日が暮れて外も暗くなり始めた頃の話である。

そのとき私はマンションの1階にいた。外で何やら叫び声が聴こえてくる。声の方向を見ると、大宮通りを北上して走っているではないか。そして、

「ひったくりー、ひったくりー」

と大きな声を出していた。そうして近所の交番に駆け込んで、警官に助けを求める。

どうも、近所のコンビニ前で盗難にあったらしい。しかし気の毒だが、おそらく犯人は捕まらないと思う。すでに外は真っ暗になっていて状況があまりにも悪かったからだ。被害にあった人が多少なりとも犯人の特徴をとらえているなら、まだなんとかなるかもしれないが。

それにしても、近所でひったくりが発生するというのは気持ちが悪い。おちおち外を歩くのも怖くなってしまうではないか。だがこれだけ不景気な世の中になってくると、こうした軽犯罪も増えていくような気がする。
とりあえず晴れてよかった。

午前10時、目を覚ましてすぐ思ったのはそれだった。ゆっくりと身支度をして、阪急電車で神戸は三ノ宮へと向かう。

今日から6日までが私のゴールデンウイークとなる。しかし、予定はまったく入っていない。今日の「GOING KOBE’08」へ行くのみである。

「GOING KOBE’08」は神戸のポートアイランドでおこなわれる無料のライブイベントだ。公式サイトによれば、

http://starclub.jp/goingkobe08/

「阪神淡路大震災を風化させず語り継いで行き、イベントを通じて神戸を活性化させることを最大のテーマとします。」

という趣旨らしい。震災から10年たった05年から続けていて、今回は70組以上のミュージシャンが参加する。その中にジッタリン・ジンの名前を見つけた。私がわざわざ神戸まで足を運んだ理由はそれである。

三ノ宮からポートライナーに乗り継いで約10分、「市民広場駅」を下りる。このイベントは「ワールド記念ホール」と「神戸夙川学院大学」の2ヶ所を会場としているが、ひとまずワールド記念ホールへ向かってみた。入場するためには、事前に携帯で申し込み、返信されてきた画面を入口で提示しなければならない。画面はしっかりと保存はしているものの、携帯の電池が切れかかっている。前日にしっかりと充電しておくべきだった。果たして最後まで持つかどうか。不安である。

記念ホールは大きな体育館という趣きで、両サイドにステージが設けられていた。片方のライブが終わるとすぐ次のライブが始まる、という感じである。私はスタンド席に座って待っていた。下を見ると、すでに何百人もステージ前に観客が集まっている。まもなく出てくる「ムラマサ☆」が目当てなのだろう。

主催者あいさつが終わった後、そのムラマサ☆が登場する。8人編成のバンドで、その半分がホーン隊、またボーカルが女性というけっこう変わった特徴ではある。しかし、聴いた限りでは音は基本的にパンクであり、ホーンはそれほど活躍していないような印象を受けた。ただお客は、モッシュやダイブが禁止と注意されたにもかかわらず、異様な盛り上がりをしていた。ステージの近くに立ってライブを観るには注意が必要だと感じる。

25分という短い持ち時間が終わったとたん、反対側のステージでRAZORS EDGEのステージが始まる。それまでムラマサ☆を観ていたお客も大急ぎでそっちに走り回っているのが、2階のスタンドからも確認できた。RAZORS EDGEはいかにもハードコアパンクという趣きのバンドで、ある意味ムラマサ☆以上に盛り上がっている連中もいた。なぜか円になってグルグルと走り回っている輩も見かける。あんなことしているとバターになるぞ、と心配になってくる。

RAZORS EDGEが終わったら、再び反対側のステージに怒髪天が始まる。MCなどが面白いので最後まで立ち会いたかったが、2曲だけ観て神戸夙川学院大学のステージへ向かう。

ワールド記念ホールから歩いて10分のところが大学である。そこのステージに入り、ジッタリン・ジンを待つ。ライブを観た人ならばご存知だろうが、ライブ前に、

「カモン!カモン!カモン!イエイ!イエイ!」

やたらと声を出すファン(?)が存在する。はっきり言わせてもらうが、ああした行為は単なる自己満足でしかない。だいたい、ステージでサウンド・チェックをしているバンドのメンバーは全く相手にしてなかったし。私がよく観る渡辺美里のライブでもそうした輩がいるけれど、死ぬまでああしているのかな。

そんな人には目もくれず、午後3時5分、いよいよジッタリン・ジンのライブが始まる。1曲目の“やけっぱちのドンチャラミー”で春川玲子がハーモニカを吹いたとたん、周囲にいた連中がドッと前にいき、暴れだした。ステージの前方で観ていた私は、

「ここにいては危険だ!」

そう感じて後ろの方に下がった。観れば私の前にいる連中は、「おしくらまんじゅう」のごとく体をぶつかりあっていた。彼らは何をしにここに来ているのだろうか。果たして音楽を聴いているのだろうか。単純にそれが疑問である。

そのまま、新曲“恋のルアー”、歌詞に「神戸」が出てくるデビュー曲“エブリデイ”、“夏祭り”と演奏するごとに、周囲のテンションも異様になってくる。明らかに会場も揺れ動いていた。最後の“黄金の夜明け”になったら、これが最後とばかりに前方の輩の動きもとんでもないことになっていた。20日はモンゴル800とのジョイント・ライブにも行くのだが、後ろで観るのが賢明かなあと思ってしまう。

演奏曲目は以下の通り。

(1)やけっぱちのドンチャラミー
(2)恋のルアー
(3)こいのぼり
(4)エヴリデイ
(5)夏祭り
(6)黄金の夜明け

ジッタリン・ジンのライブが終わった時点で3時半すぎごろだった。以降も、トライセラトップスとか175RとかガガガSPとかも出るのだが、個人的には何も興味もなかったので、会場を出てそのまま京都へ帰った。
金曜日の「おはよう朝日です」(朝日放送)は、たむらけんじが毎週レギュラーに出ている。いつも私は夢うつつの状態で朝のテレビを観ていることが多いが、今日のたむけんは遅刻したらしい。スタジオに入ってきたたむけんは、司会の宮根誠司に「なにしとんのや」と怒鳴られて、

「(高速道路で)タイヤが破裂しチャー」

と説明していた。

それはともかく、番組の最後でなぜか長澤まさみがVTRに出てきて、

「たむけんさんは・・・洋服は着られないんですか?」

と質問をしてくる。これに対して、たむけんは悲しそうな顔をしながら、

「洋服を着るとテレビに出してもらえないんです」

と答えていた。宮根誠司は「リアルな答え」と指摘していたが、そういう事情は確かにあるだろうな。

そして、

「まさみちゃんに焼肉屋1軒あげる」

というたむけんの言葉を最後に今朝の「おはよう朝日です」が終わった。
(1)Whenever God Shines His Light ホエンエヴァー・ゴッド・シャインズ
(2)Contacting My Angel コンタクティング・マイ・エンジェル
(3)I’d Love To Write Another Song アイド・ラヴ・トゥ・ライト・アナザー・ソング
(4) Have I Told You Lately ハヴ・アイ・トールド・ユー・レイトリー
(5) Coney Island コニー・アイランド
(6) I’m Tired Joey Boy ジョーイ・ボーイ
(7) When Will I Ever Learn To Live In God ホエン・ウィル・アイ・エヴァー・ラーン
(8)Orangefield オレンジフィールド
(9)Daring Night デアリング・ナイト
(10)These Are The Days ジーズ・アー・ザ・デイズ
〔ボーナストラック〕
(11)Whenever God Shines His Light (Alternative Take) ホエンネヴァー・ゴッド・シャインズ(別バージョン)
(12)When the Saints Go Marching In 聖者が町にやって来る

このアルバムについて述べる前に、一つだけお断りしたいことがある。ヴァン・モリソンのキャリアはもう40年以上になり膨大な作品が出ているけれど、90年前後の作品が私にとって最も愛着が強いということだ。彼の代表作といえば「アストラル・ウイークス」(68年)や「ムーンダンス」(70年)、そして「テュペロ・ハニー」(71年)あたりがガイドブックの筆頭に挙がる。それはそれで良いけれど、自分の思いはまた別にあることも否定できない。

時々ふと考えることがある。私はどうしてヴァン・モリソンにここまで惹かれたのか、ということだ。彼のCDは数十枚所持しているわけだし、昨年(07年)はイギリスまで渡って彼のライブを体験した。それほど自分にとっては特別なミュージシャンである。ジャズ、ブルース、ソウル、アイリッシュ・ミュージックなどの種々の音楽を飲み込み、独自の音を作り上げた孤高のシンガーというのが彼の一般的なミュージシャン像で、そうした指摘も間違ってはいないだろう。しかし、私が彼に惹かれた部分はそうしたところにはないと思っている。

詳しいことは別のアルバムの感想でも触れるつもりだが、彼に夢中になったのは、一言でいえばその音楽から発せられる「美しさ」だった。これは他のミュージシャンでは味わえないものである。その「美しさ」は90年前後の作品において顕著な気がする。私がこの時期の彼にひときわ強い思い入れがあるのはそうしたことが理由だ。彼のファンを自認する方ならば私の言いたいことはなんとなく実感できると信じている。そして、この「美しさ」が前面に出ている1枚が89年に出たこの「アヴァロン・サンセット」(Avalon Sunset)である。

ご存知ない方のために本作の特徴をいくつか挙げておこう、まず、このアルバムには2人のゲスト・ミュージシャンがいる。クリフ・リチャード(Cliff Richard)、そしてジョージィ・フェイム(Georgie Fame)だ。

クリフの日本における知名度はそれほど高くないだろうが、50年代のロックンロールの時代から現在にいたるまで活躍する大スターであり、「イギリスのエルヴィス(プレスリー)」と言われたこともある人だ。1曲目の“ホエンエヴァー・ゴッド・シャインズ”で2人がデュエットをしている。ヴァンとは対照的な柔らかい声の持ち主のクリフとの絡みが絶妙な作品だ。ちなみに今回のボーナストラックはヴァンが一人で歌っているバージョンもあるので、それと比較するとかなり印象が違ってきて面白い。

そしてジョージィ・フェイムは60年代からオルガン奏者やシンガーとしてイギリスで活動している人で、“イエー・イエー”などのヒット曲もある。本作では“ホエン・ウィル・アイ・エヴァー・ラーン”ほか数曲にオルガン奏者で参加しているが、ここから90年代中盤までヴァンの作品に関わることになる。実は、ヴァンよりも以前に私はジョージィの存在を知っていた。なぜかといえば、佐野元春のアルバム「ザ・サークル」(93年)で彼がハモンド・オルガンやヴォーカルでゲスト参加していたからである。思えば、ヴァンへの興味が強くなったのもジョージィがきっかけだったかもしれない。

ところで、このアルバムは「宗教色が強い」と言われることが多い。そして、そうした解説が理由で聴く気がおきなくなってしまう人もいるのではないだろうか。しかし、それはおそらく歌詞の内容においてのみの指摘だろう。確かに「God」や「Angel」という言葉が随所に出てくるのは間違いない。だが、音にまで宗教や信仰が影響されているとは思えない(ただ、70年代後半から80年代前半の彼の作品のいくつかには宗教色が色濃くでていた部分もあるかもしれない)。

その肝心の音の特徴といえば、まずストリングスの多用だろう。ロッド・スチュワートがカバーしたことでも知られる“ハヴ・アイ・トールド・ユー・レイトリー”をはじめ、大半の曲で使われている。数多い彼の作品でもここまでストリングスが入っているものはない。そして、それが見事な効果を発揮して曲の美しさを際立たせている。ホーンのアレンジではロック界一と言われるヴァンだが、ストリングスの手腕もかなりのものではないだろうか。

一方、ホーン・セクションはほとんど使われていない。“アイド・ラヴ・トゥ・ライト・アナザー・ソング”でサックスを吹いているくらいだ。歌い方も力一杯に歌っているのは“デアリング・ナイト”くらいで、全体的に静かな調子の作品である。しかし完成度というか統一感は非常に高い。“コニー・アイランド”の演奏などハッとするような「美しさ」に包まれた音が満載のアルバムだ。

今回のボーナストラックについても触れておこう。さきほど述べた“ホエンネヴァー・ゴッド・シャインズ”の別ヴァージョン、そして“聖者が町にやって来る”(“聖者の行進”と訳することもある)の2曲が追加されている。“聖者が町にやって来る”はもともとアメリカの黒人霊歌で、ルイ・アームストロングがジャズとして取り上げたことでも知られる。ヴァンは何を手本にしたかわからないが、この音源でもサックスを中心にジャズっぽいアレンジになっている。

ヴァン・モリソンを何から聴けば良いか迷う方は、このアルバムから入るのはいかがだろうか。70年代前後のヴァンはロック史として重要かもしれない。しかし私としては彼の音楽の持つ「美しさ」に触れて楽しんでもらえたらと願う。

VAN MORRISON on the BBC

2008年4月25日
ヴァン・モリソンの公式サイトを覗いたら、トップにライブ映像が載っていた。

http://www.vanmorrison.co.uk/

公式サイトでは最新アルバム「Keep It Simple」から“Soul”の映像のみだが、BBCの公式サイトには、

http://www.bbc.co.uk/musictv/vanmorrison/video/

さらに“ Don’t Go To Nightclubs Anymore”、そしてアルバム「What’s Wrong With This Picture」(03年)の“St James’ Infirmary”の2曲も観ることができる。

ヴァン本人は相変わらず仏頂面で、一方“Soul”が終わった後のギタリストの笑顔が対照的だった。
「Keep It Simple」が異様に売れてます
ヴァン・モリソンの新作「Keep It Simple」がとんでもないことになっている。ヴァンの公式サイトを覗いてみると、トップのページに、

「 NEW ALBUM HITS #10 ON BILLBOARD TOP 200 AND IN THE CANADIAN CHARTS」

と書いているではないか。なんと全米アルバムチャートで10位を記録したというのである。

続く文章では、

「Keep It Simple has debuted at the #10 spot in The Billboard 200 Album Chart making it the highest ever US chart position of any Morrison album.」

と指摘しているように、彼の40数年のキャリアの中でも最高記録だという。実質的なデビュー・アルバムといっていい「アストラル・ウイークス」(68年)から40年、いったいヴァンの周辺で何が起こっているのだろう。

原因はともかく、こうした現象が日本にも飛び火してくれたら良いのだが・・・。
「ストレンジ・デイズ」という、昔のミュージシャンや再発CDを主に紹介する音楽誌がある。音楽雑誌はとんと買わないし、しかも価格は980円と高めの設定となっている。

にもかかわらず、今回はこれを買ってしまった。理由は、あえて書かなくても想像はつくだろうが、ヴァン・モリソンの特集が組まれているからだ。

ヴァンの作品を辿る時は彼の自伝「魂の道のり」をいつも参照していたけれど、今日からこれを使おうと思う。「魂の道のり」は分厚いしハードカバーだし、手に取るには少し面倒だからだ。

特集だけあって、公式のアルバムなどは全て取り上げられている。そして、その大半を持っている人間がここにいたりして。

しかし、今回の特集で執筆している大鷹俊一氏が、

「これほどのクォリティの作品を出し続けながら日本での知名度、評価が数十年前から一向に変化することがないように感じてしまうヴァン・モリソン」(68P)

と冒頭から書いているのは、納得はいくが、悪い意味で泣けてきた。
(1)Wild Night ワイルド・ナイト
(2)(Straight To Your Heart)Like A Cannonball キャノン・ボールのように
(3)Old Old Woodstock オールド・オールド・ウッドストック
(4)Starting A New Life 光への出発
(5)You’re My Woman ユア・マイ・ウーマン
(6)Tupelo Honey テュペロ・ハニー
(7)I Wanna Roo You(Scottish Derivative)アイ・ワナ・ルー・ユー
(8)When That Evening Sun Goes Down 黄昏
(9)Moonshine Whiskey ムーンシャイン・ウイスキー
〔ボーナス・トラック〕
(10)Wild Night(Alternative Take)ワイルド・ナイト(別テイク)
(11)Down By The Rierside(Alternative Take)ダウン・バイ・ザ・リヴァーサイド

長らく廃盤状態だったヴァン・モリソンの作品が、デジタル・リマスタリング、紙ジャケット、そしてSHM-CD仕様になって国内盤が再発される運びとなった。1年にわたり29作品が順次発売される予定である。これほどの規模でヴァンのアルバムが出ることはもうないだろう。まず3月26日には6タイトルが発売された。この「テュペロ・ハニー」(Tupelo Honey)もその一枚である。

貴重な機会なので、再発されるCDを片っ端から取り上げようと思う。たいして音楽の知識はないけれど、彼の作品のほとんどは既に持っているのだから比較検討くらいはできる。また、こういうことをする人は他にいそうもないし、ヴァンの作品をブログで紹介するだけでもそれなりに価値はあるとは思っている。

「テュペロ・ハニー」は71年に発表された。このたび再発される作品の中で最も古いものである。ヴァン・モリソンというミュージシャンの個性が確立したという意味で実質的なデビュー・アルバムといえる「アストラル・ウイークス」(68年)、そして70年に「ムーンダンス」と「ストリート・クワイア」を2枚発表した後に出た作品である。チャートでは全米27位を記録している。

1曲目は“ワイルド・ナイト”で始まる。この曲はいつ聴いても素晴らしい。3分30分ほどの曲だが実に聴きごたえがあり、疾走感ある曲調やホーン・セクションのアレンジなど見事としかいいようがない。アルバムの中でもこの曲の雰囲気や緊張感は異色である。彼の伝記「ヴァン・モリソン 魂の道のり」(ジョニー・ローガン著、丸山京子訳)に興味深い箇所があり(173P)、このころのヴァンはレコード会社のワーナーからヒットするような曲を書くよう圧力をかけられていたというのである。そうした影響も良い方向に働いてこの名曲が誕生したのだろう。シングルでも全米28位まで上がった。

ご存じない方はぜひ知っておいてほしいのだが、「テュペロ・ハニー」が出る直前にヴァンは女優で歌手のジャネット・プラネットと結婚している。そうした状況が音にもしっかりと表れているのが本作の大きな特徴だ。アルバム・ジャケットには二人が並んだ写真が写っているし、歌詞は愛する人への讃辞、また新しい生活といった内容が目立つ。

そういえば、ボブ・ディランは「フリー・ホイーリン・ボブ・ディラン」(63年)のジャケットで恋人と2ショットで写っていたし、ジョン・レノンはアルバム「イマジン」(71年)でヨーコ、ヨーコと歌ってたし、ルー・リードはアルバム「ブルー・マスク」(82年)でシルヴィア、シルヴィアと歌っていた。優れた表現者というのは自分の恋愛事情についてもあっけらかんと歌えるようでないといけないのかもしれない。

ヴァンに限っていえば、95年のアルバム「デイズ・ライク・ディス」でも再婚した奥さんと2ショットの写真を載せている。個人的な生活が作品にも反映されるという点で彼の行動は一貫しているといえよう。

共同プロデューサーがテッド・テンプルマン(のちにリトル・フィート、ドゥービー・ブラザーズ、ヴァン・ヘイレンなどを手がけたことで知られるようになる)で、アメリカで制作されたことも音作りに決定的な影響を与えている。ヴァンの作品はどれも同じという意見をたまに見かけるけれど、90年代と比べたらこの時期の音は全く印象が違う。アコースティック・ギターのザクザクとした音やピアノが前面に出ているサウンドというのはこの時期にしか見られないものではないだろうか。

よく言われる「明るいアルバム」という指摘には異論がない。聴きようによっては浮ついていると感じるくらい幸福な雰囲気に包まれた作品だ。それが理由なのかはわからないが、このアルバムの評価はかなり高い。「アストラル・ウイークス」や「ムーンダンス」と並んで彼の代表作に挙げられることも多い。だが個人的には、良いアルバムとは思うものの、ものすごい名盤とまでは思うこともなかった。この文章を書くまでに何度も聴いたけれど印象はあまり変わらない。その理由をずっと考えていたが、収録曲で“ワイルド・ナイト”以外は馴染みない曲ばかりなのが大きい気がする。

現在でもライブで歌われているのはこの曲と“テュペロ・ハニー”くらいしかない。ヴァンはこの作品を発表してまもなくジャネットと離婚してしまうわけで、彼女との思い出がつまった楽曲を歌う気持ちにはなれないのではないだろうか。

また、アイリッシュやケルト的な要素はこの頃のヴァンにはまだ見られない。この辺が私の琴線に触れるようなので、たとえば90年前後と比べて70年代前半の作品はどうしても疎遠になってしまうきらいがある。70年代アメリカのポップ・ミュージック、またはシンガー・ソングライターなどが好きな方にはこの作品を気に入るかもしれない。

しかしながら、それほど思い入れがあるわけではないとは言いながらも、91年に出た国内盤、98年にマスタリングされた国内盤、そして今回のと合わせて3枚の「テュペロ・ハニー」を所持することとなった。我ながら呆れてしまう。

音質についても触れておこう。98年に再発された時にはずいぶん音が良くなったので、SHM-CDや最新デジタル・リマスタリングといっても見違えるほどに向上したようには感じられない。いくらかはクリアになったかな、と気づくくらいか。この辺りは立派なオーディオを所持している方の感想を待ちたい。

それから今回は2曲のボーナス・トラックが追加されている。1曲は“ワイルド・ナイト”の別テイクで、オリジナルの音源に比べると、間奏で「ドゥドゥドゥ・・・」などと歌ったりしてずいぶん緊張感が薄れたものとなっている。もう1曲は“ダウン・バイ・ザ・リヴァーサイド”で、ヴァンのオリジナルではなく「Traditional」と表記されている。演奏を聴く感じではカントリー色が強い気がする。ザッと検索するとアメリカの民謡もしくは黒人霊歌というものらしいが詳しいことはよくわからない。ただ、いまでもゴスペルやカントリーソングを好んで歌っているヴァンだが、そのような趣味嗜好は昔からあったということなのだろう。

せわしない出荷日

2008年3月25日
昼休みになるのが待ち遠しくてしかたなかった。時計が12時になったら会社を出て自転車で河原町方面へ向かう。

待ちに待ったヴァン・モリソンの再発CDの出荷日である。夕方はちょっと予定が入っているので、昼休みのうちに手に入れたかった。明日以降に買っても遅くないのではと思う人もいるだろう。確かにその通りである。彼のファンなど全国をみても数はたかがしれているし、すぐに無くなる可能性も低いにはちがいない。だが、聴くか聴かないかはともかくとして、まずは自分の手元に作品を置いておきたいのだ。

いつも通っているCDショップに着いて、ア行のCDを見るも作品は一つも置いてない。紙ジャケットCDばかり置いてあるコーナ−にもボブ・ディランやジョージィ・フェイムはあるがヴァンのヴァの字も見当たらない。

しかし、この時点で焦りはなかった。まだ開店してまもない時間ではその日に出荷するCDがまだ棚に入っていないことはよくあることだからだ。そこで店員をつかまえて、

「今日が出荷日なんですけど、ヴァン・モリソンというんですけど」

と尋ねたら、

「ヴァン・・・モリソンですか?」

と少しとまどった返事が返ってくる。おそらくこの人は知らないのだろう。

手がかりがないのも困るだろうと思い、

「紙ジャケットなんですけど・・・」

とヒントを与えたら、まだ段ボールに入っているCDをごそごそと調べてくれた。2、3分ほど経ったろうか。イヤな予感がする、と思っていたら案の定、

「申し訳ありません。出荷していないようです」

と言われた。なんということだろう。それほど小さなCDショップというわけでもないのに。せめて私の買う分だけでも確保してほしかった。

この時点で12時20分ごろだったと記憶している。このままでは昼食をとる時間もなくなってしまう。しかし今のうちにCDも手にいれたいし・・・。ということで、タワーレコードだけ覗いてみようと、また自転車を5分ほど走らせる。そしてOPAビルの裏に自転車を置いてビルの9階にあるタワレコまで駆け上がった。

「V」のレコード棚にはやはり置いていない。しかし、また店員をつかまえたらレジに持ってきてくれた。新作「Keep It Simple」と「Back On Top」(99年)だけいつの間にか4月30日に発売延期となっていたけれど、それ以外の6枚は全て買った。これで合わせて1万8200円かかった。

で、そのまま会社に戻ればめでたし、めでたし、のはずだった。しかし、帰りにちょっと後味の悪くなる出来事がついてくる。自転車を置いた場所に戻ると、なぜかさっきと違う場所に移動しているではないか。ふと近くを見ると、ヘルメットをかぶったおじさんが立っている。この人が動かしたんだろうなと感じながらも、カギをさしてスーッと逃げようとした瞬間、

「(ここは)駐車禁止ですから」

と言われたので思わず、

「すいません」

と頭を下げてその場を後にした。別に私はあんな場所に自転車を止めたかったわけではない。そもそも最近の京都市内は自転車の撤去も活発にしているし、目立つようなところに自転車を置くのは極力さけている。

そんなことがありながら会社に戻るころには12時50分ごろ、やはり休み時間はほとんど無くなっていた。戻る途中のセブンイレブンでおにぎりを2個買ったのが今日の昼食である。いつもと比べて小食であった。
本屋で「ぴあ」をめくっていたら、来月にフリクション(Friciton)が大阪でライブをすると載っているではないか。彼らがツアーがあるのを知ったのはこの時が初めてだった。しかもチケット発売は3月15日である。

東京とは違ってすぐには売り切れないだろう。そういう確信はあったものの、部屋に戻ったらパソコンからチケットをすぐ申し込んでみる。やはり完売はしていなかったが、私が取ったチケットの整理番号はまだ33番である。ライブ当日(4月22日)までにどれだけ売れるだろうか。チケットを確保してしまうと、今度はその辺の方が気になってくる。

ツアーの日程は、

2008年4月20日(日) 広島クラブクアトロ(広島)
2008年4月22日(火) 心斎橋クラブクアトロ(大阪)
2008年4月23日(水) エレクトリック・レディ・ランド(愛知)
2008年5月21日(水) CLUB QUATTRO(東京)

の4公演となっている。楽しいかどうかはともかく、他では絶対に観られない凄まじいライブを多くの人に体験してほしいと願う。
スーパーのイオンがグループ1000店でレジ袋の無料配布を中止するという。私の近所でも、レジ袋を削減する方針を強調するスーパーが目立つ。あるスーパーではエコバッグを店に置いている。他の店では、3月よりレジ袋は有料化します、と張り出しがあった。

リサイクル運動にはあまり積極的になれないけれど、無駄なものは使わないという考えは悪くないだろう。買物袋を持参すればレジ袋代を節約できると思い、近所のスーパーでエコバックを1つ買うことにした。

しかし、まだ運動が始まった段階だからかもしれないが、手ぬるい感じがする。A店はすでにレジ袋を有料化しているが、それがたったの5円!エコバックを置いていたB店にいたっては有料化すらしていないし・・・。

あえて買物袋を持参する手間を考えたら5円くらい払うよ、と思う人の方が現時点では圧倒的に多いだろう。私もそういう考えの人間である。たかだか5円のためにわざわざエコバックを持ち歩いている自分は、はたから見ればただのイタい人ではないのか。

それでもせっかく買ったのだから、スーパーへ行く時は意地でもエコバックを持参している。ちなみにエコバッグの値段はたったの150円だ。持参してスーパーにいけば5円が得すると計算すれば、30回いけば償却できることになる。

レジ袋が1枚50円くらいにならないかな。そうすれば持参するメリットもずいぶん高くなるのだが。

参考までに、イオンの公式サイトにある「買物袋持参運動」のページをリンクしておく。

http://www.aeon.info/environment/mybag/
bounceのニュースにとても興味ぶかいニュースが載っていた。グランジとかロウファイとかオルタナティブとかいう言葉が入り乱れていた90年代のアメリカで活動していたバンド、ペイヴメント(Pavement)が来年に再結成をするかもしれないというのだ。

2009年は、彼らが所属していたレーベルであるマタドールが創設20周年ということで、その記念に一夜限りの演奏というものらしい。こないだはレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンが日本でライブをしたけれど、ペイヴメントも再結成して来日しないかなあ、と思っていた矢先のこの噂だ。

私は幸運にも99年に彼らのライブを観ることができた一人である。その年の終わりに活動停止を発表したわけだが、あれからもう9年も経っていることになる。90年代も遠い昔になったのだと再認識してしまった。
こないだ「ワイド!スクランブル」(テレビ朝日系列)を観ていて、いままでずっと思っていたことが間違いであることに気づく。

その日は宮崎県知事、東国原英夫氏がゲスト出演し、ご当地のキンカンを宣伝していた。司会の大和田獏がそれを手にとってかぶりつく。この瞬間、

「そうか!生のキンカンはそのまま食べるものだったのか」

と初めて知ったのである。

私はこの時まで、キンカンは煮て食べるものだと思い込んでいた。通常のミカンと比べてはるかに小さいし、皮をむいて食べるとも思えない。ましてや、皮のままかじるという発想など微塵もなかった。

これを観て以来、キンカンを食べてみたいと思うことが多くなる。そして今日、会社の帰りにスーパーでキンカンを買ってみた。ただし、宮崎ではなく熊本産だったが。

で、テレビの通り生でかじってみた。皮はいったいどんな味なのかが一番の疑問だったけれど、キンカンの皮はとても薄い。だから生でも食べられるのだろう。

しかし一方で困ったというか、どうしたら良いかわからないことがある。それは、時おり中に入っている種についてである。最初は食べずに出していたけれど、途中で面倒くさくなってガリガリかじってしまった。

あと、ヘタも食べてしまったが、これも正しい食べ方なのだろうか。キンカンの味は気に入ったけれど、種とヘタをどうするかは疑問である。

新作も忘れるな!

2008年2月28日
新作も忘れるな!
ミクシィにあるヴァン・モリソンのコミュニティを覗いたら、来月発売される新作アルバム「Keep It Simple」の試聴ができるという情報が載っていた。

http://www.myspace.com/vanmorrison

ザッと4曲を聴くことができる。これを聴く限りは、もう私の中では年間ベストになりそうな予感がする。といっても、1年に買うCDの枚数などたいした数にならないだろうが。

前作「Pay The Devil」(06年)がカントリーのカバー集であったけれど、今回もその流れにある作品のように思われる。試聴できるのはゆったりした感じの曲ばかりだが、いずれも気持ちよく聴きとおせる。

再発ばかりに目がいきがちな最近だったが、この堂々とした雰囲気の新作もちゃんと聴かなければ。いや、早く手元に置きたい。
お金がない。

給料日は毎月25日なので今月は特に苦しい。そういうわけで、今日は外も出ず部屋にこもり、スタジオジブリが95年に発表した「耳をすませば」をテレビで観ていた。

いまでもほとんど古くささを感じない内容である。が、1点だけ、現在の視点だと違和感のある部分があった。主人公の月島雫のお母さんが部屋で原稿を打つのに、パソコンではなくワープロを使っていたのである。

考えてみれば、月刊誌「りぼん」に原作のマンガが連載されていたのが89年のことである。当たり前であるが、当時は「インターネット」という言葉すら世間にはなかった。映画になった95年でも、ようやくPHSがポツポツと使われてきたかなという程度だったと思う。ポケットベルもまだ優勢だった。

世の中というのは、パッと見た感じではわからないけれど、確実に変化している。「耳をすませば」の中に出てきたワープロを見て、そんなことを実感した。

電子投票

2008年2月18日
全国的に見ればたいして注目されていないだろうが、昨日は京都市長選挙の投票日だった。当選した門川大作氏と次点の中村和雄氏の差が951票という僅差である。たいして関心はなかったけれど、なんだか盛り上がりの欠ける選挙だったと感じる。いい加減なことを言う奴だと思う人もいるかもしれない。しかし投票率が過去4番目の低さなのだからそれほど的外れな意見でもないだろう。

いや、私は別に選挙の結果や京都市政の展望について書きたいわけではない。昨日は一日ずっと仕事だったため、前日の土曜日に不在者投票へ出かけた。上京区民の私は今出川通ぞいにある上京区役所へ向かう。そこで予想もしない出来事に遭遇する。それについて触れたい。

不在者投票をするためには必要書類を書いて提出する。そこまでは以前と同じだ。しかし投票の仕方が「電子投票」というものに変わっていたのである。前回の市長選では東山区で初めて実施され、そして今回は上京区でもおこなうことになったらしい。

投票方法の手続きは、

(1)投票用紙を受付に提出する。
(2)受付の人がパソコンに入力する(私の住所と名前か?)
(3)受付の人に呼ばれる。そしてカードを渡される。
(4)投票するための機械にカードを差し込む。
(5)ATMのような画面に候補者の名前が出てくるので、投票したい人を指で触る。

こんな感じで投票完了である。この方法だったら書き間違えということが無くなる。集計もパソコンでするから手作業にくらべて時間短縮も可能だ。

また、電子投票は国政選挙にも導入が検討されているため、全国から注目を浴びているらしい。上京区はその先駆けとなり、私もその実験台の一人となったわけか。確かに投票する時はけっこう違和感を持った。新しいことをするというのはいつもこんな感じなのだろう。
お求めやすくなりました
29枚の再発アルバム、そして新作アルバムとヴァン・モリソンの作品は怒濤のように出てくる状態である。だが、その上にまた新たな作品が加わった。

といっても純然たる新作とかではない。06年のライブを収めた「Live at Austin City Limits Festival」というアルバムだ。これはもともとライブ会場とヴァンの公式サイトで限定発売されたものである。

しかし今月からは通常に販売されるらしい。その証拠に、HMVのサイトで検索したらこの作品が出てきた。

http://www.hmv.co.jp/product/detail/2687239

これで以前よりはずっと簡単に買えるし、しばらくしたらCDショップの店頭にも並ぶに違いない。

2枚組とはいえ輸入盤にしては高い部類だとは思う。しかし、最近のヴァン・モリソンを知ることのできる貴重な音源だ。ファンは迷うこともないだろう。

なお、このアルバムについては私も簡単な感想を以前に書いた。曲目も記しているし、何かの参考になったら幸いである。

http://diarynote.jp/d/30771/_2.html
渡辺美里 Billy Joel 渡辺善太郎 住友紀人 CD エピックレコードジャパン 2008/02/06 ¥1,020

(1)yes
(2)And So It Goes〜そして今は・・・

この前(たしか木曜日)、ラーメン屋で昼食を取っていると店のテレビからこの“yes”が流れてきた。実はこの曲、TBS系 愛の劇場「三代目のヨメ!」という昼ドラの主題歌に採用されている。それが流れている時間にたまたま出くわしたわけだ。

“yes”は昨年のアルバム「ココロ銀河」(07年)にも参加した近藤薫が曲を提供している。

http://www.kondokaoru.com/

そのせいかこの曲も「ココロ銀河」の感触に近い気がする。ただ、“yes”はアルバムに入っているどの曲よりもずっとアップテンポな調子だ。歌詞も湿っぽいところは一切ない。シングルに選ばれたのも納得がいく。

もしあの地味な「ココロ銀河」の中にこの曲が含まれていたとしたら、アルバムの印象もかなり変わっていたのではないだろうか。シングルを繰り返し聴きながらそんなことをふと思った。ライブ映えする佳曲だとは思う。ぜひずっと歌い続けて彼女の新しいスタンダードに定着することを願う。だが、生で聴けるのはいつになるだろう。やはり夏の野外ライブだろうか。

2曲目の“And So It Goes〜そして今は・・・〜”はビリー・ジョエルのトリビュート・アルバム「WANNA BE THE PIANO MAN 」(06年)に提供したもので、実は昨年末にこのアルバムを入手してしまった。シングルに入ると知っていれば買わなかったのだが、時すでに遅しである。

ちなみにオリジナルは89年のアルバム「ストーム・フロント」に収録されている。そちらの方は聴いたことがないけれど、このカバーではストリングスをバックにした雄大なバラードへと仕上がっている。これも生で聴いてみたい気もするけれど、オーケストラとの共演でも無い限りは無理だろうな。
これを買った人はいますか?
また一段と寒くなってきた。夜は雪も降っていたようで、道の止まっている車の上にも少し残っている。

こんな日は部屋にこもってしまうのが常である。しかし何もしないまま休日を終わらせるのもどうかと思い、阪急電車に乗って神戸の兵庫県立美術館まで「ムンク展」を観に行った。

しかし展覧会そのものよりも驚いたのが、会場前の店に置いてあった画像の物体である。「スクリーム人形(Lサイズ)」 というそれは価格が6300円で、空気で膨らませる人形だ。高さは1メートルを超えていただろう。

他に「Sサイズ」という40センチくらいの人形も売っていたけれど、これを買う人は実際にいるのだろうか。インパクトは強いが・・・。
クアトロに行くのは久しぶりだ。それもそのはずで去年は全く行っていない。前に来たのは06年12月、少年ナイフとイースタン・ユースの共演だった。

心斎橋に行くとライブ前に近所の「がんこ」で回転寿司を食べるパターンが多い。今日も5時半ごろに店へ入り食事を済ませ、6時にはクアトロの入口へ行く。この時点で開場30分前だから入場列ができているかと思ったら、まだ10人ほどしかいない。京都の状況を考えると心配になってきた。しかし始まるころには300人以上は集まる。少なくとも前回のツアー(06年5月29日)ぐらいは入っただろう。

ライブの内容を結論から言うと京都公演と全く変わらなかった。おそらく「巡業」(ツアー)の曲目はどこも同じにしていると思われる。ただバンドの音は京都よりもずっと力強く聴こえた。これは多分に会場の音響によるものと思われる。

また、これは当然かもしれないが、会場の盛り上がりも大阪の方がずっと良い。イントロが鳴っただけで歓声があがる場面も多かった。これには熱心なファンがいると感心する一方、最新作のアルバムの曲でも騒ぐのはちょっと過剰に見える。吉野も、あまりキャーキャー言われるとやりづらい、というようなことをMCで話していた。

そうは言っても、たくさんお客が入ったところで気分が悪いはずはなく、バンドは調子よく演奏していたとは思う。それはMCにも出ていて、アンコールの最後で二宮のしゃべりが聞けたり、さらに田森の笑顔(これは本当に貴重!)を見ることもできたのはこの日の収穫だった。ツアーも後半入って疲れも出ていますが、と二宮が話していたけれど、自身のバンド(ひょうたん)の活動も含めて大過なく終えてほしいと願う。

来月に「サルカルチャー」という大阪のイベントに出演するので、それも機会があったら観たい。最後に曲目を記す。

【演奏曲目】
(1)地球の裏から風が吹く
(2)滑走路と人力飛行機
(3)五月の空の下で
(4)野良犬、走る
(5)ギラリズム夜明け前
(6)青すぎる空
(7)いずこへ
(8)雨曝しなら濡れるがいいさ
(9)旅行者達の憂鬱
(10)踵鳴る
(11)白昼の行方不明者
(12)サンセットマン
(13)沸点36℃

〈アンコール〉
(14)夜がまた来る
(15)赤い胃の頭ブルース
(16)荒野に針路を取れ

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