TBSが42年放送を続けてきた時代劇ドラマ「水戸黄門」を現在の第43部をもって終了すると7月15日に発表された。

「asahi.com」7月15日の記事によれば、1969(昭和44)年8月から始まった水戸黄門は79年2月5日放送の第9部最終話で視聴率43.7%を記録したり、同年8月から12月に放送した第10部の平均視聴率は37.7%となるなど、驚異的な人気を博す文字通りTBSの看板番組であった。だが40年目の08年10月20日に初めて視聴率1ケタ(9.7%)まで落ち込んでしまう。

かつて「報道のTBS」、「ドラマのTBS」と言われるほどその分野に強かった同局であるが、今ではすっかり勢いを失っているようだ。

試しに、視聴率を調べている会社「ビデオリサーチ」のサイトで今年度(4月~7月)の週間平均視聴率を調べてみた。ただし数字は関東地区のものである。
http://www.videor.co.jp/data/ratedata/top10.htm

同社ではテレビ番組を「報道」、「アニメ」、「ドラマ」などと8つの項目に分類してそれぞれの視聴率のトップ10を載せている。

「ドラマ」では開局60周年記念の冠がついた「JIN-仁-」を1位を記録した時期があるものの、他にトップ10へ入っていたのは「渡る世間は鬼ばかり」と2時間ドラマの「月曜ゴールデン」しかない。この2番組を昔から続いているものだから、新しい番組で視聴者を集めているとはいえないだろう。かの水戸黄門はさすがに一度もランキング入りしてはいなかった。「ドラマのTBS」などとはもう言える状態ではないようである。

では報道番組についてはどうか。こちらも日曜日の「サンデーモーニング」、土曜夜「情報7daysニュース」が顔を出しているくらいである。報道については、オウム真理教を批判していた坂本堤弁護士のインタビュー映像を放送直前に教団幹部に見せた「TBSビデオ問題」など深刻な不祥事が続いたおかげですっかり信用を落としたことが大きい。

それ以外のアニメ、音楽、スポーツなどの項目にいたっては、サッカーなど特別番組がランキング入りするだけである。こうしてザッと見ただけでも、TBSには「これが強みだ!」という分野は見当たらない。実際のところ放送部門は赤字であり、不動産などそれ以外の部分でなんとか利益を確保しているのが社の現状だ。

さきほど述べたTBSビデオ問題について、会社が正式にこれを認めた96年3月25日、当時の看板報道番組だった「筑紫哲也 NEWS23」のキャスターであった故・筑紫哲也氏は、

「TBSは今日、死んだに等しいと思います」

と有名な発言をした。あれから15年も経過しているけれど、TBSも新聞社と同様、既に死んでいるのに継続している「ゾンビ会社」なのだろう。もしかしたら他のテレビ局やラジオ局もそうかもしれない。

いつの間にやらアナログ放送の終了まであと1週間となってしまった。これにともない「地デジ難民」が生じるとか色々いわれはじめているけれど(私もその一人か)、たとえ無理やりにデジタル化したところで肝心のコンテンツ(番組内容)を改善することが果たしてできるのか。そんなことを考えるとテレビも新聞と同様、前世紀の遺物と化す日も遠くないような気がしてくる。

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