「のれん」という資産
2011年6月8日京都市中京区の御前三条に「こぶ志」というラーメン店があった。さまざまなタイプのラーメンが食べられる京都市においても極めて個性的な商品を出す店で、新メニューが出るたび熱心なファンがブログでそれを紹介をするなど人気店となっていた。
しかしこの2月、今の店を閉めて下京区で「拳(こぶし)ラーメン」と屋号を変えて営業再開するという話が出てくる。どうしてわざわざ「こぶ志」を「拳」などと半端な名前の変え方をするだろうと最初は怪訝に感じた。しかし京都ラーメンに関する掲示板で、雇われの立場だった店長が独立する云々の情報が書いてあったので、心機一転で頑張るためか縁起担ぎの意味で変えたのだろうとその時はそれで納得した。
はっきりとその理由がわかったのは、かつての御前三条の場所に「こぶ志」がカレーうどんの店として今月また始めるというニュースにおいてであった。情報元の某ラーメン・サイトの掲示板に書かれていた説明によれば、要するに「拳ラーメン」の店長は「こぶ志」という屋号を使う権利を持っていないということだ。名義を持っているのは経営母体の会社で、元・店長は「こぶ志」の名前でできるよう交渉したものの、それが叶わず今回の結果となったそうだ。「拳ラーメン」という名前はこうした妥協の末にできた産物といえる。
そういえば音楽界でも似たような話を見かける。アメリカのバンド、ガンズ・アンド・ローゼスはオリジナル・メンバーがアクセル・ローズただ一人だけになっていてもこのバンド名で活動をしている。日本のハウンドドッグも現在はボーカルの大友康平だけでライブをしている。バンド名の所有権を持っているからだ。一方、ガンズの元メンバー3人は03年に新たなバンド、ヴェルヴェット・リヴォルヴァーを結成してかなりの人気を得ている。ハウンドドッグにいた人たちは・・・今ひとつよくわからない。
お店にしろバンドにしろ、世間に広まった屋号(バンドにはこの表現は合わないかな?)というのは商売をするのに絶大な力となる。こうしたものを商業簿記2級の知識では「のれん」という。
国語辞典「大辞林」(三省堂)で「のれん」を調べてみると、
(1)商店で、屋号などを染め抜いて店先に掲げる布。また、部屋の入り口や仕切りにたらす短い布をもいう。
と実物の定義がまず出てくる。続いて、
(2)店の信用。店の格式。「ーにかかわる」「ーを守る」「ーを誇る老舗」
(3)営業活動から生まれる、得意先関係・仕入れ先関係・営業の秘訣・信用・名声など、無形の経済的財産。グッドウィル。
と実物から派生した概念についても記されている。
商業簿記における「のれん」は(3)の意味で使われる。企業が長いあいだ事業活動をすることにより獲得した知名度で、もっとわかりやすくいえば企業の「ブランド」のことだ。それは資産価値があるものと解釈されるが、現金や有価証券のようには目に見えるものではないので「無形固定資産」と分類される。さきのラーメン店やバンドの事例を見てみれば、「のれん」に商業的なメリットを持っていることがすんなりと理解できるに違いない。そして権利を持っている者がそれを行使することができる。
確かにブランド名の力は強い。しかし、名前だけで実体は伴っていないという場合はどうだろう。ラーメン店ならば、同じ屋号であっても作る人が違えば中身は必然的にまったく別のものでしかない。バンドにしても、ヴェルヴェット・アンダーグランドやゼムのように、主要なメンバーがいなくなっても同じ名前で続けることはある。しかしその中身といえば・・・。
本日営業を再開する新生「こぶ志」がどのような道をたどるのか、色々な意味で興味深い。
しかしこの2月、今の店を閉めて下京区で「拳(こぶし)ラーメン」と屋号を変えて営業再開するという話が出てくる。どうしてわざわざ「こぶ志」を「拳」などと半端な名前の変え方をするだろうと最初は怪訝に感じた。しかし京都ラーメンに関する掲示板で、雇われの立場だった店長が独立する云々の情報が書いてあったので、心機一転で頑張るためか縁起担ぎの意味で変えたのだろうとその時はそれで納得した。
はっきりとその理由がわかったのは、かつての御前三条の場所に「こぶ志」がカレーうどんの店として今月また始めるというニュースにおいてであった。情報元の某ラーメン・サイトの掲示板に書かれていた説明によれば、要するに「拳ラーメン」の店長は「こぶ志」という屋号を使う権利を持っていないということだ。名義を持っているのは経営母体の会社で、元・店長は「こぶ志」の名前でできるよう交渉したものの、それが叶わず今回の結果となったそうだ。「拳ラーメン」という名前はこうした妥協の末にできた産物といえる。
そういえば音楽界でも似たような話を見かける。アメリカのバンド、ガンズ・アンド・ローゼスはオリジナル・メンバーがアクセル・ローズただ一人だけになっていてもこのバンド名で活動をしている。日本のハウンドドッグも現在はボーカルの大友康平だけでライブをしている。バンド名の所有権を持っているからだ。一方、ガンズの元メンバー3人は03年に新たなバンド、ヴェルヴェット・リヴォルヴァーを結成してかなりの人気を得ている。ハウンドドッグにいた人たちは・・・今ひとつよくわからない。
お店にしろバンドにしろ、世間に広まった屋号(バンドにはこの表現は合わないかな?)というのは商売をするのに絶大な力となる。こうしたものを商業簿記2級の知識では「のれん」という。
国語辞典「大辞林」(三省堂)で「のれん」を調べてみると、
(1)商店で、屋号などを染め抜いて店先に掲げる布。また、部屋の入り口や仕切りにたらす短い布をもいう。
と実物の定義がまず出てくる。続いて、
(2)店の信用。店の格式。「ーにかかわる」「ーを守る」「ーを誇る老舗」
(3)営業活動から生まれる、得意先関係・仕入れ先関係・営業の秘訣・信用・名声など、無形の経済的財産。グッドウィル。
と実物から派生した概念についても記されている。
商業簿記における「のれん」は(3)の意味で使われる。企業が長いあいだ事業活動をすることにより獲得した知名度で、もっとわかりやすくいえば企業の「ブランド」のことだ。それは資産価値があるものと解釈されるが、現金や有価証券のようには目に見えるものではないので「無形固定資産」と分類される。さきのラーメン店やバンドの事例を見てみれば、「のれん」に商業的なメリットを持っていることがすんなりと理解できるに違いない。そして権利を持っている者がそれを行使することができる。
確かにブランド名の力は強い。しかし、名前だけで実体は伴っていないという場合はどうだろう。ラーメン店ならば、同じ屋号であっても作る人が違えば中身は必然的にまったく別のものでしかない。バンドにしても、ヴェルヴェット・アンダーグランドやゼムのように、主要なメンバーがいなくなっても同じ名前で続けることはある。しかしその中身といえば・・・。
本日営業を再開する新生「こぶ志」がどのような道をたどるのか、色々な意味で興味深い。
「夏至・冬至、夜の8時から10時の2時間、みんなでいっせいにでんきを消しましょう」
こんな呼びかけのもと、街中にたくさんのローソクをともすイベント「100万人のキャンドル・ナイト」は今年で12回目を迎えるという。大阪だけのものかと思ったら、全国の津々浦々でおこなわれている。
公式サイトはこちら。
http://www.candle-night.org/jp/
個人的にはあまり興味をひかない内容ではあるが、関連イベントの一つ「Twinkl Love Live」でBONNIE PINKが出演するというので、阪急電車に乗って大阪へ向かった。会場の西梅田公園には6時前には着いたが、開演の7時までまだ時間がある。すでにステージ前に陣取っている人が20人くらいいたけれど、地べたに座って待つのもキツい。そこで少し時間をつぶして開演20分前くらいに場所を確保した。コンクリートの地面に座るとお尻が痛い。長時間続けていると痔になりそうだ。
することもないので会場の様子を撮影してツイッターで投稿などしていると、BONNIE PINKの公式アカウントからこんな情報が飛び込んでくる。
<今夜のTwinle Love Liveスケジュール、再度発表!
19:00〜タテタカコさん/
19:40〜カジヒデキさん/
20:20〜リクオさん/
21:00〜ボニーピンクさん。です。お楽しみに!#candle_o>
うそお。BONNIEの最後は登場なの?彼女を観たらスッと帰ろうと思ったのに完全に予定が狂ってしまった。近所で酒でも飲んで9時前に会場に戻ろうかとも一瞬は思ったけれど、後ろを観るとけっこうな人が集まっている(2000人くらいはいただろうか)。これはもう、イボ痔になろうが切れ痔になろうが、BONNIEのライブが終るまで離れるわけにもいかない。そうして午後7時を迎える。
上のタイムテーブルを見て、正味の演奏時間は30分と舞台転換が10分という割り振りかなと予想をした。しかし1組目のタテタカコは40分みっちり歌ってしまった。続くカジヒデキも同様だった。失礼ながら、最初の2組はまるっきり興味がなかったので、コンクリートの上での鑑賞はなかなか辛いものがあった(特にお尻が)。さらに失礼ながら、カジヒデキは今年で44歳という年齢だが、あの短パンなどの格好はどうなんだろう、と思った。
続くリクオについては、今はなき梅田バナナホールで観たことがある(BONIIEがゲストで出たのがライブに行った理由だが)。あの時は非常に楽しいライブだったけれど、今夜も一見の観客も飲み込んでしまうステージを展開した。年間に150から200本も色々な場所(寺とか教会や公民館など)でライブをしているという経験がなせる業だろう。
この日も演奏していた”パラダイス”の動画がyou tubeに存在するので、ぜひ観ていただきたい。彼の凄さの一端を感じることができると思う。
http://www.youtube.com/watch?v=nST25qq4ImE&feature=feedf
リクオの演奏が終って午後9時15分を回ったころ、目当てのBONNIE PINKが登場する。さあ何か歌うのかと思ったら、リクオとウダウダ話し出してなかなか始まらない。2人でスタンダードの”Over The Rainbow”を共演してからも終始同じテンションでこのイベントや震災について自分の思いをグダグダと述べていた。喋らなかったらもう1曲くらいできただろう。こっちはお尻がもう限界だぜ。
奥野真哉のキーボードをバックに演奏したのは、
(1)Many Moons Ago
(2)Wildflowers
(3)ナミナミ
(4)The Sun Will Rise Again
(5)流れ星
というものだった。去年出たアルバム「Dear Diary」(10年)から3曲と、震災後に作った”The Sun Will Rise Again”という、想定内の構成ではある。ただ、”Wildflower”はけっこう久しぶりに聴いた。以前は執拗なくらいにステージで演奏していた気もするが・・・。”Heaven’s Kitchen”をやらなかったことは、評価するべきか(笑)
歌についていえば、それなりに声が出ていたかなという印象。ただキーボードだけの”ナミナミ”は少し無理があったか。こういうアレンジで演奏することはもうないと思うので貴重かもしれないけれど。内容自体は悪くなかったと思う。
しかしながら、見上げれば国道に車が走り、演奏中に救急車や消防車のサイレンが聴こえてくるという環境は果たして良いものなのだろうか。個人的にはあまり好みではないけれど、キャンドルだらけのステージと合間って不思議な空間を演出していたのは間違いない。
最後はリクオの演奏でザ・タイマーズの”デイドリーム・ドリーマー”を出演者全員で歌い終了。予定終了時間の10時を大幅に回っていた。
座り続けて約3時間半以上。もしこれから痔にでもなったら、原因は確実にこのライブである。
こんな呼びかけのもと、街中にたくさんのローソクをともすイベント「100万人のキャンドル・ナイト」は今年で12回目を迎えるという。大阪だけのものかと思ったら、全国の津々浦々でおこなわれている。
公式サイトはこちら。
http://www.candle-night.org/jp/
個人的にはあまり興味をひかない内容ではあるが、関連イベントの一つ「Twinkl Love Live」でBONNIE PINKが出演するというので、阪急電車に乗って大阪へ向かった。会場の西梅田公園には6時前には着いたが、開演の7時までまだ時間がある。すでにステージ前に陣取っている人が20人くらいいたけれど、地べたに座って待つのもキツい。そこで少し時間をつぶして開演20分前くらいに場所を確保した。コンクリートの地面に座るとお尻が痛い。長時間続けていると痔になりそうだ。
することもないので会場の様子を撮影してツイッターで投稿などしていると、BONNIE PINKの公式アカウントからこんな情報が飛び込んでくる。
<今夜のTwinle Love Liveスケジュール、再度発表!
19:00〜タテタカコさん/
19:40〜カジヒデキさん/
20:20〜リクオさん/
21:00〜ボニーピンクさん。です。お楽しみに!#candle_o>
うそお。BONNIEの最後は登場なの?彼女を観たらスッと帰ろうと思ったのに完全に予定が狂ってしまった。近所で酒でも飲んで9時前に会場に戻ろうかとも一瞬は思ったけれど、後ろを観るとけっこうな人が集まっている(2000人くらいはいただろうか)。これはもう、イボ痔になろうが切れ痔になろうが、BONNIEのライブが終るまで離れるわけにもいかない。そうして午後7時を迎える。
上のタイムテーブルを見て、正味の演奏時間は30分と舞台転換が10分という割り振りかなと予想をした。しかし1組目のタテタカコは40分みっちり歌ってしまった。続くカジヒデキも同様だった。失礼ながら、最初の2組はまるっきり興味がなかったので、コンクリートの上での鑑賞はなかなか辛いものがあった(特にお尻が)。さらに失礼ながら、カジヒデキは今年で44歳という年齢だが、あの短パンなどの格好はどうなんだろう、と思った。
続くリクオについては、今はなき梅田バナナホールで観たことがある(BONIIEがゲストで出たのがライブに行った理由だが)。あの時は非常に楽しいライブだったけれど、今夜も一見の観客も飲み込んでしまうステージを展開した。年間に150から200本も色々な場所(寺とか教会や公民館など)でライブをしているという経験がなせる業だろう。
この日も演奏していた”パラダイス”の動画がyou tubeに存在するので、ぜひ観ていただきたい。彼の凄さの一端を感じることができると思う。
http://www.youtube.com/watch?v=nST25qq4ImE&feature=feedf
リクオの演奏が終って午後9時15分を回ったころ、目当てのBONNIE PINKが登場する。さあ何か歌うのかと思ったら、リクオとウダウダ話し出してなかなか始まらない。2人でスタンダードの”Over The Rainbow”を共演してからも終始同じテンションでこのイベントや震災について自分の思いをグダグダと述べていた。喋らなかったらもう1曲くらいできただろう。こっちはお尻がもう限界だぜ。
奥野真哉のキーボードをバックに演奏したのは、
(1)Many Moons Ago
(2)Wildflowers
(3)ナミナミ
(4)The Sun Will Rise Again
(5)流れ星
というものだった。去年出たアルバム「Dear Diary」(10年)から3曲と、震災後に作った”The Sun Will Rise Again”という、想定内の構成ではある。ただ、”Wildflower”はけっこう久しぶりに聴いた。以前は執拗なくらいにステージで演奏していた気もするが・・・。”Heaven’s Kitchen”をやらなかったことは、評価するべきか(笑)
歌についていえば、それなりに声が出ていたかなという印象。ただキーボードだけの”ナミナミ”は少し無理があったか。こういうアレンジで演奏することはもうないと思うので貴重かもしれないけれど。内容自体は悪くなかったと思う。
しかしながら、見上げれば国道に車が走り、演奏中に救急車や消防車のサイレンが聴こえてくるという環境は果たして良いものなのだろうか。個人的にはあまり好みではないけれど、キャンドルだらけのステージと合間って不思議な空間を演出していたのは間違いない。
最後はリクオの演奏でザ・タイマーズの”デイドリーム・ドリーマー”を出演者全員で歌い終了。予定終了時間の10時を大幅に回っていた。
座り続けて約3時間半以上。もしこれから痔にでもなったら、原因は確実にこのライブである。