経済のニュースを見ていたら、「室町期に創業、541年…九州最古の企業が破産へ 負債1.2億円」という記事を見つける。「Sankeibiz」が11年6月11日に配信したもので、全文を引用する。

<室町時代に創業したとされ、長崎県五島市で食料品店を経営する「川口分店」が、近く破産申請することを同社の関係者が21日、明らかにした。東京商工リサーチによると、九州で最も古い企業という。
 川口分店は1470年に創業して塩田の経営を始めたという。
 東京商工リサーチや関係者によると、同社は、大型店やドラッグストアの進出で業績が低迷し、売り上げはここ5年で半減。4月以降、2度の不渡りを出し、4月末に閉店した。負債総額は約1億2千万円。>

1470(文明2)年といえば、かの「応仁の乱」(1467ー77)の最中だというから、そこから21世紀まで営業を続けたと思うと頭がクラクラしてくる。

また創業当時は「塩田の経営」というのもなかなか凄い話だ。塩田とは海水を蒸発させて塩を取り出す場所である。しかし海水を電気分解して塩を作る方法が1972年に国が採用したことにより日本から塩田は消えてしまった歴史がある。川口文店もそういう時代の流れに直面しながら、酒造業、味噌製造業、スーパーと経営手段を変えていったのだろう。

大学時代に簿記学の授業で「ゴーイング・コンサーン」(going concern)という言葉を初めて知った。企業は永遠に継続していく、という考え方で、会計学などもこのような前提で考えられるのだという。当時も現在も、会社がずっと続くなんてあり得ないだろう、という思いは変わらない。あくまで会計などの理論を作るための話なので文句をいっても仕方ないけれど、現実的に企業の平均寿命は「永遠」とはほど遠いだろう。

それでも創業541年というのは驚異的な長さであるのは間違いない。しかし応仁の乱や二度の大戦をくぐり抜けてきた川口分店であっても、この複雑な時代に対応することはできなかったということか。想像以上に激動の世の中を私たちは生きているのかもしれない。

お気に入り日記の更新

最新のコメント

日記内を検索