいたら今日も定時で帰れていたと思う。だが今日は結果として1時間を超えて残業をしてしまった。奇行が目立つ前ボスがいなくなったら職場が良くなる、という声がちらほらあったが、作業面で言えば私は必ずしもそう思えなかった。そして、残念ながら自分の予測の方が正しかったといえる。
問題はこれだけでは終わらなかった。作業に区切りがついて、さあ帰れるぞと思っていたら、なんだか職場の奥が騒がしい。
社員の人が神妙な顔して、
「とんでもないことが判明した・・・・。Kさん、(現ボスの)Tさんに何の引き継ぎもしなかったみたいだわ・・・。あの二人、仲が悪かったし・・・」
確かに、今回の定年退職はかなり前から既定路線だったけれど、両者が何か話し合うような姿はほどんど見ていない。
そんなこんなでゴタゴタでバタバタした2016年4月1日であった。いつの間にやら、私から感傷らしきものは消え去り、
「これからどうやって生き延びていこう」
という重い課題だけが残った。
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