迷い込んでしまった魚
平安時代には物資の運搬のほか、貴族の庭園に水を引くためにも用いられ、後には農業用水や友禅染などにも用いられた堀川は、現在コンクリートに覆われた完全な人工の川と化している。2002年度には親水公園に整備する事業が進められて画像のような状態になった。

18億円かかったと言われるこの整備事業に何の意味があったのか。川の周辺を歩くたびにそんな疑問が湧いてくる。何が嫌かといえば、舗装されきった川には生き物が全く存在しないことだ。水面をアメンボが走っているくらいで、他には何もいない。

しかし昨日の昼間に堀川の周りを歩いていたら思いがけないものが目に飛び込んできた。なんと、一匹の魚が川を泳いでいたのである。細長い体型なので、アユかウグイかと思う。ここまで上ってきたとは考えにくいし、上流から流されてしまったのだろうか。いずれにせよ、こんなところに迷い込んでしまったら食べるエサも無いし、もはや生きていくこともできないのではないか。

そして、そんなおかしな場所に迷い込んでしまった魚の姿を自分と重ね合わせてしまった。もう8月か。
自分で書いていても変なタイトルだと思うが、「あいつ」の本名など詳しい素性を知らないのでこう書くしかないことをお許しいただきたい。

私は某ラーメン店の常連で店長とも親しくしてもらっている。そして「あいつ」もまた店によく来る客だった。しかし店長が彼と顔見知りになっていくごとに、店におかしな出来事が起きるようになった。頼んでもいないのに宅配ピザが店に届いたことがあり、店長が「あいつ」の前で、寿司でも持ってきてくれたいいのに、などと言ったらしばらくして寿司の出前がくるということも。その時は私も犯人ではないかと一瞬だけ疑われたが。

かくいう私も「あいつ」にうっかり会社の名刺を渡したら、ある時期にいたずら電話が集中してかかる時があった。電話口の相手はいずれもラーメン店を名乗っていて、しかも「あいつ」がよく行く店ばかりだった。なんだか9割方「あいつ」の仕業だと確信はしていたけれど、電話というのはなかなか面倒なもので、非通知設定にされたら追いかけようがないのである。

もう時効(?)なのでここで言うけれど、「あいつ」はmixiをしていたので、新しく自分のIDを登録し、午前3時くらいに、

「京都府警察です。あんた、いたずら電話してるだろ」

などとメッセージを送って速攻でIDを削除してやった(笑)。その日の晩に「あいつ」はラーメン店に駆けつけ、「身に覚えがないんですよお、ないんですよお」、などと頭を抱えていたらしい。バカか。ちなみにこの時から私へのいたずら電話がピッタリと止まったことは言うまでもない。

ここまで書いただけで個人的に満足してしまっているけれど(笑)、まだ「あいつ」についての話は終わらないので続けたい。

「あいつ」は精神面(うつ病で入院した経歴もある)だけでなく行動も不安定なところがあった。ラーメン店に行くたびに仕事を辞めた/見つけたを何度も繰り返していた。主に工場内の単純作業を転々としていた。ダスキンに関係する職場にいた時は、泥棒の疑いをかけられて辞めてやった、とラーメン店で愚痴を言っていた。その数日後、ラーメン店に「お店の清掃の依頼があったんですけど」とダスキンから連絡が入ったという。なんじゃ、そりゃ。

そんな「あいつ」のその後はもっと支離滅裂な状態になり、仕事が全くなくなって、家を追い出されて公的な施設に潜り込むような生活をするようになった。その時もラーメン店にはときどき顔を出していて、店長がタダでラーメンを食べさせてやったこともあったという。あんなのに施しを与えるくらいなら東北に募金した方がよっぽどマシだと思いますがね。

そして現在、「あいつ」はなんと生活保護を受ける身分となったという。生活保護の予算が右肩上がりになっていてなかなか受けられないというのに、福祉事務所は一体どこに目をつけているのだろう。

そんな「あいつ」は先日もラーメンを食べに来て、15万円でやりくりするのは大変だ、などと店にこぼしていたらしい。なんだか世の中って変だなあと、現在収入ゼロの私は思ってしまった。

ちなみに「あいつ」は現在もmixiで近況報告をしているらしい。だが、私も「あいつ」もお互いアクセスブロックをしているので覗くことはできない。残念だなあ(?)

5kgという閾値

2011年8月3日
自分が必死で努力していても、周囲にはなかなか伝わらないことがある。さきほど行きつけの居酒屋に行ったら、痩せた?と訊かれて、ああやっと気づいてくれたんだなあと安堵した。

去年の夏から半年ほどで8キロも増えてしまい、さすがにこれはマズいと反省して減量に務めていたのである。しばらくは成果が出なかったけれど、最近すこしずつ体も細くなっていき、いまはピーク時よりマイナス5キロまで戻した。

しかし、2キロや3キロ減らしたくらいでは、誰も私の変化に気づかなかったという事実は興味深い。たぶん、あの人が痩せた/太った、と周囲が気づきだすのは5kgあたりなのだろうか、と仮説を立てるのも面白いかもしれない。

「閾(いき)」という概念がある。「大辞林」によれば、

〈ある刺激の出現・消失,または二つの同種刺激間の違いが感じられるか感じられないかの境目。また,その境目の刺激の強さ〉

という。わかりやすい例えをすれば、人差し指と中指をピッタリとつけて誰かを突っついている場面を想像してみよう。突っつかれた相手は、一本の指で突かれていると感じるはずだ。それを徐々に二本の指を離していくと、二本の指で指されてるんだなあ、と気づく境目が閾なのだ。

そういうわけで私の次の目標は、あと5キロ減、である。
せめてこのライブに行くまでには身辺も落ち着いているだろうと思っていたのだが、なかなかそうもいっていないのが現状だ。これから先にライブの告知があったとしても、とても行けそうにない。よって、現時点はこれが私にとって彼女の最後のライブとなっている。

しかし、この人は自分にとって節目になるような時期にはいつも現れる。大学を出てから仕事の無かった11年前、以前の会社を辞めた今年の4月、そしてこの日である。世間からみれば単なる偶然としかいえないのだが、それだけでは片付けられない部分が私にはある。かといって今日のライブに特別なにかを求めているわけでもないが、この人のライブを観て救われた気になったことが何度とあるのでそんなことを思ってしまった。

野外ライブなので一番の心配は天気だったけれど、もう暑いくらいの快晴この点は何も問題はない。会場入口の自動販売機でお茶を買って自分の席を探す。今回「プレミア席」(9000円)というのが設定されていたので選んだ。「C列」というので前から3列目かと誰もが思うだろうけど、実際は前から5列目だった。最前列と思っていたA列の前にさらに「AB列」と「AA列」が存在していたからだ。それでもずいぶん前であり、ステージから数メートルという近さなので不満はない。

開演の4時半ちかくになるとスピーカーから流れている音が大きくなる。その曲はクイーンの”WE WILL ROCK YOU”だった。そろそろ始まるのかなと思ったら、バンドから光田健一とスパム春日井が出てきて演奏を初め、それからバンドメンバーが段々と揃い出す。ステージ前で花火がバババンと鳴り、”夏が来た!”のイントロが始まって開演だ。

2曲目は先日発売された新作アルバム「Serendipity」(11年)から”ロマンティック・ボヘミアン”、新譜を出したばかりなのでここからの曲が多いかとも思ったが、実際は6曲とそれほど比率は高くなかっただろう。

複雑に気持ちになったのは”Life”が演奏された時だった。以前の日記でも書いたけれど、会場でおかしなヲタがMCの時にリクエストをしていたのがこの曲である。

http://30771.diarynote.jp/201105031534352971/

その対策のために披露したのかもしれないが、これは吉と出るか凶と出るかは半々だからだ。もしあのヲタがこれに味をしめて、◯◯を歌ってくださあい、とまた別の曲を求めてくる可能性だってある。なんなら私も、「”kick off”を歌ってくださあい。20年ほどライブを観てますが一度も聴いてませえん」と言ってやろうか(恥ずかしくて絶対にできないけれど)。しかし”life”を聴いたのはこの曲が入っているアルバム「Spirits」(96年)を出した時のツアー以来だから、15年ぶりになるだろうか。だからどうということもないが。

面白かったのは”恋したっていいじゃない”の時にギターの設楽博臣がジミ・ヘンドリックスの真似をして歯でギターを弾いていたことだ。有名な演奏法だが実際に演奏する人を観たのはこれが始めてである。それにしてもステージが近いのでバンドのメンバーなどの表情もよくわかる。サックスの竹野昌邦が終始ニコニコしながらバンドと身振りでコンタクトをとていたのが興味深かった。あれだけベテランとなるとあまり緊張などもしないのかな。

全体を通してパッと感じたのは、ライブの時間がいつもより短かったことである。2時間半くらいするのかなと思いきゃ終了したのは6時40分、2時間10分ほどだった。通常のライブでこれほど短いのは珍しい。本当にサラッと終わったという印象だった。演奏曲目もそれほど意表を突いたものがなかったこともあるかもしれないが、ともかくスーッと流れたという感じである。

会場を出る途中で私のそばにいた女性が、震災を意識したような歌詞が多かったねえ、などと話しているのを耳にした。MCでも3,11について触れていたし、そういう思いがセットリストに反映していたかもしれないが、個人的にはあまりピンとこない話であった。

これで彼女のライブの予定はなくなった。果たして自分にはまた行けるような環境を築くことができるのか。未だにそうなっていないのがもどかしい。最後に演奏曲目を記す。

【演奏曲目】
(1)夏が来た!
(2)ロマンティック・ボヘミアン
(3)すき
(4)青い鳥
(5)Life
(6)いつも笑って ちょっぴり泣いて。
(7)始まりの詩、あなたへ
(8)LOVE IS HERE
(9)SHOUT (ココロの花びら)
(10)人生はステージだ!
(11)世界中にKissの嵐を
(12)恋したっていいじゃない
(13)My Revolution
(14)サマータイムブルース

<アンコール>
(15)メロディ
(16)セレンディピティー
(17)10 years
(18)My Love Your Love(たったひとりしかいない あなたへ)
8月7日の昼過ぎにお台場で起きたデモがちょっとした話題を呼んでいる。最近やたらと韓国ブームを煽っていると言われるフジテレビを抗議するため、局周辺に2500人(主催者発表)もの人が集まったという(「J-CASTニュース 」8月7日(日)19時52分配信の記事による)

単なるデモであればそれほど気にならなかったかもしれないが、彼らは「2ちゃんねる」やツイッターといったネットを通じて集まったというから、私も少なからぬ衝撃を受けたのである。

なぜそんなに驚いたのかといえば、ネットの住人は世相について好き勝手なことを言うものの、実際に団結して行動に移す人種だとは思っていなかったからである。

例えば、2001年にアメリカ「TIME」誌が「パーソン・オブ・ザ・イヤー2001」(2001年を代表する人)をインターネットで募った時に「2ちゃんねらー」が組織運動をしてオサマ・ビンラディンやジョージ・ブッシュを押しのけ「Masashi Tashiro」(田代まさし)を1位にさせてしまったことがある(男性の風呂場覗きや覚醒剤所持で彼が捕まったのも同年)。無論この投票は無効になったけれど、せいぜいネットのできる「団結」などこの程度というのが私の認識だった。

しかし今回のデモは、ネットの動きが現実行動へ働きかけられるという事実をまざまざと見せつけられたのである。

デモ参加者の中には「朝鮮人は半島に帰れ」などというお世辞にも品があるといえない発言をしていた人間もいたのは気になるところだが、今回の出来事は決して小さいものではないことは確かである。
就職や転職情報の提供をしている毎日コミュニケーションズが、来春卒業予定の大学生に対して実施している「あなたの就職活動を漢字1文字で表すと?」というアンケートの結果を8月9日に発表した。1位になったのは「楽」(6.4%)という字で2位の「苦」(5.0%)を抜いて3年ぶりに首位に返り咲いたのだとか。

しかしながら同社が調べているように、2012年卒業予定の学生における7月の内々定率は53.0%と前年比マイナス1.5%という数字で、お世辞にも状況が良いわけではない。それなのに「楽」(「楽だった」ではなく就職活動を「楽しめた」という意味らしいが)が1位になるとは一体どういうことなのだろう。

推測するに、この調査に応じてくれた学生(文系男子179名、理系男子238名、文系女子171名、理系女子201名の合計789名)の多くは既に内定をもらっている人なのではないだろうか。この時点で就職活動を客観的に振り返って、楽しかった/苦しかったなどと言えるのは気持ちに余裕がある人しかいないだろう。そもそもまだ進路も決まっていないのに呑気に民間企業のアンケートなど参加するはずがない。大学生の就職率についても、こんなに高いかねえ、といつも思うけれど理由は一緒だろう。

いずれにしても、どうしてこんな意味のなさそうな調査を12年もおこなっているのか。それがまず不思議でならない。
最近mixiを覗くたびに、画面右側に出てくるレクタングル(四角形)広告の存在が気になっていた。

その広告の上部には、

「新聞を取っていない方へ」

と書いてあり、下には、

「チラシ部! 今すぐ無料メール登録」

と書いてある。これだけでもなんとなく内容がつかめたので、先日これをクリックしてみた。

https://chirashibu.jp/CSP/CSP01/mailmagazine_entry.jsp?vos=mxjbn2s11070530

この「チラシ部」というのは名前が示す通りで、新聞の折り込みチラシのごとく近所のお店の情報がメールで送られてくるシステムである。手続きは簡単で、自分のメールと所在地を登録するだけだ。他に個人情報は一切いらない。

ただ所在地については実に細かい。

・都道府県
・市区郡
・町村大字

とここまで分類している。私の場合ならば、

京都府>上京区>花開院町(「けいかいいんちょう」と読みます)

まで選択しなければならない。

登録した翌日に早速メールでチラシが届いた。しかし載っていたのは6件だけで、伊勢丹や高島屋といった百貨店が半分ほど占めていた。まだまだ駆け出しのシステムだと感じる。それでも新聞を購読してない人間からすれば、無料なら登録しておいて損はないかな、と思ってしまう。

ふとサイトの画面の左上に、

「PRODUCED BY RECRUIT」

と書かれているのを見つける。このサイトの制作にリクルート社が色々と関わっているのだろう。しかし、新聞販売店の貴重な収入源である折り込みチラシに目をつけるとは、リクルート社も恐ろしい。それほど大きな売上げになるとも思えないけれど、求人情報なども入ってくれたら今の自分にはありがたいかも。
「産経新聞」 8月14日(日)2時11分配信の記事で、

「地デジ化余波でテレビ塔収入激減 名古屋など存続危機」

という見出しを見つけたので読んでみた。この時に初めて知ったが、東京タワーや名古屋テレビ塔などの「電波塔」というのはアナログ電波を送ることによる関連収入によって運営されている。しかしこのたびのデジタル化によって大幅に収入が下がってしまう。例えば国内初のテレビ塔である名古屋テレビ塔の場合、テレビ局が支払っていた年間約8千万円の放送機器やアンテナの設置料が無くなってしまう。今年度はなんとか黒字にできそうだが来年度以降はもう厳しいらしい。

今後の対策としては、

<名古屋テレビ塔は「アナログ後」の活性化策としてリニューアル計画を策定。放送関連機器が設置されていた部分を飲食や物販などのテナントに改修し、現在30万人弱の入場者を50万人に引き上げる。減収分を「入場料でカバーする」(同社)考えだ。>


電波について何もわからない素人でも、こんなの無茶ですよ、というような荒唐無稽な計画だ。既得権だった放送収入が途絶えた途端、その穴を入場料で埋めようなどというのは絶対に不可能だからだ。

実際この記事の後半では、タワーを取り巻く惨状を伝えている。

<名古屋テレビ塔の入場者は最盛期の3分の1以下に落ち込んでいる。同様にラジオ放送の送信に特化するさっぽろテレビ塔(札幌市)も、22年度の入場者数は約34万人と、3年間で10万人も減り、収支も赤字が続く。さっぽろテレビ塔の運営会社は「東京など大都市は別格だが、地方のタワーは厳しい」という。>


大都市とか地方ということではなく、そもそも入場料だけで黒字にしている施設が日本国内にどれだけあるかというのが現実的な問題だろう。以前に大学の授業(博物館学)で聞いた話では、美術館・博物館であれば大阪城の天守閣など数えるほどしか存在しないという。タワー会社にしてみたらいい加減な国策のとばっちりを受けた格好かもしれないが、こういうことはずっと前に予測していたことではないか。まさか計画が撤回されるとでも思っていたとか?

いずれにせよ、このままでは経営が立ち行かなくなるのは明らかである。全国どこでもタワーというのは観光スポットとして有名だけれど、存続できなくなってしまったらとり壊されてしまうのだろうか。あれだけ立派に作られるとそれも無理な気もするが。
前の職場で一緒だった方から、Kさんが7月10日に93歳で亡くなりました、という旨のメールが届く。Kさんは会社のOBで、会社の株式も持っていて株主総会にもいつも顔を出していたらしい。彼はある目的で私のいた職場にもときどき顔を出していた。

私は以前の会社の大半を新聞社が主催する事業(イベント)に関わる職場にいた。テレビ局や新聞社はスポーツや展覧会など色々なイベントをおこなっている。そしてその招待券も当該部署にいけば置いてある場合が多い。しかしそれはもちろん社内の人や取引先、広告主に渡すためのものである。

Kさんはそうした招待券を目当てに職場に来ていたのだ。展覧会の招待券はまだ枚数はそこそこあるとしても、社外にほとんど出していない映画試写会の招待券までもらって行った。現在会社にいる人でKさんが現役の時を知っている社員などほとんどいない(編集にいたらしいが)。面識のある人が誰もいないのに堂々ともらっていく姿を見ていると、ずいぶん図太い神経をしているんだなと感じたものだ。

そんなKさんの姿を見ていた当時の上司が、

「辞めてからも会社に来るなんて、ずいぶんいい思いをしてきたんやろうなあ。俺だったらもう二度と来ないで」

などと言っていたらしい。全く同感である。例えば大学時代にいた同志社大学の図書館やラウンジはよく利用するものの、在籍してた心理学実験室などには近寄る気は一切おきない(良い思い出が一つもないからね)。職場については、挨拶したい人もいるし一回くらいは訪れるかもしれないが。

それにしても招待券というのは、職場にいた時はそこらに転がっていたのでたいして価値などないと思っていたけれど、そこから離れてしまったとたん入手が困難になってしまう。時おり知り合いから券を頼まれることもあるけれど、広告営業に異動して渡すこともできなくなった時は、

「お前、異動して何も取り柄がなくなったな」

などと冷たく言われたこともある。ううう。確かに営業部で提供できるサービスなんて何ひとつ無い・・・。しかしKさんのような図太さを大半の人は持っていないから、職場を離れた社員は券をもらいに行くどころかそもそも職場にも足を踏み入れない。良い思い出が無かったんだな(笑)

そういえばKさん以外にも招待券をもらいたがっていた人間がいたのを思い出した。そいつは携帯でかつての上司に連絡して招待券を送ってもらっていた。それについては目をつぶるとしても(つぶりたくないが)、会社の郵便で券を送るという行為は明らかにおかしい。かつての後輩もメールを通じてそいつに券を催促されたことあり(図々しいですねえ)、わけもわからないまま郵送費を自腹で送ったと聞いたことがある。しかしそれが常識的な対応だろう。私だったら送りもしないけどね。

それはともかく、新聞で展覧会の情報を見つけるたびに職場にきたであろう笠井さん、本当にお疲れさまでした。せいぜい私はあなたのような人間にだけはならないとこの場で誓わせていただきます。
昨夜の午後10時、島田紳助がいきなり記者会見を開き芸能界からの引退を表明した。所属事務所の吉本興行が発表した文書ではその理由を以下のように書いている。

<弊社の調査によれば、島田紳助について、平成17年6月頃から平成19年6月頃までの間、暴力団関係者との間に一定の親密さを伺わせる携帯メールのやり取りを行っていたことが判明いたしました。このような行為は、社会的影響力の高いテレビ等のメディアに出演しているタレントとしては、その理由を問わず、許されないものであります。 >

これを見てすんなりと、なるほどなるほど、と紳助の引退を納得できる人がどれだけいるのだろう。さきほど私は「いきなり」と書いたが、やはり時期的なことが一番おかしい。なぜ6年ほど前の話をこの時期に持ち出し、しかも午後10時に記者会見を開かなければならないのだろう。もっと周到な準備をすることができるのではなかったのか。

ネットでは色々な憶測が飛び交っている。例えばツイッターでこういうものが目についた。

<紳助スキャンダル。それも24時間テレビが終わったタイミング。さぁ、これで当分お茶の間は紳助一色。これが情報のコントロール。そんで前原は知らない間に首相になる。>

今回の件はもっと他の大きな情報を目立たなくされるための操作であるという考えだが、果たして政界と芸能界が一致団結して芝居を打たなければならないような出来事があるのだろうか。なんだか不気味だ。

紳助の引退会見によって本来より目立たなくなったニュースに注視した方が良いかもしれない。
島田紳助の芸能界引退に絡んで暴力団に関する内容がニュースで取りあげられている。ネットで過去の記事をいろいろとたどってみると、近年は警察庁をはじめ都道府県の自治体も暴力団対策にかなりの力を入れているようだ。昨年4月に福岡県から始まった「暴力団排除条例」では、暴力団とみなされた人は例えば銀行口座が開けなかったり、事務所(自宅)を借りることがでなくなるなどの処置がとられる。つまり暴力団を人間と見なさないというわけだ。

「現代ビジネス」が2011年1月13日に配信した「警察庁『山口組壊滅作戦』で地下に潜りマフィア化する暴力団の恐怖 安藤隆春警察庁長官への期待と不安」(執筆はジャーナリストの伊藤博敏氏)という記事で、今年の1月6日に警察庁の安藤隆春長官が記者会見でこう述べたことが紹介されている。

「今年は暴力団対策が最重要課題だと位置づけている」
「さらに暴力団対策を進めることで、日本の治安の風景を変える覚悟でやりたい」

暴力団を取り巻く状況を見ていると、安藤長官の年頭の発言はかなり本気度の高いものといえよう。多くの一般市民にとってはこうしたことは無条件に大歓迎するかもしれない。しかし個人的には警察などのやり方には不安がつきまとう。

例えば私たちがなんとなく怖がってしまう団体に「右翼」という人たちがいるけれど、おそらく日本で最も知名度の高い右翼である鈴木邦夫(一水会顧問)さんは著書「愛国者は信用できるか」(06年。講談社現代新書)でこう説明している。

<天皇制を批判したら、すぐに右翼が攻撃してくると思っている人が多いが、そんなことはない。論文や評論に対して抗議することはない。それは「言論の自由」だと思っている。そのくらいは、わきまえている。戦前のように、学者のアラ探しをして攻撃するようなことはない。>(P145)

暴力団にしてもそれは同様だ。端的にいえば、彼らの利益を侵害するような行為をしない限りはむやみに手を出してくることはない。

私は暴力団を擁護するような立場ではない。ただ、今回の暴力団排除条例や警察の努力によって彼らに打撃を与え弱体化したとしても、その結果市民が安心して暮らせる平和な社会が実現する可能性は限りなく低いと感じているだけである。いや、下手をしたらもっとややこしい社会ができてしまうかもしれないとすら思っている。

暴力団とも関係が深い話になるが、消費者金融という職業もグレーゾーンの撤廃などによってすっかり弱体化している。高い金利とキツい取り立てが批判を浴びた結果であるが、しかしそれはかなり一面的な見方と言わざるをえない。なぜ消費者金融の金利が高いかといえば、貸した金が戻ってこない可能性が高いためその分を上乗せしているだけだ。そもそも貸金業というのは原則的に借りたい人間がいるから成り立つ商売であり、業者を排除したからといってその需要が減るわけでもない。消費者金融から借りることができなくなった人は、代わってもっとヤバくて高金利な違法の闇金融業者に流れていくだけである。これは完全に法改正以前よりも事態が悪くなったとしかいえない。

同じことが今回の暴力団対策に対してもいえるのではなかろうか。さきの現代ビジネスの記事にはこのような予測も書かれている。

<「山口組壊滅作戦」を進めれば、弘道会=山口組は地下に潜って先鋭化、愛想のいい隣人、行きつけのパン屋、宅配の運転手、といった普通の人が、水面下で非合法活動をしている時代になるかも知れない。>

消費者金融の流れを見てみれば、暴力団対策によって闇の勢力が無くなっていくなどとは私には到底思えない。それはこの世界から戦争や飢えがなくなるということくらい夢物語な気がするのだが、いかがだろう。

【参考文献】
伊藤博敏「警察庁『山口組壊滅作戦』で地下に潜りマフィア化する暴力団の恐怖
安藤隆春警察庁長官への期待と不安』
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/1894

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